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麻痺性イレウスに対する看護のポイント

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麻痺性イレウスとは、その名の通り腸管の運動がなんらかの理由で一時的に麻痺してしまい、有効な蠕動運動が得られなくなる病気のことです。
腸管の蠕動運動が止まってしまうと、腹部膨満、腹痛、便秘、嘔吐など様々な症状をきたします。
そこでこの記事では、麻痺性イレウスの原因や症状、治療や看護のポイントについて詳しく解説していきます。

麻痺性イレウスとは

絞扼性イレウス
人間の腸管は口側から、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸、肛門と繋がっていて、摂取した食べ物は消化液によって消化されながら、腸管の蠕動運動によって徐々に排出されていきます。
腸管の蠕動運動は交感神経や副交感神経などの自律神経でコントロールされていて、交感神経が活性化すると蠕動運動は抑制され、副交感神経が活性化すると蠕動運動が活発になります。
しかし、正常な蠕動運動が得られずに、なんらかの原因で腸管の内容物が詰まり、肛門側への移動ができなくなってしまう病気のことをイレウス(日本語で腸閉塞)と言います。
原因別に、機械性イレウス機能性イレウスの2つに大別されます。

機械性イレウス

機械性イレウスとは腸管の内容物が物理的に通過できなくなるイレウスのことで、ガンや癒着によって腸の内腔が狭くなり発症する単純性イレウスと、腸管のねじれによって血流が途絶する絞扼性イレウスなどに細分化されます。

機能性イレウス

それに対し、機能性イレウスとは腸管の神経や血流に異常が生じて内容物が通過できなくなるイレウスのことで、麻痺性イレウスや痙攣性イレウスなどに細分化されます。
つまり、麻痺性イレウスは腸管の閉塞をきたすような器質的所見を認めないにも関わらず、腸管の蠕動をコントロールしている自律神経が機能的に障害を受けてしまうことで、蠕動運動が一時的に麻痺してしまう状態を指します。
では、なぜ麻痺性イレウスが生じてしまうのでしょうか?

麻痺性イレウスの原因

麻痺性イレウスの原因は、主に腹部手術(術後腸管麻痺)や急性腹膜炎、急性腸間膜動脈閉塞症、糖尿病、薬剤性などが挙げられます。
それぞれについて具体的に解説します。

腹部手術

最も多い原因は、腹部手術後の術後腸管麻痺です。
開腹手術によって発生する炎症が腸管をコントロールする自律神経にも波及し、一時的に蠕動運動が麻痺してしまうのです。
手術の3〜5日後に生じやすく、多くの場合が数日で自然に改善します。

急性腹膜炎

虫垂炎(盲腸)や胆嚢炎などの炎症が腸管のみならず、腸管の外の腹膜にまで波及した状態を腹膜炎と言います。
腹腔内に激しい炎症が生じ、自律神経にも波及することで、麻痺性イレウスを引き起こします。
この場合、原因となる病気への治療が必要となります。

急性腸間膜動脈閉塞症

急性腸間膜動脈閉塞症とは、腸管を栄養する血管である上腸間膜動脈に血栓が生じ、急速に閉塞する病気です。
腸管への血流が途絶えてしまい、有効な蠕動運動が失われて麻痺性イレウスになります。

糖尿病

糖尿病が進行すると自律神経そのものが障害されるため、腸管の蠕動運動が不良となり麻痺性イレウスになります

薬剤性

内服薬の中には、蠕動運動を抑制してしまう作用を持つ薬もあります。
具体的には、麻薬や抗がん剤、免疫抑制剤などが挙げられます。

麻痺性イレウスの症状

麻痺性イレウスの主な症状は、腹部膨満感、嘔吐、嘔気、便秘などです。
単純性イレウスや絞扼性イレウスでは、閉塞しているにも関わらず蠕動運動が起きるため、腸管に圧がかかってしまい激しい腹痛をきたしますが、麻痺性イレウスの場合はそもそも腸管が動かないため、腹痛は軽度のことが多いです。

麻痺性イレウスの治療

麻痺性イレウスの治療は、その原因や経過によって保存療法か、もしくは手術療法が検討されます。
それぞれ具体的に解説します。

保存療法

一般的には、保存療法が第一選択とされます。
絶飲食を行い、胃管やイレウス管を挿入して腸管内容物を持続的に吸引することで、口側腸管の減圧を行いますが、多量の嘔吐や腸管内容物の吸引によって、脱水や電解質異常(低K血症など)を生じる可能性があるため、輸液療法も行います。
また、原因となる薬剤などがあれば中止します。

手術療法

急性腹膜炎や急性腸間膜動脈閉塞症など、原因が保存療法だけでは除去できない場合は手術療法も検討すべきです。

麻痺性イレウスの看護計画のポイント

麻痺性イレウスに対しては、医療のみならず看護も非常に重要となります。
具体的に解説します。

腹部症状

看護を行う上で、腹部症状の変化は最も重要です。
腹部が膨満してきたり、蠕動音が低下するようであれば、イレウスが進行・再発している可能性があります。
また、イレウス管や胃管が留置されている場合、排液量が改善の目安にもなるため、注意して観察する必要があります。

尿量

イレウスの進行によって嘔吐を繰り返す場合、脱水になる可能性があります。
脱水が進行すると尿量が低下し、場合によっては腎不全を併発する可能性もあるため、尿の量や色を注意深く観察するべきです。

排ガスの有無

排ガス、一般的に言う「おなら」の有無もチェックすべきです。
排ガスを認めればイレウスが解除されつつあることを意味し、逆に排ガスを認めなければイレウスが進行している可能性があるからです。

まとめ

今回の記事では麻痺性イレウスについて解説させて頂きました。
麻痺性イレウスでは嘔気や便秘などの症状を認め、場合によっては脱水や電解質異常など命に関わる状態に進行する可能性もあるため、医療、看護両方の側面から早期介入すべきです。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましく、再生医療によって一時的に機能の麻痺した自律神経が回復すれば、麻痺性イレウスを早急に改善させてくれる可能性もあります。
現在その知見が待たれるところです。

Q&A

痙攣性イレウスの原因は?
痙攣性イレウスの原因として、腹部打撲、結石発作、限局性の炎症、腸管支配神経の障害などが原因としてあげられます。
脳梗塞や脳卒中など脳へのダメージがる場合も腸管支配神経の障害が起こりますので注意が必要です。

絞扼性イレウスの原因は?
絞扼性イレウス(複雑性イレウス)の原因として、腸管自体が捻じれて絞扼される腸重積症や、腸軸捻転症、ヘルニア(脱腸)の嵌頓(腸の一部がヘルニア門に挟まり戻らなくなってしまった状態)などが挙げられます。
また、腸間膜動脈の血栓による腸間膜動脈血栓症からも引き起こされます。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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