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侮ってはいけないラクナ梗塞の実態

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ラクナ梗塞とは脳の奥深くの細い血管が動脈硬化の影響で閉塞して引き起こる脳梗塞のことです。
症状は様々ですが、病変が小さいので軽症に留まることも少なくありません。
しかし、中には治療が間に合わずに半身麻痺や嚥下障害などの重篤な後遺症を残し、日々リハビリに苦しむ方もいます。
早期から適切な治療を受けることが重要です。

ラクナ梗塞とは

脳の血管が詰まる病気である脳梗塞は、その原因から心原性脳塞栓症、アテローム性血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、そのほかの脳梗塞に大別されます。

脳梗塞の分類

心原性脳塞栓症

不整脈やペースメーカーが原因で心臓の中に血の塊(血栓)ができて、脳に飛んでしまう病態です。
この場合心臓から血栓が飛んでいくため、左右の脳が両方詰まる可能性が高いです。

アテローム性血栓性脳梗塞

動脈硬化や血管内に蓄積した脂肪の塊(アテローム)により、脳へ血液を送る頚動脈や脳の太い血管が閉塞してしまう病態です。
アテロームが太い血管に詰まるため、広範囲で脳が損傷する可能性があります。
では、ラクナ梗塞とは何でしょうか?
ラクナ梗塞とは、動脈硬化によって徐々に血管が細くなっていくことで脳の奥深くのより細い血管が閉塞する病態です。
特に最大のリスクは高血圧です。
長期的な高血圧は、それだけ血管に負担がかかるため徐々に血管壁が肥大していきます。
筋トレでマッチョになるのと同じイメージです。
血管壁が太くなれば当然血管内の空間は狭くなり、細い血管ほど詰まりやすくなってしまうわけです。
その他に糖尿病や慢性腎臓病でもリスクは高まると言われています。

ラクナ梗塞の特徴

主に細い血管から障害されるため、梗塞部位は局所的で、梗塞巣は大きいものでも15mm以下であるとされています。
「ラクナ」とはラテン語で「小さなくぼみ」という意味で、これが由来となっています。
脳梗塞の中でもラクナ梗塞の頻度は約20-30%と報告されています。
また動脈硬化による閉塞が主な原因ですので、若年層より60代を中心とする中高年に多いです。

ラクナ梗塞の症状

脳とは人間の感覚や運動、記憶や情動などの様々な機能を有しています。
脳梗塞により脳細胞が障害されると、その部位や範囲により様々な症状が出ます。
心原性脳塞栓症のような広範囲な障害を受けやすい梗塞の場合、局所的な症状だけではなく脳全体のサーバーが落ちてしまい意識障害に陥りやすいのです。
しかし、ラクナ梗塞では局所的で狭い範囲での障害に留まるため、大半は麻痺やしびれ感、呂律障害などの部分的な症状のみで、意識障害に陥ることは非常に稀です。
場合によっては自身でも気付かないほど症状のない「無症候性梗塞」もあり得ます。
しかしピンポイントで脳幹などの重要な部分にラクナ梗塞が発症すれば重篤な後遺症が残ることもあるため、梗塞巣が小さいだけで安心は出来ません。

ラクナ梗塞の後遺症

ラクナ梗塞の場合、下記のような症状が後遺症として残りやすいです。

片麻痺

体の左右どちらかの半身麻痺のことで、歩行などの日常生活に影響を及ぼします。

感覚障害(しびれ感)

体の左右どちらかの半身にしびれ感やジンジン感が残り、日常生活に影響を及ぼします。

嚥下障害

嚥下を司る神経が障害されることで、飲食物の飲み込みが悪くなったり、誤って気管に誤嚥しやすくなります。

構音障害

舌の動きを司る神経が障害されることで、呂律が回らず上手く話せなくなってしまいます。

血管性うつ病

自身が脳梗塞になったというショックや、情動を司る前頭葉が障害されることで脳梗塞後にうつ病を併発することも少なくありません。

ラクナ梗塞の治療薬

ラクナ梗塞の治療は基本的に他の脳梗塞と同様で超急性期、急性期、慢性期で異なります。

超急性期(発症から4.5時間以内)

この時期の治療は「血栓を溶かして血流を再開通させる」ことが目的になります。
血栓を溶かし血流を再開させることで梗塞による壊死の範囲を最小限に抑え、症状の進行を止めるのです。
そのためにはt-PAという薬を血管内に投与して、一気に血液をサラサラにする「血栓溶解療法」を行います。

発症から4.5時間以上経過している場合はすでに梗塞部位の血管が破綻している可能性が高い状態にあります。
これは、ボロボロのトンネルと一緒です。
この道を再び誰かが歩けば崩落の危険性があるのです。
つまり血栓を溶解し血流を再開させると、血管が完全に壊れ出血する可能性が高いのです。
ですので、血栓溶解療法のリミットは発症後4.5時間以内とされています。

急性期(発症から4.5時間以降)

発症から4.5時間以降は、血液の固まりを抑える抗血小板薬や、脳細胞を保護する薬(脳保護薬)を投与します。
主な治療の目的は梗塞による症状の進行を抑えることです。
また可及的速やかにリハビリを開始することで後遺症の軽減を図ることが出来ます。

慢性期

慢性期には新規梗塞を作らないことが治療の目的になります。
よって原因疾患である高血圧や糖尿病を内服でコントロールすることが重要です。
また血液の固まりを抑える抗血小板薬を長期的に内服する場合もあります。

まとめ

また近年では再生医療も注目されています。
今まで脳細胞は一度傷つくと2度と回復することはないと言われてきました。
しかし、再生医学の進歩で改善する可能性があります。
具体的には骨髄の中にある幹細胞を取り出し、培養したものを点滴投与する方法です。
幹細胞には損傷した細胞を再構築する能力があるからです。
現在、多くの治療結果を積み重ねており、その成果が期待されています。


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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