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嚥下障害の看護と自宅で必要なケア

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脳出血の後遺症などによってあらわれる嚥下障害。
人生における楽しみのひとつである食事を摂るという行為が、正常に機能しなくなった状態です。
また嚥下障害は、誤嚥性肺炎や窒息、脱水などを引き起こし生命を脅かす可能性もあります。
このブログでは、嚥下障害の看護の役割である嚥下障害の評価や嚥下訓練、口腔ケアなどについてご紹介します。

嚥下障害とは?

食べ物を口に入れてから飲み込むまでの過程が、正常に機能しなくなった状態を嚥下障害といいます。
嚥下障害になると食べ物が飲み込みにくい、つかえる、むせる、咳き込むなどの症状があらわれやすくなります。
嚥下障害を引き起こす原因は、腫瘍やALS、脳出血などの後遺症、加齢による咀嚼力の低下などがあります。

嚥下障害の看護の役割

嚥下障害の看護の役割は、嚥下機能の評価、嚥下訓練の実施、食事の介助、食形態の選択、口腔ケアなど多岐に渡ります。

嚥下障害の評価

まずは問診で既往歴や飲み込みにくさ、むせの有無、食事時間、口の渇きなどを確認します。
次に、食事の様子や呼吸の状態、口腔内の状態、血圧や心拍数などを観察してから、スクリーニング検査、嚥下造影検査、嚥下内視鏡検査を行い診断します。

スクリーニング検査

スクリーニング検査とは、嚥下障害の疑いがある方に比較的簡易的な検査を行いさらに絞り込むために行う検査です。
嚥下障害のスクリーニング検査には以下のようなものがあります。

反復唾液嚥下テスト
30秒間で唾液を何回飲み込めるかを調べるための検査で、2回以下の場合は問題がある可能性が高くなります。
改訂水飲みテスト
少量の水を口に含んで飲み込んでもらいます。そのときのむせの有無や呼吸変化、声の変化などで嚥下機能を評価するテストです。
フードテスト
プリンなどの半固形物を茶さじ1杯を飲み込んでもらい、その後の口の中に残っている食べ物やむせの有無、呼吸変化などで嚥下機能を評価するテストです。
頚部聴診法
フードテストのとき聴診器を頚部に当てて嚥下音や飲み込む前後出の呼吸音の変化を確認することで嚥下機能を評価するテストです。

機器を使った詳細な検査

スクリーニング検査で嚥下障害の可能性が高まった方は、嚥下の様子を観察することができるより詳細な検査を行います。

嚥下造影検査
エックス線による透視下で実際に造影剤を混ぜた食べ物や飲みものを飲み込んでもらい、誤嚥の有無を目視で確認できる検査です。
嚥下障害がどの部分で起こっているのかわかるだけでなく、確実に飲み込むことができる姿勢や患者に適した食物状態などを検討する際に利用できます。
嚥下内視鏡検査
鼻から内視鏡を入れ、嚥下時の咽頭や喉頭を観察できる検査です。
ベッドサイドで繰り返し行えるという点はメリットですが、内視鏡の先端は咽頭部にあるため咀嚼の様子や食塊形成の過程などを観察するることができません。

嚥下障害のリハビリテーション方法

嚥下訓練には、食べ物を使わない間接訓練と実際に食べ物を使って行う直接訓練があります。

間接訓練

嚥下にかかわる器官の働きを改善するために行う訓練です。
間接訓練の一部には以下のようなものがあります。

のどのアイスマッサージ
嚥下反射遅延がみられる方に対して、反射誘発部位を冷却刺激することで嚥下反射を促します。
ブローイング訓練
ストローを水の入っているコップに入れて優しく息を吐く訓練。
肺機能、鼻咽腔閉鎖機能、唇を閉じる力の強化のために行います。
頭部挙上訓練
仰向けに寝たまま頭部だけを挙上しつま先を見る。
嚥下するために必要な喉頭挙上を促すために、舌骨上筋群や喉頭挙上筋群などを強化します。
プッシングエクササイズ
座っている椅子を引っ張りながら発声する。
声門閉鎖を促し誤嚥を予防するために行います。
メンデルゾーン法
喉仏に手を当てて嚥下すると同時に挙上させ数秒保つ。
嚥下時に喉頭が十分に上がらない方や食道の開きが不十分な方に対し、喉頭挙上量と時間を延長させるために行います。

直接訓練

実際に食物を用いて行う訓練で誤嚥や窒息の危険性があることから、専門家の指導のもと慎重に行わなければいけません。
直接訓練の一部には以下のようなものがあります。

交互嚥下
異なる状態の食べ物を交互に摂る。
嚥下反射を促し、咽頭に残留した食べ物を減らすために行います。
複数嚥下
食べ物を嚥下したあとに、一度空嚥下する。
咽頭の食物残留を減らすために行います。
意識嚥下
食べ物をしっかり飲み込むことを意識しながら嚥下する。
誤嚥の予防や咽頭の食物残留を減らすために行います。
咳払い
食事中に咳払いをする。
誤嚥の予防のために行います。
一口量
適切な量を食べることで、誤嚥や咽頭残留を減らすために行います。

食形態の選択

異常がある部位によって食形態を工夫すると、飲み込みやすくなります。
例えば、咀嚼機能に問題がある方には、食べ物を細かく刻んだり、柔らかく調理することで飲み込みやすくなります。
また飲み込みに異常がある方には、食べ物にとろみをつけることで誤嚥を防ぐことができます。

食事の介助

ひとりで安全に食事が摂れない方には、食事の介助をしてあげる必要があります。
誤嚥予防のために、食事前に体調チェックや排泄、食事に集中できる環境作り、手洗い、食事中の姿勢などを確認してください。
食事介助の際に気をつけなければいけないポイントは以下の通りです。

  • 介助する方とされる方の目線を同じ高さにして、介助される方の横に座りましょう。
  • こまめに水分を補給することで、飲み込みやすくなるため、食事をスムーズに摂れるようになります。
  • 小さじ1杯ほどを口の手前に入れ、唇が閉じたらスプーンをそっと抜くようにしましょう。
  • 長時間食事を摂っていると疲れてしまうため、20~30分で終わるように調整してください。

口腔ケア

食事をしたあと、食べかすなどが口の中に残っていると細菌の増加を招きます。
口腔内を清潔に保つことは、細菌の増加を予防し誤嚥性肺炎のリスクを低下させることに繋がるのです。
また就寝中に口腔内細菌は増加する傾向があるため、就寝前と起床後にも口腔ケアすることをおすすめします。

嚥下障害の看護は重要な役割を果たしています

嚥下障害の看護の役割についてご紹介しました。
食事を摂るということは、生きていくために必要な栄養を摂るというだけではありません。
味を楽しみ、食感を楽しみ、一緒に食事をする人との会話を楽しむといった意味もあり、食べることは人生において大きな楽しみのひとつです。
また嚥下障害は誤嚥性肺炎や窒息などの深刻な状況を招く可能性があるため、嚥下障害の看護はとても重要な役割を果たしています。



貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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