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被殻出血と被殻出血に伴う後遺症

           

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殻出血は脳出血のなかでも最も多いタイプです。
血圧管理が不十分な人に発症し、半身麻痺と言語障害を主たる症状とします。
特に優位半球の被殻出血では、利き手の麻痺と全失語をきたすことがあり、手術等により救命できたとしても後遺症により生活の質が大きく下がってしまう可能性があります。
再生医療には、その問題を解決する可能性を秘めています。

被殻とは

大脳の構造物である被殻(ひかく)ですが、具体的にどのような場所にあり、どのような役割を果たしているのでしょうか。
まずは簡単にご紹介します。

被殻の場所

被殻は大脳の深く、脳のほぼ中央にあたるところに、左右対称に位置しています。
大脳基底核と呼ばれる構造物のひとつでもあり、尾状核と呼ばれる別の大脳基底核と一緒に、背側線条体を形成しています。
線条体には背側のほかに腹側線条体がありますが、この線条体という名称は、尾状核と被殻が大脳新皮質や視床からの神経繊維の束である内包によって分断される場所で、互いに連携している部分が筋の通った線のように見えることから命名されています。

被殻の役割

被殻が構成要素となっている背側線条体は、わたしたちの手足の動きを制御しているほか、意思決定や運動機能に深く関わっていることがわかっています。
背側線条体を介して視床、脳幹、大脳の運動新皮質などが連携しており、身体運動のあらゆる面をサポートしています。
神経学者のなかには、被殻が運動の選択、および以前に学習した運動を自動的に実行する際にも、役割を担っていると考えている人たちがいます。
特に「強化学習」に関係していると考えられており、過去の経験をもとに、その状況で最も望ましい行動を選択する際に、被殻が大きく関与しています。
なお、パーキンソン病の方が被殻に影響を受けることがあります。
この場合、自分の意思とは異なる動きをする不随意筋運動や手足の震えをきたすことがあります。
また舞踏病と呼ばれるハンチントン病のような脳の変性疾患も、被殻の機能が影響を受けると予測不能で意図に従わない動きをすることがあります。

さらに被殻の働きが障害を受けると、レストレスレッグス症候群を引き起こすことがあります。
レストレスレッグス症候群では、以前はむずむず脚症候群と呼ばれていましたが、夕方から夜にかけて足のムズムズする不快感が出現し、脚がピクピクと動き、脚を動かしたい衝動に駆られます。
十分な睡眠をとること、食事からカフェインを取り除くこと、パーキンソン病で使用する薬などを服用することで治療します。

被殻出血について

続けて被殻出血について説明します。

被殻出血の原因

実は、被殻出血は脳出血のなかでも最もよくみられる出血部位です。
管理が不十分な高血圧、動脈硬化が影響しますが、被殻を通る「レンズ核線条体動脈」が動脈硬化によって破綻することが原因です。

被殻出血の症状

被殻が果たす役割からもお分かりいただけるかもしれませんが、被殻出血では運動機能が障害される症状がみられます。
特に出血を起こした場所と反対側の半身の手足の運動麻痺がみられます。
また同じく反対側の顔面の運動障害を伴うこともあります。
麻痺の程度や範囲は出血の程度によって異なり、運動麻痺だけでなく、感覚障害を認めることもあります。
逆に出血量が少なければ、ほとんど症状がないこともあります。
そのほかにも脳の優位半球(左側)の被殻出血では、失語症を認めます。
失語症には、言葉は理解できるが発語ができない運動性失語と外部から入る情報そのものが理解できなくなる感覚性失語がありますが、左側の被殻出血では、その出血の範囲によって運動性失語のみ、感覚性失語のみ、また両方の失語(全失語)が発症します。
また出血の範囲が広くなれば、意識障害をきたすこともあります。

被殻出血の治療法

被殻出血の治療は、そのほかの脳出血の治療と同様に、まずは呼吸と循環を含む全身状態の安定が優先されます。
そのうえである程度の出血量があり、予後の改善が期待される場合に、出血のためにできた血液の塊(血腫)を取り除く手術を行うことがあります。
手術は頭蓋骨を切断して行う開頭術が主に行われてきましたが、最近は頭蓋骨に小さな穴を開けて内視鏡を用いる術式が増えてきています。
術後は、呼吸や循環に加えて栄養や感染予防の管理を継続して行います。
また予後を改善するために、早期からリハビリにも取り組むことになります。

被殻出血の後遺症

被殻出血の後遺症についてご説明します。
脳出血の後遺症は、主に発症したときの症状が十分に改善しないために、継続して認められることが一般的です。
したがって被殻出血では、出血した部位と反対側の半身麻痺が主たる後遺症となります。
そのため後遺症の程度によっては、日常生活における動作をひとりではできないレベルから多少の介助を受ければ問題なく生活できるレベルまでさまざまです。
特に左側の被殻出血であれば、右利きの方にとって細微な動きができなくなり、生活においてかなりの負担が生じることになります。
それだけでなく、全失語となってしまうと、コミュニケーションをとることも難しくなり、生活の質は大きく下がると言わざるを得ません。

被殻出血と再生医療

再生医療は、被殻出血にも有効な治療法として注目されています。
特に発症から時間が経過し、リハビリでも十分な効果を感じることができない状態の方は、自らの骨髄由来の幹細胞を点滴し、並行してリハビリを行うことで生活の質が大きく向上することが期待できます。

まとめ

脳出血の最も多いタイプである被殻出血、そしてその後遺症について簡単にご説明しました。
被殻出血後の生活の質は、たとえ一生懸命リハビリに取り組んだとしても、満足できるものにならないかもしれません。
ニューロテックメディカルでは、そのようなお悩みを感じておられる方に、リハビリに加えて再生医療という最新治療も提供することで、悩みの解決に共に取り組みたいと考えています。
ぜひ遠慮なくご相談ください。


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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