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脊髄小脳変性症の予後と寿命

           

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この記事を読んでわかること

脊髄小脳変性症は遺伝性の病気なのか
脊髄小脳変性症になると、どのような経過をたどっていくのか
脊髄小脳変性症になった場合の寿命はどれくらいか


脊髄小脳変性症とは、進行性に小脳や脊髄の神経細胞が変性してしまうことで、歩行時のふらつきやろれつが回らなくなるなどの症状が出る神経変性疾患です。
脊髄小脳変性症には遺伝子の関与が考えられるものもあります。
今回の記事では、脊髄小脳変性症の予後や寿命について、詳しく解説していきます。

脊髄小脳変性症の遺伝的要因

脊髄小脳変性症は、神経変性疾患であり、特に脊髄と小脳に影響が出る病気の総称です。
診断方法としては、臨床的な症状と、遺伝子的な診断を用いていきます。
例えば、臨床的に小脳や脊髄の障害が原因となる運動失調や痙性対麻痺(けいせいついまひ;下半身がつっぱるように麻痺すること)が主な症状となることや、徐々に発病し、経過がゆっくりとしていることなどの特徴を有し、遺伝子診断か神経病理学的な診断がついている場合には、確定的に脊髄小脳変性症であると考えられます。
この病気は運動調節の障害を引き起こし、歩行困難、調整運動障害、言語障害などの症状が現れます。
本記事では、脊髄小脳変性症の遺伝的要因、余命と生活の質、発症年齢と疾患の進行について解説し、予後と寿命についても述べていきます。
まず、脊髄小脳変性症の遺伝的な要因について解説します。
脊髄小脳変性症は、遺伝的要因によって引き起こされることがあります。
しかしながら、実際には遺伝とは関係のない脊髄小脳変性症(多系統萎縮症やオリーブ橋小脳萎縮症などの病気があります)が最も多く、約3分の2を占めています。
そして、残りの3分の1が遺伝性の原因を有する脊髄小脳変性症です。
この疾患は、常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖遺伝など、さまざまな遺伝形式で発症することが知られています。
例えば、常染色体優性遺伝では親子で病気が遺伝しお子さんには2分の1の確率で病気の遺伝子が受け継がれることになります。
家族にこの病気がある場合には、医療機関でのカウンセリングを受けることが勧められます。

脊髄小脳変性症の余命と生活の質

脊髄小脳変性症の余命と生活の質
脊髄小脳変性症の余命は、疾患の型や進行速度、合併症の有無によってそれぞれ異なります。
一般的に、症状の進行はゆっくりとしているため、診断後数十年生存することが可能です。
しかし、生活の質は疾患の進行に伴い低下することが一般的であり、歩行困難や自立した生活が難しくなることがあります。
早期のリハビリテーションや支援サービスの活用が生活の質の維持に重要です。
脊髄小脳変性症では、集中リハビリトレーニングによる症状改善効果があることがわかっています。
そして、トレーニング後も効果が持続し、インターバルをあけて繰り返しトレーニングを行う事で、効果が強まることが、様々な検討により明らかになってきています。
通院や入院でのリハビリテーションに加えて、自主的なトレーニングを継続することで、効果の持続が期待できるとされています。
リハビリテーションを行うにあたっては、転倒などのリスクに配慮する必要があり、リハビリテーションスタッフの適切な指導の下で行う事が重要です。

発症年齢と疾患の進行

脊髄小脳変性症の発症年齢は、疾患の型によって異なりますが、成人期に発症することが多いです。
なお、典型的な脊髄小脳変性症は30〜40歳代での発症が多いとされています。
発症年齢が若い場合は疾患の進行が早い傾向がありますが、個々の患者によって進行速度は大きく異なります。
疾患の進行を遅らせるためには、定期的な診察や症状に合わせた治療が重要です。
一方で、脊髄小脳変性症の一つである多系統萎縮症では、病気が発症してから平均約5年で車椅子使用になり、約8年で寝たきりの状態になるという報告もあります。

まとめ

脊髄小脳変性症の予後と寿命は、疾患の型、遺伝的要因、発症年齢、治療の適用などによって異なります。
いまのところこの疾患を根治する治療法は存在しませんが、症状の管理やリハビリテーションによって生活の質を向上させることが可能です。
脊髄小脳変性症の診断を受けた場合は、専門医による定期的な診察や治療を受けることが重要です。
一方、脊髄小脳変性症に対して、脂肪由来間葉性幹細胞である「ステムカイマル」という再生医療製品による臨床試験が行われており、その有効性が示されつつあります。
当院では、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義し、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『脳の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
今後も、脊髄小脳変性症などの従来の治療では完治が難しい病気に対する再生医療に対しても取り組んでいきます。

Q&A

脊髄小脳変性症の原因は遺伝ですか?
脊髄小脳変性症のうち3分の1程度が遺伝によるものだと考えられています。遺伝性の脊髄小脳変性症の場合も、その遺伝様式はさまざまであり、親がこの病気でも必ずしも子供に遺伝するとは限りません。

脊髄小脳変性症の遺伝を予防する方法は?
脊髄小脳変性症が遺伝するタイプの場合、優性遺伝では子供の2分の1に病気が現れると考えられます。これを予防する方法というのは、現時点では見つかっていません。もしもご自身が脊髄小脳変性症あるいは親がその病気であるのであれば、遺伝カウンセリングなどを受けていただくこともおすすめします。

<参照元>
脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18):https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879
脊髄小脳変性症のケア | 健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sekizuishounouhenseishou/care.html
脊髄小脳変性症の治療 | 健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sekizuishounouhenseishou/chiryo.html
再生医療製品ステムカイマルの国内第II相臨床試験結果のお知らせ PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000099302.html


あわせて読みたい記事:遺伝性脊髄小脳変性症とは

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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