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オリーブ橋小脳萎縮症とは

           

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この記事を読んでわかること

オリーブ橋小脳萎縮症とは
オリーブ橋小脳萎縮症の症状
脳の萎縮があるとどうなる?


脳や神経に発生する病気には血管障害(脳梗塞や脳出血)、外傷、腫瘍など様々な物がありますが、他に変性疾患という病気があります。
変性疾患というのは、はっきりしたきっかけが無いにも関わらず神経の機能が徐々に失われ、症状が進行する疾患のことを言います。
頻度が高い変性疾患にはアルツハイマー病やパーキンソン病がありますが、珍しいものに脊髄小脳変性症という病気があります。
脊髄小脳変性症には様々なタイプがあり、細かく分類されます。
この記事では、そのうちの一つである「オリーブ橋小脳萎縮症」について解説します。

オリーブ橋小脳萎縮症とは

脊髄小脳変性症というのは、小脳を中心として神経が変性してしまう疾患群を総称した呼び方です。
その中に多系統萎縮症という疾患があり、次の3つのタイプに分けられそれぞれに名前がついています。

  • 小脳失調型:オリーブ橋小脳萎縮症
  • 大脳基底核型:線条体黒質変性症
  • 自律神経型:シャイ・ドレーガー症候群

いずれも難病指定されており、治療が難しい疾患です。
多系統萎縮症のうち小脳失調の症状が目立つのがオリーブ橋小脳萎縮症であり、小脳とその近くにあるオリーブ核・橋核に変性が起こります。
多系統萎縮症は国内に約11000人いるとされており、そのうち70-80%はオリーブ橋小脳萎縮症であると推定されています。
オリーブ橋小脳萎縮症のはっきりした原因は不明であるものの、脳にある神経細胞にα-シヌクレインという物質が蓄積していることが分かっています。
α-シヌクレインはパーキンソン病やレビー小体型認知症の原因にもなる物質です。

オリーブ橋小脳萎縮症の症状

小脳は体のバランスを保ったり、手の細かい動きを調節したりする機能を担っています。
その機能が低下するため、立ち上がりや歩行中のふらつきが生じ、呂律が回らず箸を使う、字を書くなど細かい動きがスムーズにできなくなります。
進行すると自律神経の症状を来すため、立ちくらみや排尿障害などが起こります。
また、パーキンソン病のように動作が遅く緩慢になるといった症状が徐々に進行します。

オリーブ橋小脳萎縮症の治療とリハビリテーション

オリーブ橋小脳萎縮症に対する確立した治療はありません。
神経の変性や病状の進行を抑えるのは難しいため、対症療法が中心となります。
歩行訓練や立位訓練などのリハビリテーションを行うことで、ふらつきが改善することがあります。
転倒のリスクがあるため手すりをつける、状況によって杖や車いすなどの使用を検討するといった対処が重要になります。

オリーブ橋小脳萎縮症に対する再生医療

オリーブ橋小脳萎縮症などの難病は治療が難しく、根本的な治療が無いというのが現状です。
しかし近年、神経変性疾患に対して間葉系幹細胞を使用した治療が試みられ、注目を集めています。
間葉系幹細胞とは骨髄や脂肪などから比較的容易に採取できる細胞で、神経や血管に成長し増殖することのできる細胞です。
自分の細胞を治療に使用できるというメリットがあります。
韓国の研究では、33人のオリーブ橋小脳萎縮症の患者さんを2グループに分け、一方には間葉系幹細胞を移植し、もう片方にはプラセボ(偽薬)を使用し比較が行われました。
それによれば、間葉系幹細胞を移植した群でより良いスコア(UMSARS:動作や機能を元に点数化される評価尺度)が記録されたということです。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
オリーブ橋小脳萎縮症に対しては、再生医療と同時刺激する最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
オリーブ橋小脳萎縮症の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

オリーブ橋小脳萎縮症について解説しました。
神経の難病は治療が難しく、患者さんやご家族だけでなく医療者も頭を抱えてしまう疾患の一つです。
再生医療など新たな試みがどのような成果をもたらすのか、今後の動向が注目されます。

Q&A

オリーブ橋小脳萎縮症 余命は?
発症年齢や病状により異なります。多系統萎縮症を対象とした国内の研究では、発症後平均5年で車いす使用、約8年で寝たきりとなり9年程度の余命となることが報告されています。

脳の萎縮があるとどうなる?
神経細胞が変性し脳が萎縮すると機能が失われます。萎縮が起きる場所により症状が異なり、オリーブ橋小脳萎縮症では小脳を中心とした萎縮が起きるため、初期から小脳失調の症状が目立ちます。

<参照元>
・「多系統萎縮症」Pharma Medica 39(3), 2021
・「多系統萎縮症(2)オリーブ橋小脳萎縮症」難病情報センターホームページ
https://www.nanbyou.or.jp/entry/60


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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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