脳幹出血後遺症の5つの症状を解説

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血圧が上がりやすい冬に発症しやすい脳幹出血
多くの神経が通っているため重篤な経過をたどること多く、重い後遺症が残ってしまうケースがあります。
ここでは、脳幹出血の原因や症状、治療法、後遺症の種類、リハビリなどを解説します。

脳幹出血の原因

脳幹出血は、さまざまな要因が積み重なって発症すると考えられていますが、最も関係しているのは高血圧です。
高い血圧に脳の血管が耐え切れなくなり、破れて出血してしまいます。
また、高血圧に伴う動脈硬化も脳幹出血の原因と考えられています。
動脈硬化が進行している方は、動脈の壁が硬く脆くなり非常に出血しやすい状態になっているのです。

脳幹出血の原因となる動脈硬化は、喫煙、高血圧、肥満、運動不足、乱れた食生活、ストレス、糖尿病、高脂血症、加齢などとも関係しています。

脳幹出血の初期症状

脳幹出血は、時間の経過とともに急速に症状が悪化します。
初期症状を見逃さずに出来るだけ早く治療を受けることが重要です。

脳幹出血は前兆症状が現れずに急に発症するとことが多いといわれています。
出血部位と範囲によって現れる初期症状もさまざまです。
脳幹出血の初期症状として突然の頭痛やめまい、吐き気などが起こることが多いといわれています。
また、上手くしゃべることができなくなったり、急に息苦しくなったり、眼球が思うように動かなくなりものが二重に見えるようになることも多いです。

脳幹出血の治療

脳幹は脳の一番奥の部分にあり多くの神経が通っているため、手術することは難しく保存的な治療が基本となります。
患者の状態に応じて以下の治療法がおこなわれます。

脳幹出血の保存的治療

呼吸管理

呼吸障害が認められるケースでは、まず人工呼吸器を装着して呼吸管理が必要になります。

血圧管理

出血を抑えるために点滴で血圧が下がる薬を注入して、収縮期血圧が140mmHg以下になるようにコントロールします。

脳の腫れを抑える

脳が腫れてむくむ脳浮腫が認められるケースでは、脳の腫れを引かせる効果がある「グリセオール」などを点滴で注入します。

止血

出血を止めるためにカルバゾクロムなどの止血剤を点滴で注入します。

脳幹出血の後遺症と外科的治療

脳のMRI
脳幹出血では一般的には外科的治療は行われません。
しかし、血腫により脳室拡大が強く認められるケースでは、脳室トレナージ術で脳圧をコントロールすることもあります。

脳幹出血の後遺症は、出血した部位や範囲によって異なります。
脳幹出血の主な後遺症、脳幹出血のリハビリについてご紹介します。

運動麻痺

運動まひ
運動麻痺とは、手や足が思ったように動かせなくなることです。
脳幹出血で手や足を動かす神経が損傷すると、四肢の麻痺が後遺症として残ってしまうことがあります。
麻痺が生じる部位や程度は出血した部位や範囲により異なり、損傷した脳と反対側の手や足に麻痺が残ってしまうことが多いです。

麻痺の状態による分類

  • 完全麻痺:全く動かせない状態
  • 不全麻痺:動かせるが十分ではない状態
  • 痙性麻痺:筋肉が硬くなってしまったことにより動かせなくなった状態
  • 弛緩性麻痺:筋肉の緊張が緩くなってしまったことにより動かせなくなった状態

感覚麻痺

感覚麻痺は、手や足への刺激を感じにくくなることです。
脳幹出血で感覚をつかさどる神経が損傷されると、感覚麻痺の後遺症が残ってしまうことがあります。
感覚麻痺は両側に現れることもありますが、左右のどちらかに現れることが多いです。

感覚麻痺になると現れる主な症状

  • 何かが皮膚に触れてもわからない(わかりにくい)
  • 痛みを感じない(感じにくい)
  • 熱い・冷たいがわからない(わかりにくい)
  • 動かしてもわからない(わかりにくい)
  • しびれを感じる
  • (わずかな刺激で)痛みを感じる
  • ふるえる など。

脳幹出血を発症すると、ご紹介した症状が全て現れるということではなく、人によって現れる感じ方や程度は異なります。

眼球運動障害

眼球運動障害
眼球の運動には以下の3つの神経が関係しています。

  • 滑車神経:眼球を内側下方に動かすときに関係している神経
  • 外転神経:眼球を外側に動かすときに関係している神経
  • 動眼神経:眼球を内側に動かしたり、まぶたを開けたり、瞳孔や水晶体の調節をするときに関係している神経

脳幹出血でこられの神経が障害されると、眼球を動かす筋肉に異常が起こりさまざまな症状が現れます。

眼球運動障害になると現れる主な症状

  • 物が二重に見える
  • まぶたが開かない
  • ものが見えにくい
  • 視野が狭くなる
  • 物がぼやけて見える
  • めまいがする など。

嚥下障害

嚥下障害
嚥下とは、食べ物を飲み込むことです。
脳幹出血で嚥下をするときに必要な筋肉や神経に異常が起こると、嚥下障害の後遺症が残ってしまうことがあります。
嚥下障害になると、食べ物を飲み込みにくい、間違って気道内に入ってしまうことが起こりやすくなっているため、以下のような症状がみられるようになります。

嚥下障害になると現れる主な症状

  • 咳き込むことが多くなる
  • 食事時間が長くなる
  • 食事量が減る
  • よだれをよく垂らす
  • 声が枯れやすくなる など。

嚥下障害の方は、健康な方よりも誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。
そのため、リハビリで嚥下機能を改善させる、口腔ケアを徹底して誤嚥したときに肺炎になるリスクを下げるなどが重要です。

構音障害

構音・嚥下障害
構音障害とは、正しい発音が出来ずに話し方がぎこちなくなることです。
脳幹出血で発音するときに必要となる唇や舌、声帯などを動かす筋肉や神経に異常が起こると、構音障害が残ってしまうことがあります。

構音障害になると現れる主な症状

  • 呂律が回らない
  • 高い声が出にくい
  • 声がかすれやすい
  • 声の大きさがコントロールしにくい
  • 言葉の抑揚がなくなる など。

リハビリで正しい発音の練習をしたり、ゆっくりと話すことに慣れたりすると周りの人とコミュニケーションがとりやすくなります。

脳幹出血のリハビリ

脳幹出血で後遺症が残ってしまった場合は、日常生活に復帰するためにリハビリテーションが必要になることがあります。
リハビリテーションの目的は、脳幹出血を発症する前の状態に機能を回復するというだけではなく、残った機能を強化することも含まれます。
一般的なリハビリテーションは、時期によって以下の3つのSTEPに分けられます。

急性期リハビリテーション(発症直後~数週間後)

脳幹出血発症直後は、状態を安定されることが優先されます。
状態が安定したら治療と併行して出来るだけ早くリハビリを行った方が、機能の改善は良くなることが報告されています。
また長い間、ベッドで寝ているだけの生活を送っていると精神的に落ち込んでしまい、うつ状態や認知症につながってしまう可能性があります。
それを避けることも、急性期にリハビリを開始する目的です。
この時期は寝たきり防止や離床訓練のために、ベッドの上やベッド周辺でできるリハビリを中心に行います。

急性期に行うリハビリ例

  • 関節が固くならないように動かす
  • 寝返りをうつ練習をする
  • 上体を起こす
  • ストレッチをする
  • 椅子に座って立ち上がる など。

回復期のリハビリテーション(数週間後~数ヶ月後)

歩行リハビリ
回復期のリハビリテーションは、入院していた病院を退院しリハビリ専門の病院に転院して行うのが一般的です。
脳幹出血患者のリハビリ専門病院への転院は発症後2ヶ月以内、入院期間は150日以内(高次脳機能障害を発症している患者は180日以内)と決められています。
この時期に行うリハビリは家庭生活や日常生活への復帰を目標として、低下した機能の改善や日常生活動作訓練(ADL訓練)を中心に行います。
リハビリを効率よく行うためには、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などリハビリの専門家のサポートを受けることが大切です。

回復期に行うリハビリ例

  • 関節可動域訓練・筋力増強訓練
  • 起立や着座、歩行などの基本動作訓練
  • 食事やトイレ、着替え、入浴などの日常動作訓練・麻痺を改善させる促通訓練
  • 嚥下・構音訓練
  • 高次脳機能訓練 など。

維持期リハビリテーション

維持期リハビリテーションは、自宅に帰り日常生活を送りながら行うのが一般的です。
急性期・回復期のリハビリで改善した機能の維持・拡大させることで、生活の質の改善や社会復帰を目標としています。
維持期のリハビリに終わりはなく、日常生活を送りながら脳幹出血を発症する前の生活を出来るだけ取り戻すために、根気強く行うことが大切です。

維持期に行うリハビリ例

  • 病院での物理療法
  • 散歩
  • 確認しながら日常の動作
  • ラジオ体操 など。

脳幹出血は後遺症のリハビリと再発予防が重要です。
脳幹出血の後遺症は多岐に渡ります。
後遺症の改善は、専門家の助けを借りながら計画的にリハビリを行うことが重要です。
しかし、リハビリをしても後遺症が残ってしまうケースもあります。
そのときは、後遺症を受け入れ残った機能を上手に活かして生活していく、という考え方が必要となるでしょう。
また、脳幹出血は再発しやすい病気です。
再発すると一度目よりも重い症状が出やすい傾向があります。
そのため、後遺症のリハビリを行うと同時に再発予防にも取り組んでください。


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