アルツハイマー型認知症の末期症状 | 再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

アルツハイマー型認知症の末期症状

           

投稿日:
読み終わる時間は約 < 1


この記事を読んでわかること

アルツハイマー型認知症の一般的な経過
アルツハイマー型認知症の発症前段階
アルツハイマー型認知症の末期症状


アルツハイマー型認知症は認知症の病型で最も代表的であり、脳細胞の変性によって認知機能障害をはじめとする様々な症状が出現します。
末期には嚥下機能低下などの身体症状が出現し、日常生活が困難になってしまうことも少なくありません。
そこでこの記事では、アルツハイマー型認知症における末期症状に関して詳しく解説していきます。

アルツハイマー型認知症の一般的な経過

アルツハイマー脳
アルツハイマー型認知症とは「記憶を司る海馬を中心に脳細胞が萎縮していく進行性変性疾患」です。
脳の海馬と呼ばれる部位を中心に脳全体が徐々に変性し、認知機能や記銘力が低下していきます。
脳細胞にタウ蛋白やアミロイドβと呼ばれる異常蛋白が集積することで症状が出現することは判明していますが、なぜ異常集積してしまうのかの原因は現在に至るまで不明です。
ここでは、アルツハイマー型認知症の一般的な経過について解説します。

MCI

アルツハイマー型認知症の発症前段階をMCI(Mild Cognitive Impairment)、日本語で軽度認知障害と呼びます。
MCIとは記憶力や集中力・注意力の低下はあるものの認知症ほど症状は重くなく、日常生活にも及ぼさないため、はっきりと認知症とは診断できない状態を指します。
具体的には下記のような症状が挙げられます。

  • 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する
  • 本人または家族による物忘れの訴えがある
  • 全般的な認知機能は正常範囲である
  • 日常生活動作は自立している
  • 認知症ではない

物忘れの自覚はあるものの他の認知機能障害は認めないため、本人は不安や焦りを感じることもあります。
MCIから認知症に移行する方は全体の10〜15%と言われており、この段階での早期治療が非常に重要です。

初期

アルツハイマー型認知症は、その他の病型と異なり進行速度は緩徐であり、すぐに重大な影響を及ぼすわけではありません。
そのため、発症初期には日常生活に支障は少なく、症状も目立ちません。
とは言え、認知機能障害、見当識障害などが出現し始め、周囲からは「ボケが進行してきた?」と思われ始める時期です。
具体的な症状は下記の通りです。

  • 直前に食べた食事内容など最近の出来事を忘れる
  • 日時や季節を間違える
  • 計画的な行動が難しくなる

一方で、車の運転方法や家族の名前など、古くからの記憶は依然として保たれています
また、身体所見にはほぼ異常は見られず、人格にも変化を認めません。

中期

アルツハイマー型認知症の発症中期には、記銘力障害はさらに進行し、他にも失語や失行、失認、高次脳機能障害といった症状も加わります。
具体的な症状は下記の通りです。

  • ご飯を食べたこと自体忘れる
  • 古くからの記憶も忘れる
  • 着替えやお金の払い方などがわからない(失行)
  • 物の名前が上手く出てこない(失語)
  • 図形の模写ができない(構成障害)
  • 夜間の不穏な行動(徘徊やせん妄)

これらの症状によって日常生活にも支障が生じ始め、周囲の家族や友人の介助が必要になってきます。
さらに、性格の攻撃性の増加や情緒不安定などの精神症状もきたし、周囲の人を困らせるようになります

後期

アルツハイマー型認知症の発症後期には、中期で認めた症状がさらに進行します。
具体的な症状は下記の通りです。

  • 家族する認識できない
  • 筋力の低下・萎縮・廃用
  • 失語が進行し会話もできない
  • 排泄物を触ってしまう

まともな日常生活を送ることがほとんど困難であり、生活全般において周囲のサポートが必要になります。
コミュニケーションが困難であり、介護者の負担も非常に大きくなる時期です。

アルツハイマー型認知症の末期症状

では、最終的にどのような経過を辿るのでしょうか?
アルツハイマー型認知症の末期には、身体症状が顕著になります。
具体的には、筋肉の固縮や廃用による寝たきり、嚥下機能の低下、食思不振などです。
最終的な死因は誤嚥に伴う誤嚥性肺炎や、食思不振に伴う衰弱死が多いとされています。

まとめ

今回の記事では、アルツハイマー型認知症における経過と末期症状について解説しました。
アルツハイマー型認知症は進行性の変性疾患であり、発症当初は軽視していた症状も時間の経過とともに確実に進行していきます。
気付いた時には家族の名前も思い出せなくなり、会話や食事もままならず死に至ります。
特に、嚥下障害による誤嚥性肺炎が死因として多く、むせこむようになった時には注意が必要です。
前述したように、アルツハイマー型認知症は緩徐とは言え進行性の疾患であり、一度悪化した認知機能を直接改善するような治療法は現在でも見つかっていません。
しかし、近年では再生医療の発達も目覚ましく、既存の治療では不可能な変性細胞の再生も期待できます。
アルツハイマー型認知症によって変性した脳細胞が再生すれば、記憶力をはじめとする認知機能が再生する可能性もあり、現在のその知見が待たれるところです。

Q&A

アルツハイマー型認知症の余命は?
アルツハイマー型認知症の余命は研究結果によっても様々ですが、治療開始から概ね5〜12年と報告されています。
また、アルツハイマー型認知症と診断された患者の10年生存率は約19%とも報告されています。

アルツハイマー病患者は最終的にどうなる?
アルツハイマー病患者は最終的に認知機能が破綻し、家族であってもコミュニケーションが取れなくなります。
関連記事▶︎ アルツハイマー型認知症の新たな予防方法と新規治療

<参照元>
・健康ねっと:https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/dementia/863
・厚生労働省 e-ヘルスネット:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-033.html



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


再生医療の治療 各地クリニックの案内

YouTubeチャンネル

脳卒中や脊髄損傷など再生医療に関する情報はこちらでもご覧頂けます。
脳卒中ラボ

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ニューロテックメディカル・リハビリセンター

おすすめ記事

(腰椎損傷 下肢不全麻痺|30代 MK様)

おすすめ記事

最近の記事

  1. ワクチン接種後の視神経脊髄炎発症

  2. 女性特有の脳梗塞危険因子

  3. 脳梗塞後の口の麻痺とよだれ

【再生医療×リハビリテーションの可能性】オンライン講演会 Vol.1

ピックアップ記事

  1. 錐体外路症状のジスキネジアとは

  2. 脳卒中フェスティバル2021のお知らせ

  3. 脳梗塞と高血圧や高脂血症の関係

おすすめ記事

  1. ハンチントン舞踏病の原因と特徴

  2. くも膜下出血の後遺症

  3. 三種類の予防対策でくも膜下出血を防ぐ

各クリニックのご案内

福永診療所
脳梗塞・脊髄損傷クリニック
リブラささしまメディカルクリニック

脳卒中・脊髄損傷の後遺症の
       お悩みや治療のご相談
お気軽にお問い合わせ下さい

0120-955-573

[電話受付]平日9:00~18:00/土曜日13:00迄/日祝休