傷ついた神経は修復する事ができるか?|再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

傷ついた神経は修復する事ができるか?

           

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この記事を読んでわかること

神経修復の助けになる食べ物
傷ついた神経を修復する仕組み
大阪大学とJSTの研究内容


一度傷ついてしまった神経はもう回復しない。この認識はもはや過去のことです。
事故や病気で神経が傷ついた場合にも、リハビリや自分で自分を治す力(再生能力)は当然大事なのですが、食事やお薬によって修復できる場合もあることが明らかになりつつあります。もちろん、必ずしも神経が回復する訳ではありませんが、この記事では神経修復の助けになる食べ物や神経修復に向けた最新の研究などをご紹介します。

傷ついた神経を修復する食べ物

神経の修復には食べ物が深く関わっています。
例えば、ビタミンB12欠乏性神経障害という病気はビタミンB12と呼ばれる栄養素が不足しているために神経症状が現れます。
菜食主義者や慢性的にアルコールを過剰に摂取する人がなりやすい傾向にあります。

ビタミンB12 神経修復

しじみ汁
このようにビタミンB12は神経の修復に関与していることがわかります。
このため、ビタミンB12は不足すると病気になりますが、一方で神経修復のための治療にも用いられています。
電気信号を身体の隅々まで即座に伝える神経細胞はタンパク質とリン脂質から構成されていて、ビタミンB12には、それらのタンパク質やリン脂質の生成を促す作用があるのです。

ビタミンb12を多く含む食べ物

ビタミンB12は牛や豚のレバー、や魚介類、しじみやアサリなどの貝類に多く含まれています。
また、朝食用のシリアルの中にはビタミンB12を多く含む種類もあるので、チェックしてみるといいでしょう。

末梢神経 修復期間

一度傷ついた神経の修復にはとても時間がかかります。
具体的な期間は、神経がどのくらい傷ついているのかによりますが、数ヶ月や数年症状が続く場合や、食事や薬を服用しても完全に修復されない場合もあります。
例えば、圧迫による神経障害は、障害されるまでには一日と経たない短時間であるにもかかわらず、修復までの時間は数ヶ月かかることもあるのです。

神経の修復薬メコバラミン

メコバラミンB12
神経の修復を促すお薬として、メコバラミン(商品名:メチコバール)と呼ばれるビタミンB12に関わるお薬があります。
摂取不足によって神経障害が起きてしまうビタミンB12を薬によって補う方法で、神経修復をサポートしてくれます。
メコバラミンは頚椎症などによる痺れや痛み、麻痺、冷え性等の自律神経障害の治療に使われることが多いです。

傷ついた神経を修復する仕組みを解明

神経細胞の修復
神経には大きく分けて、脳と脊髄からなる中枢神経と中枢神経と組織の情報を伝達する末梢神経に分けられます。
ここまでの説明では、主に末梢神経の修復に関する説明をしました。
一方で、傷ついた中枢神経末の修復のための治療は確立されていません。
中枢神経では傷ついた神経を修復することができるのでしょうか?
傷ついた中枢神経を修復する仕組みに迫る膵臓から分泌されるFGF21というタンパク質の発見についてご紹介します。

大阪大学とJSTの研究内容

大阪大学とJST(科学技術機構)の研究では、膵臓から分泌されるFGF21タンパクが中枢神経の修復に関わることが明らかになりました。
一般に脳や脊髄の血管の構造は他の身体の血管とは少し異なり、中枢神経を守るために特殊なバリアが施されています。
そのために、物質が血管を通りづらいという特徴がありました。
この研究では脳脊髄の外部にある臓器から分泌される物質がこの血管のバリアを超えて、脳や脊髄の神経回路修復に影響を与えることを初めての発見したのです。
研究はFGF21というタンパク質を身体の中で作ることができる普通のマウスと作ることをできなくしたFGF21欠損マウスの神経修復の違いを比較して行われました。
神経修復の度合いを示すため、神経の髄鞘と呼ばれる部分を損傷してから14日後に足を踏み外す割合等を比較したところ、FGF21を作ることができないマウスでは、症状の改善が抑制されていることがわかりました。
さらに、そのマウスにFGF21を投与すると、髄鞘の修復が活性化されることも明らかになりました。
さらに研究チームは、多発性硬化症という病気の患者さんの脳オリゴデンドロサイト前駆細胞FGF21が増殖していることや、培養実験で、オリゴデンドロサイト前駆細胞と呼ばれる細胞がFGF21投与によって増殖することも明らかにしています。
この研究より、脳脊髄の外で作られるFGF21タンパクも、多発性硬化症などの髄鞘障害がある疾患の治療に今後つながってくるのではないかと注目されています。

(参考サイト)
大阪大学 科学技術振興機構(JST)
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20170822-3/index.html

まとめ

傷ついた神経を修復することは容易なことではありません。
しかしながら、傷ついた末梢神経に対して、食事内容の見直しや薬による治療をすることで、神経の修復を期待できることもあります。
そして、現在では効果的な治療方法が確立されていない中枢神経領域の神経の修復についても様々な研究が進められています。
一度傷ついてしまった神経はもう回復しない。
この認識はもはや過去のものになりつつあるのです。

よくあるご質問

神経は再生しますか?
再生能力は限られていますが、神経は再生することができます。
具体的には、末梢神経は再生能力がある一方、中枢神経(脳や脊髄)は再生能力が限られていますが、中枢神経系の再生を促進する方法として「再生医療」が注目されています。

傷ついた神経は治る?
中枢神経の場合、神経損傷は重度で再生能力も限られているため、完全に治癒することは難しいとされていますが、最近では、再生医療における幹細胞治療などの新しい治療法も開発されており、中枢神経の損傷治療の展望はますます明るくなっています。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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