脳血管疾患を予防するための食事

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脳血管疾患(脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血)には、危険因子と呼ばれるものがあります。
例えば、高血圧、血糖値や脂質の上昇、心臓や血管の病気、喫煙、肥満、運動不足、アルコールの過剰摂取、偏った食事内容(塩分、糖分、脂肪分の過剰摂取)などです。
よく見ると、これらの因子はわたしたちの食生活と関係があることに気づきます。
そこで今回の記事では、特に食事を通して脳血管疾患を予防するために知っておきたいことをご説明いたします。

脳血管疾患を予防するための食事

それでは、脳血管疾患を予防するために、どのような食事を摂れば良いかについて、説明します。

コレステロールや飽和脂肪酸の使用を極力抑え不飽和脂肪酸に置換え

オリーブオイル
これまでの研究によると、血中コレステロール濃度の上昇が脳卒中、特に脳梗塞の重要な危険因子であることがわかっています。
逆にLDL値を下げることで、脳卒中を予防できることがわかっています。
コレステロールは、卵黄や赤身の肉に多く含まれています。
逆にコレステロールと飽和脂肪が少ないのは、魚や鶏肉です。
飽和脂肪が多く含まれるのは、バター、豚の脂肪、ベーコン、チーズ、ソーセージ、サラミなどの加工された肉製品などです。
油を使用する場合は、不飽和脂肪酸であるリノール酸を含むオリーブオイル、大豆バター、ヒマワリの種、小麦胚芽などの植物性のものを使用することをお勧めします。

精製された糖質を避ける

ナッツ類
血糖値を急激に上げるグリセミック指数の高い食品は、脳卒中の死亡リスクを高めることがわかっています。
このグリセミック指数の高い食品は、一般的に精製された糖質で、白米、砂糖、白パンなどです。
他方、ナッツ、玄米、果物などは、グリセミック指数の低い食品として知られています。

魚を食べる

焼きさば
どのようなタンパク質を食べるかも重要です。
例えば、魚の摂取は脳卒中の予防効果があることが示されています。
9件の研究をまとめて評価した研究によると、月に1〜3回以上の魚の摂取が、脳梗塞の発症を予防することがわかりました。
その効果は週に2〜4回の頻度で魚を食べることで、最大の効果が得られていました。

(出典:He Ka, et al. Fish consumption and incidence of stroke: a meta-analysis of cohort studies. Stroke 2004;35(7):1538-42)

なお脳卒中の予防には、特にサバ、イワシ、マグロ、ニシン、アジ、サンマなどの青魚を摂取することが推奨されています。

果物と野菜を食べる

果物野菜
脳卒中のリスクを減らすためには、果物や野菜を積極的に摂取することが推奨されています。
果物や野菜の摂取量が1日200g増えるごとに、脳卒中のリスクはそれぞれ32%、11%減少する関係があることがわかっています。
特に果物は柑橘類やリンゴ、野菜はブロッコリーのような緑の葉を持つ野菜が関係していました。

(出典:Hu D, Huang J, Wang Y, et al. Fruits and vegetables consumption and risk of stroke: a meta-analysis of prospective cohort studies. Stroke. 2014;45(6):1613-9.)

またトマトに豊富に含まれるリコピンの摂取量や血中濃度が高い場合と低い場合では、脳卒中リスクが20%近く異なることも分かっています。

(出典:Li X, Xu J. Dietary and circulating lycopene and stroke risk: a meta-analysis of prospective studies. Sci Rep. 2014;4:5031.)

これらの野菜や果物には、食物繊維、βカロチン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、フラボノイドを含んでおり、これらすべてが、疫学研究において、脳卒中リスクの低減と関連しています。

全粒穀物を食べる

オートミール
脳卒中の予防には、玄米や大麦のような全粒穀物を含む製品を使用することが推奨されます。
過去に発表された45の研究を分析したところ、全粒粉製品を毎日90g食べることで、脳卒中を発症するリスクは、2割以上低下することが示されています。

(出典:Dgfinn A, et al. Whole grain consumption and risk of cardiovascular disease, cancer, and all cause and cause specific mortality: systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. BMJ.2016;353:I2716)

食塩の摂取量を制限する

塩
最新の研究では、ナトリウムの摂取量が多いと脳卒中のリスクが高まる一方で、野菜や果物によるカリウムの摂取量が多いと脳卒中のリスクが低下することがわかっています。
つまり、塩分摂取量の増加は、脳卒中のリスク要因となります。
したがって、脳卒中の予防のためには、適度な塩分の摂取が推奨されます。
また、食品中に塩分を添加しないことも重要です。
厚生労働省が推奨する、1日あたりの食塩摂取量は男性が7.5g未満、女性が6.5g未満となっています。
ただし高血圧学会は6g未満にすることを推奨しています。

(出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会 「日本人の食事摂取基準(2020年版) 『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書」 266-272, 2019. https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf)

またマグネシウムの使用が脳卒中、特に虚血性脳卒中のリスクを減少させることもわかっています。


まとめ

脳血管疾患(脳梗塞・脳内出血・くも膜下出血)を予防するために推奨される食事について、ご説明しました。
簡単に整理すると、積極的に摂取することが推奨されるものがオリーブオイルなどに含まれる不飽和脂肪酸、魚、野菜や果物、玄米などの全粒穀物となります。
逆に摂取をさけるべきものが飽和脂肪酸、バター類、脂肪分の多い加工された肉製品、グリセミック指数の高い精製された糖質、食塩です。
いわゆるファーストフードやジャンクフードと呼ばれる食品類を避け、バランスの取れた健康的な食品を摂ることとも言えます。
なお脳卒中の予防効果のある食事といっても、食べ過ぎは体重増加の原因ともなります。
いずれにしても腹八分目は意識しましょう。


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貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表【 Dr.貴宝院 永稔 】
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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