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脳梗塞でなぜ難聴が起こるのか

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞と難聴の関係
聴覚の仕組み
難聴の原因


脳梗塞を発症すると、麻痺や感覚障害のような目立つ症状を認めることが一般的です。
しかし、椎骨脳底動脈領域、特に前下小脳動脈の梗塞では、とてもまれながら耳詰まり感や難聴をきたすことがあります。
このタイプの脳梗塞は画像による診断が難しいため、脳梗塞の危険因子を持つ人が、突然難聴や眼振、運動失調を認めることがあれば、症状から脳梗塞を疑う必要があります。

脳梗塞と難聴の関係

脳梗塞は、脳内の細胞に血液を供給する血管が閉塞することで、脳細胞に酸素や栄養素が行き渡らず、細胞が機能しなくなってしまう状態です。
虚血性脳卒中とも言われます。
一般的には、手足の麻痺や感覚障害、言語障害や嚥下障害などの症状がみられますが、いくつかの見逃されやすい症状があります。
そのうちのひとつに難聴や耳詰まり感があります。
今回は、脳梗塞と難聴の関係について説明します。

聴覚の仕組み

耳の構造
まず、わたしたちの聴覚の仕組みを簡単に説明します。
聴覚システムは多くの異なる部分で構成されていますが、聴覚が正常に機能するためにはこれらすべての部分が正しく機能することが必要です。

外耳

耳介は耳の側面にあり、周囲の音を集めます。
外耳道は、音を鼓膜まで届けます。
この部分は、外耳と呼ばれます。

中耳

外耳道を通ってきた音は、鼓膜に当たり振動します。
鼓膜は3つの小さな骨でつながっています。
鼓膜が動くと、この小さな骨も動きます。
この部分が中耳です。

内耳

中耳の3番目の骨は、中耳と内耳を隔てる薄い膜につながっています。
内耳は、カタツムリの殻の形をした蝸牛と呼ばれるらせん状の構造から成っています。
蝸牛の中には聴覚器官があり、有毛細胞と呼ばれる小さな細胞が何千個も並んでいます。
有毛細胞は刺激を受けると、聴覚神経にメッセージを送ります。
なお内耳には、わたしたちの平衡感覚を司る三半規管と呼ばれる構造物も存在しています。

聴神経

聴神経は、蝸牛から脳幹にある聴覚神経の核にまで伸びています。
そこから神経インパルスが脳、特に音に反応する側頭葉に伝わり、私たちは音を聞くことができます。

難聴を感じる原因

ご紹介した聴覚システムのどこかに異常があれば、わたしたちは聞こえにくさ、耳詰まりを感じます。

外・中耳に発生する難聴の原因

例えば鼓膜が破れると、音の振動が伝わらなくなるため、聞こえが悪くなります。
また中耳に炎症が起こる中耳炎では、ときに炎症の結果液体が貯留します。
そうすると音の振動をうまく伝えられなくなり、耳詰まりを感じます。
これらは主に音の伝導が悪くなることが原因ですので、別名伝音性難聴とも呼ばれます。

内耳や聴神経に発生する難聴の原因

加齢や大きな音にさらされ続けることで、音の信号を脳に送る蝸牛の有毛細胞がすり減ることがあります。
有毛細胞が損傷を受けると、電気信号が効率的に伝達されなくなり、難聴になります。
また内耳や聴神経系は脳内に存在しており、その機能を維持するためには血液の供給が必要です。
内耳への血液供給は椎骨脳底系に由来するため、椎骨脳底系の虚血性脳卒中を起こすと、内耳の梗塞による難聴を呈することがあります。
内耳が障害を受けると、三半規管も障害を受けることがあり、難聴と同時にめまいを生じることもあります。
なおこれらは音の感じ方、神経系の問題であり感音性難聴とも呼ばれます。

脳梗塞と難聴の関係

急性難聴は従来,脳梗塞の症状としては軽視されてきました。
しかし、聴覚系への血液供給は椎骨脳底動脈系に由来しており、椎骨脳底動脈の梗塞では、急性の難聴や耳詰まりを呈することがあります。
つまり急に発生する難聴は、椎骨脳底動脈系、主に前下小脳動脈領域の虚血性脳卒中が切迫している警告症状である可能性があります。

前下小脳動脈の脳梗塞の特徴

前下小脳動脈に生じる脳梗塞は、なかなか診断が難しい特徴があります。
実は、脳梗塞の診断に有用な磁気共鳴画像(MRI)検査に異常が認められないことがあります。
その場合、診断をするために他の臨床的特徴に頼らざるを得なくなります。
その臨床上の特徴は、まず突然発症する難聴です。
加えて顔面の麻痺や眼振を伴うことが知られています。
さらに温度や痛みに対する感覚の低下を認めたり、細い動きを調節できなくなる運動失調を認めたりすることもあります。
特に脳梗塞の危険因子を有する人に、突然これらの症状を認めることがあれば、前下小脳動脈の脳梗塞を疑って治療を開始する必要があります。
診断が遅れ、治療の開始が遅れると、長期にわたって後遺症に悩むことにつながりますので尚更でしょう。

再生医療の可能性

とてもまれなタイプの脳梗塞ですので、再生医療が脳梗塞によって生じる難聴に効果があるかどうか、研究を行って明らかにすることは困難です。
ただ傷ついた神経細胞の再生に効果のある再生医療ですので、難聴にも効果がある可能性は十分にあると言えます。

まとめ

難聴について、また難聴を起こしうる脳梗塞についてご説明しました。
診断が難しいため、見逃されていることもあるかもしれません。
もし気になる方がおられたら、ぜひ主治医とご相談ください。

よくあるご質問

難聴を感じる原因は?
例えば鼓膜が破れると、音の振動が伝わらなくなるため、聞こえが悪くなります。
また、加齢や大きな音にさらされ続けることで、音の信号を脳に送る蝸牛の有毛細胞がすり減ることがあります。
内耳が障害を受けると、三半規管も障害を受けることがあり、難聴と同時にめまいを生じることもあります。

前下小脳動脈の脳梗塞の特徴は?
前下小脳動脈に生じる脳梗塞は、なかなか診断が難しい特徴があります。
また、突然発症する難聴、顔面の麻痺や眼振を伴うことが知られています。

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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