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エクソソームと再生医療

           

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近年化粧品など美容の分野で耳にするようになった「エクソソーム」をご存知でしょうか?
元々研究者の間では存在が知られており、不要な細胞内容物を放出する役割があると考えられていました。
しかし近年、体内で重要な役割を果たしていることが明らかになり活発な研究の対象になるとともに、美容や再生医療に応用しようとする動きが出てきたのです。
この記事では、エクソソームについて解説します。

エクソソームと細胞外小胞

幹細胞上清液
私たちの体は約37兆個の細胞でできています。
全ての細胞が活動する中で、何らかの小胞(小さなカプセル)を分泌します。
小胞は様々な機能を担っており、細胞機能の制御や病気の進展に関係していることが分かっています。
細胞が分泌する重要な小胞として主に次の3つが研究の対象になっています。

  • アポトーシス小体(直径800-5000nm)
  • マイクロベシクル(直径100-1000nm)
  • エクソソーム(30-200nm)

小胞は細胞の性質を反映しているため、血液や尿といった体液からがんなどの疾患を発見するための物質として世界的に大きく注目されています。
特にエクソソームは多くの機能を持つことから、診断・治療に応用しようとする動きが高まっています。

エクソソームの体内での役割と特徴

エクソソームは細胞内で産生され、細胞外へ放出されます。
そのため以前は細胞の中で不要となった物質を排出するための小胞であると考えられていました。
ところが研究が進むにつれエクソソームが重要な役割を果たしていることが分かってきました。
その役割というのが、細胞間の情報伝達です。
エクソソームは細胞から放出されるため、元の細胞の性質を受け継いでいます。
エクソソームの内部にはマイクロRNA、メッセンジャーRNAという遺伝情報やたんぱく質が含まれており、それらの物質が受け手となる別の細胞に働きかけることで情報伝達の機能を果たすのです。
エクソソームはがんや神経変性疾患(アルツハイマー病)などの病気に関係しているとされ、早期診断への応用が期待されています。
また細胞に直接働きかける機能を持つことから、薬剤を封入させたエクソソームを投与することで狙った細胞に薬を届けるという利用法にも注目が集まっています。

エクソソームを含む培養上清液を応用した再生医療とは

エクソソームが多くの学術的な研究の対象になるとともに、美容や再生医療の分野でも注目が高まっています。
なぜなら「培養上清液」に含まれるエクソソームが、治療効果を持つことが期待されるからです。
培養上清液というのは、細胞を培養して得られる液体のことです。
再生医療では種々の幹細胞(iPS細胞や間葉系幹細胞など)を利用して治療を行います。
治療困難であった神経の障害や難病に対して、組織の元となる細胞を移植することで機能を再生しようとする治療です。
多くの新たな知見が得られていますが、(場合によっては他人の)細胞を使用するため拒否反応など一定のリスクがあることは否めません。
そこで注目されるのが「培養上清液」です。
細胞は培養液の中で分裂し成長するため、多くのたんぱく質や小胞を分泌します。
たんぱく質の一例が成長因子であり、小胞の一例がエクソソームです。
成長因子やエクソソームを含む培養上清液は活発な増殖能力を持つ幹細胞から分泌されており、高い治療効果が期待できるのです。
さらに、細胞を含まないためより安全性が高いという見方をすることもできます。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、エクソソームを利用した再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
多くの神経障害や疾患に対して、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

エクソソームについて解説しました。
体内で重要な役割を果たす存在であるからこそ、治療への応用効果が期待されます。
疾患の早期診断と再生医療への応用に今後も注目していきましょう。

Q&A

幹細胞培養上清液のデメリットは?
幹細胞培養上清液を使用した治療は、成長因子やエクソソームの働きで治療効果が期待できるものの、細胞そのものを使用しないため移植した細胞が成長して自分の組織になる、という効果は期待できないことになります。

再生医療のメリットは?
薬剤による治療とは違い細胞や成長因子、エクソソームの働きにより本来の構造や機能を取り戻す治療であるため、その人本来の自然な回復を促す治療であると言えます。これまで治療困難だった疾患やけがに対する効果が期待されています。

<参照元>
・「エクソソームの基礎と薬物伝達への応用」生物物理62(1). 2022

再生医療の治療

貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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