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脳梗塞における片麻痺のメカニズムとは

           

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脳梗塞とは、脳を栄養する血管がなんらかの原因で閉塞することによって、脳の一部が壊死してしまう病気です。
損傷部位に応じて様々な後遺症が生じますが、特に体の左右半身の麻痺である片麻痺は、その後の日常生活に大きな支障をきたします。
そこでこの記事では、脳梗塞における片麻痺のメカニズムについて詳しく解説していきます。

脳梗塞における片麻痺のメカニズムとは

脳梗塞
片麻痺という言葉を聞いたことがある方も少なくないのではないでしょうか?
片麻痺とは、身体の左右どちらかに麻痺の症状が見られる状態のことを言います。
主に、脳梗塞や脳出血などによって、左右どちらかの脳に損傷が及ぶことで生じます。
具体的には、右脳が損傷すると左半身が、左脳が損傷すると右半身が麻痺します。
そもそもなぜ脳梗塞で麻痺が生じるのか、なぜ麻痺側が左右反転するのか、それぞれのメカニズムについて解説していきます。

脳梗塞にる麻痺のメカニズムとは

脳は神経細胞の集合体であり、ありとあらゆる情報を伝達して多くの機能をコントロールしています。
例えば、脳から出た運動の司令は大脳、延髄や脊髄、末梢神経を介して筋肉に刺激を送り、人体の運動をコントロールしています。
逆に、皮膚や筋肉から入力された痛みなどの情報は、神経を介して脊髄を通過し、脳にインプットされています。
だからこそ脳梗塞や脳出血などで脳が損傷されると、感覚がうまくインプットされずしびれが生じ、運動の指令がうまく伝わらず麻痺が生じるのです。

片麻痺が起きる理由

では、なぜ左脳梗塞で右半身が、右脳梗塞で左半身が麻痺するのでしょうか?
これは、運動の指令経路である「錐体路」の走行に理由があります。
錐体路とは脳から始まり末梢神経に至るまでの運動の指令経路のことで、具体的には下記のような経路を辿ります。
大脳皮質の中心前回→内包後脚→中脳の大脳脚→延髄の錐体交叉→脊髄の前角→末梢神経
大脳皮質の中心前回から運動の指令が始まり、内包後脚や中脳の大脳脚を通過し、徐々に下降していきます。
延髄の錐体交叉で錐体路は左右反転し、その後頸髄や胸髄、腰髄へと下降していき、それぞれのレベルの脊髄の前角という部位から末梢神経に運動の指令を伝達します。
小難しい解剖用語が並びますが、重要な点は延髄の錐体交叉で指令経路が左右交差することです。
これによって、左脳からの運動の指令は右半身を動かし、右脳からの運動の指令は左半身を動かしていたわけです。
逆に言えば、右脳が損傷すると左半身が、左脳が損傷すると右半身が麻痺するのです。

片麻痺に対するmmtのやり方

麻痺後の筋力の評価方法として、徒手筋力テスト:mmt(Manual Muscle Test)と呼ばれる方法があります。
これは、各筋肉がどれだけの筋力を残存しているかを客観的に数字で評価する手法であり、部位ごとに6段階に分類します。

  • MMT0:筋肉の収縮は全く見られない
  • MMT1:筋肉の収縮がわずかに確認されるだけで、関節運動は起こらない
  • MMT2:重力を除去すれば、運動域全体にわたって動かせる
  • MMT3:抵抗を加えなければ重力に抗して、運動域全体にわたって動かせる
  • MMT4:抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる
  • MMT5:強い抵抗を加えても、運動域全体にわたって動かせる

例えば、肘関節を屈曲する運動によるMMTの評価は、上腕二頭筋の収縮運動を評価できます。
自身で肘関節を自由に曲げられれば、MMT3以上であることが確認できます。
その上で、検査者が肘を伸ばす方向に力をかけても尚、肘を曲げることができればMMTは4-5であり、日常生活においては介助を必要としないレベルであることが分かります。
逆に、机の上に前腕を置けば肘関節を曲げられるならMMT2、ほとんど動かないならMMT1、全く動かないならMMT0となり、日常生活において介助が必要となります。
このように、各筋肉の機能をMMTで評価することで、どのレベルの神経が脳梗塞によって損傷されたのかを把握することができます。

片麻痺に対する治療法

皮膚や髪の毛のような組織とは異なり、神経細胞は非常に再生機能に乏しい細胞です。
そのため、脳梗塞などにより一度細胞が壊死してしまうと、なかなか失われた機能の再生は困難だと言われてきました。
しかし、適切な理学療法やリハビリテーションを行うことで、失われた機能をある程度補うことができます。
ここでは、片麻痺に対するリハビリテーションについて解説します。

急性期リハビリテーション

人間の筋肉は、使用頻度が下がるとすぐに萎縮していってしまいます。
これを廃用症候群といい、早期からリハビリを行うことで予防することができます。
廃用症候群の進行を防ぐためにも、脳梗塞などを発症した48時間以内に、原因疾患の治療経過が安定していれば、急性期リハビリテーションを開始するのが好ましいと言われています。

回復期リハビリテーション

急性期リハビリテーションを終えた後、自宅や社会での自立した生活を送ることを目標に行うリハビリを回復期リハビリテーションと言います。
具体的には、食事や排泄、入浴、歩行移動などの運動を中心に行い、発症後約6ヶ月間ほど行います。

生活期リハビリテーション

急性期や回復期に行なったリハビリの機能維持を目的に、長期的に行なっていくリハビリを生活期リハビリテーションと言います。
発症約6ヶ月以降、継続して行います。

まとめ

今回の記事では脳梗塞で片麻痺が生じるメカニズムについて解説させて頂きました。
脳梗塞によって錐体路のいずれかが障害されると、左右逆側の片麻痺が生じ、その後の日常生活にも支障をきたします。
片麻痺に対する治療としては、早期から継続的なリハビリテーションを行うことが非常に重要です。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましく、リハビリテーションと併用することで更なる機能回復が期待できます。
再生医療では自身から抽出した幹細胞を増殖し、体内に戻すことで損傷した神経細胞の機能を再生できる可能性があり、現在その知見が待たれるところです。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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