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重症筋無力症という病気

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重症筋無力症はここ10年間で患者数は約2倍も増加しており、主に全身の筋力低下、易疲労性、眼瞼下垂、複視などの症状を来す疾患です。
また重症化すると嚥下機能に障害を来し、場合によっては呼吸筋まで麻痺してしまい呼吸困難に至る可能性もあるため難病に指定されている病気です。
今回は、重症筋無力症の原因や症状に関して詳しく解説していきます。

50〜60代の女性は要注意

筋力の低下が始まる
重症筋無力症という病気を聞いたことがあるでしょうか?
有名な歌舞伎俳優である萬屋錦之介さんもこの病気を患っていました。
重症筋無力症はその名の通り筋肉に力が入りにくくなる病気のことで、50-60代の、特に女性で発症しやすいと報告されています。
筋肉に力が入りにくいといっても、原因は筋肉や神経ではありません。
本来、人間が運動を行おうと考えた場合、脳からの指令が脊髄を通って神経に伝導し、最終的に神経から筋肉に刺激が伝わって筋収縮を引き起こしています。
その際神経から筋肉への刺激伝導は、神経から分泌されたアセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質が筋肉表面にあるアセチルコリン受容体に接合することで成されています。
つまり、随意的な運動には脳→脊髄→運動神経→アセチルコリン分泌→アセチルコリン受容体→筋肉という一連の指示系統があり、このどこかに異常をきたすと麻痺が生じるわけです。
例えば、脳血管障害では脳が、脊髄損傷では脊髄が障害されるため麻痺が生じます。
では、重症筋無力症ではどこが障害されているのでしょうか?
重症筋無力症では、主にアセチルコリン受容体を中心とする筋表面の神経伝達物質に対する受容体に対して自己抗体が産生され、アセチルコリン受容体などが破壊されてしまいます。
一般的な「抗体」とは体内に侵入してきた細菌などの異物を体から排除するための免疫細胞ですが、それに対し「自己抗体」は自分の正常な細胞を異物と認識してしまい攻撃してしまう抗体です。
つまり、重症筋無力症ではアセチルコリンの分泌自体は正常に行われても、受け皿となる受容体が自己抗体によって破棄されるため筋肉に刺激が伝わらなくなり麻痺が生じてしまうのです。
重症筋無力症の患者において、アセチルコリン受容体を攻撃する自己抗体が産生されてしまう原因は未だに解明されていません。

重症筋無力症の症状とは?

主な症状は筋力低下と、易疲労性です。
筋力低下の中でも、特に眼瞼下垂や複視などの眼症状が起こりやすい点が特徴的です。
また嚥下や構音機能を持つ喉頭部や咽頭部の筋肉にも症状が出ると、嚥下障害などが生じます。
症状が悪化すると、呼吸筋麻痺により呼吸ができなくなることもあります。
興味深いことに、重症筋無力症による筋疲労は筋肉の使用によって悪化し、休息によって回復するため、1日を通して朝よりも夕方に症状が顕在化しやすいといった特徴があります。

重症筋無力症に対する治療とは?

前述したように、重症筋無力症の問題点は自己抗体が産生される事です。
そこで、自己抗体の産生を押さえ込むような治療として、ステロイドや免疫抑制剤の投与が挙げられます。
また症状が重篤化した場合には、血液をろ過して直接的に抗体を除去する血液浄化療法や、血管に大量に抗体を投与する事で自己抗体の働くスペースを消してしまう大量ガンマグロブリン療法などが挙げられます。
ただこれらはあくまでも根治療法ではありません。
また患者によっては、胸腺と呼ばれる臓器から自己抗体が産生されていることがあり、その場合は胸腺摘出術を施行します。

重症筋無力症患者の寿命や予後は?

以前と比較して、近年の免疫療法の普及や発達に伴い長期的予後は改善しています。
完全に治療が必要なくなるような状況になる患者の割合は未だに20%未満ではありますが、生活や仕事に支障の無いレベルまで改善する患者の割合は50%以上と言われています。
その一方で、治療によってもあまり改善を認めない患者の割合も依然として10%ほどいます。
また人工呼吸器の普及に伴い死亡例は激減し、寿命という観点ではあまり影響がない病気と言えます。

まとめ

今回は重症筋無力症について解説しました。
重症筋無力症は、神経と筋肉の接合部において自己抗体によるアセチルコリン受容体の破壊が生じ、神経から筋肉にうまく刺激が伝導できなくなる病気のことです。
主な症状は、全身の筋力低下、易疲労性、眼瞼下垂、複視などですが、場合によっては嚥下障害による誤嚥性肺炎や呼吸筋麻痺による呼吸困難に陥り、命の危険性もあります。
この記事を参考に、適切な介入を行うためにも症状が気になる方は早期に神経内科への受診をおすすめします。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましいです。
再生医療によって損傷したアセチルコリン受容体が再生すれば、神経からの刺激がうまく筋肉に伝導するため、重症筋無力症に対する新たな治療のアプローチになる可能性もあります。
現在、その知見が待たれるところです。


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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