この記事を読んでわかること
・骨髄穿刺で何を調べるの?
・骨髄穿刺の痛みは?
・骨髄穿刺をされた方の体験談
骨髄穿刺は血液疾患に対する検査や、再生医療に必要な骨髄内の幹細胞を採取する目的で行われます。
一定の痛みはありますが、安全な方法です。
脳梗塞や脳卒中の再生医療で用いられる間葉系幹細胞は人の体の様々な所にありますが、特に骨の中、つまり骨髄に数多く存在します。
骨髄は血液を作る場所であり、骨髄の中にある造血幹細胞が白血球や赤血球などの血球細胞になり血液中に流れ出ていきます。
間葉系幹細胞は造血幹細胞が効率よく血球細胞を作り出すための環境を維持するために、重要な役割を果たしていると考えられています。
骨髄の中には体全体の色々な情報が隠されていますので、骨髄穿刺は再生医療のための細胞採取という目的だけに使用されるものではなく、医療を行う上での大事な検査の一つです。
今日は、骨髄穿刺について解説していきます。
骨髄穿刺の目的とその意義
骨髄は、骨の中にあるスポンジ状の組織で、白血球や赤血球を作り出す工場のような役目を果たしています。
骨髄穿刺を行うとスポンジの中に含まれている骨髄液を採取することができます。
骨髄液には主に血液の情報が含まれているため、血液の疾患を疑う場合や、血液疾患に対する治療効果を判定したい時などに検査が行われます。
骨髄の検査を行う場合には骨髄穿刺、もしくは骨髄生検という方法がとられます。
骨髄生検では3mm程度の針を骨髄に刺入して、骨髄を針の中に収めて採取します。
骨髄穿刺では1.5mm程度の針を骨髄に刺入したら、注射器で吸引して中の骨髄液を採取します。
骨髄穿刺を行う部位は前胸部の真ん中にある胸骨か、もしくは骨盤を構成する腸骨で主に行われます。
どちらも骨髄液が採取しやすい場所となっています。
骨髄生検を行う場合は腸骨から行われます。
血液疾患の診断における重要性
骨髄穿刺は、血液疾患の診断や治療効果の評価において重要な役割を果たします。
特に、白血病や多発性骨髄腫、貧血などの疾患に対して、骨髄液の細胞成分を調べることで病気の進行具合や異常を確認します。
また、骨髄穿刺とともに行われる骨髄生検では、骨髄組織の構造を詳しく観察でき、より正確な診断が可能です。
検査前にしっかりと医師と相談し、理解を深めておくことが大切です。
骨髄穿刺の痛みはどの程度?麻酔で痛みを和らげる方法
検査のために骨髄穿刺を行う場合、局所麻酔で行われることが一般的です。
穿刺部位、骨の表面に局所麻酔をして痛みを感じづらいように準備をします。
局所麻酔のための針を刺すときには当然痛みがありますが、骨髄穿刺針に比べるとだいぶ細い針で行うことになります。
骨髄移植のドナーになるような、多量の骨髄液を採取する場合には全身麻酔で行われます。
全身麻酔であれば痛みを感じることはありません。
骨髄穿刺をされた方の体験談
局所麻酔で表面の痛み、骨に孔をあけるときの痛みはある程度緩和することができます。
しかし、針を刺して吸引する時の痛みは人によって強くでることがあります。
特に胸骨で行った場合には、「胸骨をバキバキに砕かれ、心臓をわしづかみにされたような感覚」と表現している方もいらっしゃいます。
腸骨で行った場合にも一定の痛みはやはりあり、「全身が引っ張られる」「なんともいえない違和感」「足や体が吸い上げられる感じ」「気持ちが悪い」などの表現がされるようです。
その一方で人によっては「あっという間に終わり全然痛くなかった」という場合もあります。
局所麻酔や体位の工夫など、痛みを和らげるために色々な試みがなされていますので、段々と楽に受けられるようになっていると言えるでしょう。
小児の骨髄穿刺
血液の病気は子どもにも起こるため、小児でも骨髄穿刺を行うことがあります。
大人でも子どもでも痛いものは痛い、のですが急に動いてしまうなど危険があるため子どもの場合には全身麻酔や鎮静薬を使用して検査が行われます。
大人と同じように、骨髄穿刺での情報が不十分な場合には骨髄生検針を使用して骨髄生検が行われます。
骨髄穿刺の費用
骨髄穿刺は血液疾患等の検査として保険適応となっている検査であり、その点数は胸骨で260点、280点となっています。
保険点数は1点が10円ですから、検査自体の費用はそれぞれ2600円、2800円ということになります。
実際にかかる費用はそれに3割、1割など自己負担額の割合をかけた数字ということになります(診察にかかる費用は別途かかります)。
再生医療等で行われる骨髄穿刺の場合、細胞の管理や培養、その後の処置など含めた1連の処置として値段が設定されていることが多いようです。
保険適応外となっていますので、自費負担となります。
ちなみに痛い検査ランキング
人間ドックや病院で行われる検査では、痛い、つらいものもありますね。
ランキング等で上位に挙がるのは、胃カメラのように体に管を通すものが多いです。
大腸カメラは管を通すこともつらいが、前処置(腸をきれいにする処置)が非常につらいという声も聞かれます。
管を通すものの中でも特につらいと思われるのは、気管支鏡検査です。
口からカメラを入れるのは胃カメラと同様ですが、気管支鏡は管が気管から肺の方に入ります。
肺は呼吸をする場所ですから、呼吸が苦しくなる検査として、「医者が最も受けたくない検査」として挙げられることも多いようです。
骨髄穿刺は「腰椎穿刺」と名前が似ていて間違えられることも多いようですが、腰椎穿刺は脊髄のまわりの液体(髄液)が自然に流出してくるものを採取するのに対して、骨髄穿刺は強く吸引して採取するためその際の痛みは骨髄穿刺の方が強くなると考えられます。
骨髄穿刺についてのまとめ
再生医療に使用されるための手技の一つである骨髄穿刺は、血液疾患に対する検査として古くから行われている安全な手法です。
それに伴う痛みはゼロにはなりませんが、段々と楽に受けられるようになってきています。
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