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アルツハイマー型認知症の新たな予防方法と新規治療

           

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認知症という言葉を毎日のように耳にするようになって久しいですが、関連してアルツハイマーという言葉も良く耳にします。
アルツハイマーという言葉は印象に残りやすいので、ご存知の方が多いと思います。
ところで、「アルツハイマー型認知症」の意味や定義をご存知でしょうか?
認知症と同じような意味、と理解している方も多いのではないでしょうか。
アルツハイマー型認知症は、認知症の数ある病型の一つです。
ここでは、アルツハイマー型認知症について解説していきます。

アルツハイマー型認知症とは

認知症と家族の協力
1906年にアロイス・アルツハイマーは、徐々に記憶が障害され妄想などの症状を起こした51歳の女性を報告しました。
その方の脳を調べたところ、萎縮した脳には老人斑と呼ばれる病変が多数認められ、神経の細胞には神経原線維変化という構造がありました。
その他の認知症とは異なる病態と考えられたため新たな疾患として、1910年頃から「アルツハイマー病」と呼ばれるようになったそうです。
当初は老年期になって起こる認知症とは区別して考えられていましたが、徐々に研究が進むと老年の方を含む多くの方がアルツハイマー病であると考えられるようになり、近年では「アルツハイマー型認知症」と呼ばれるようになりました。
認知症にはアルツハイマー型以外にも、血管性認知症や前頭側頭葉変性症などがあります。
65歳以上の4-5人に1人は認知症と言われる現在ですが、そのうち67.6%はアルツハイマー型と言われており、最も多い病型となっています。
病態の解明とともに診断基準は変遷してきており、現在ではもの忘れなど臨床症状に加えてMRIやPETなどの画像検査、体内の微細な物質(バイオマーカー)、遺伝子検査などにより精密な診断がくだされるようになっています。

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症の初発症状として多いのは、記憶障害です。
昔の記憶よりも最近の記憶が障害されやすいという特徴があります。
症状の進行に伴い日常生活の段取りや要領が悪く、以前よりも作業に時間を要するようになる(遂行機能障害)、外出先で道に迷いやすくなる(視空間機能障害)、「あれ、それ」が目立つようになる(言語障害)といった症状が起こります。
以上のような認知機能障害に加えて、感情のコントロールができなくなる、意欲がなくなったり妄想を抱いたりするといった行動・心理症状(BPSD)が起こり、生活への支障が大きくなってきます。
2018年米国国立老化研究所、アルツハイマー協会は診断基準(リサーチフレームワーク)を発表し、その中でアルツハイマー型認知症の症状をステージ1からステージ6までに分類しています。
それによれば

ステージ1-2
明らかな認知障害がないものの体内にはアルツハイマー型認知症の原因となる物質が認められる状態
ステージ3
軽度の認知機能低下を起こすものの日常生活は自立している状態
ステージ4-6
日常生活への影響が大きく
ステージ5
頻繁に介助が必要
ステージ6
重度認知症であり基本的な生活が営めなくなる状態

とされています。

アルツハイマー型認知症は予防できる?

アルツハイマー型認知症の症状が起こる時には、すでに脳の中で多数の老人斑が完成しているため、それから対処したのでは間に合わずアルツハイマー型認知症の予防は難しいと考えられてきました。
しかし老人斑の主要構成成分がアミロイドβという成分であり、それが検査により検出できるようになったこと、また遺伝子検査により家族性アルツハイマー病を早期に発見できる可能性があることなどから、発症前にアルツハイマー型認知症を診断できるケースが増えてきました。
ステージ1から2がその状態にあたり、その時点で適切な対処をすることで発症を予防できる可能性があります。
現在ではアミロイドβを除去することで病気進行の抑制を図る薬剤の研究が進められており、臨床試験が行われています。
製薬会社のエーザイと米医薬品会社のバイオジェンは、2022.9.28新薬の「レカネマブ」が認知症の症状悪化を抑制する効果を確認したと発表しました。
アルツハイマー型認知症の治療が大きく変わる瞬間が近づいているのかもしれません。

アルツハイマー型認知症に対する再生医療

アルツハイマー型認知症は予防が鍵で、発症してしまった時には脳が萎縮してしまい、それから病状を改善するのは困難です。
萎縮した脳を元に戻すことはできないからです。
一度確定してしまった神経の症状は改善することはなく、生涯残る後遺症となってしまいます。
その問題解決の糸口になるかもしれないのが、再生医療です。
再生医療とは、神経などの障害に対して細胞のもととなる幹細胞などを使用して臓器や組織を再生し、機能の回復を目指す医療です。
近年、脳梗塞や脊髄損傷など神経の障害に対して再生医療が応用され、成果が出てきています。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
アルツハイマー型認知症に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
アルツハイマー型認知症にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

アルツハイマー型認知症について解説しました。
発症前や早期アルツハイマー病に対して画期的な治療法が開発されようとしている一方で、進行してしまった病状に対して打つ手がないのは変わりません。
早期発見や予防に努めるとともに、再生医療が問題解決の一助になることが期待されます。


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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