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突然襲ってくる脳溢血とは

           

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いつも元気だったのに、急に倒れてしまう脳卒中。
2018年の死因統計でも、悪性新生物、心疾患、老衰に続く、日本の死因の第4位に位置する病気です。
脳卒中の中には、脳の血管が詰まってしまう脳梗塞と脳の血管から出血が起きる脳溢血(脳出血)との2つの種類に大きく分けられます。
この記事では、脳卒中の中でも脳溢血にフォーカスして説明していきます。
急に倒れて脳溢血と診断された時には、どんな治療が待っていて、その後の生活にはどんな影響があるのかを解説します。

脳溢血とは

脳溢血分類
脳溢血は脳の血管が破れてしまって、脳の細い血管から血液が流れ出てしまい、脳内の神経細胞を圧迫してしまう状態で、脳出血とも呼ばれています。
圧迫された神経細胞の働きが障害されることにより、意識を失ったり、頭痛、嘔気嘔吐、手足の麻痺や言語障害などの症状が見られることが特徴です。

脳溢血 原因

脳溢血の原因は高血圧が最も多いことがわかっています。
長期間血圧が高いことによって、脳の中の血管に負担がかかり続けた結果として、脳の血管が破れてしまいます。
高血圧が原因で起こる脳溢血の割合は約60%で、日中の中で血圧が高くなる午前中や1年の中で血圧が高くなる冬には脳溢血で病院に運ばれる患者さんの数が増える傾向にあります。
血圧以外の原因としては、脳動静脈奇形、海綿状血管腫、脳アミロイドアンギオパチーなどの脳の血管病変が原因になることもあります。

脳溢血 分類

脳溢血(脳出血)は、出血する部位によって分類されていて、それぞれ病名も変わってきます。
障害される部位の違いやそこにたまる血液の量(血腫)によって、現れる症状も違います。

被殻出血とは

被殻出血は脳溢血全体の中で最多の約29%を占めています。
日中の活動時に突然の頭痛、意識障害や出血した側とは反対側の顔の麻痺と片麻痺、感覚障害などの症状が現れます。

橋出血とは

被殻出血の次に多いのが橋出血です。
橋は生命活動を維持するために大切な機能を担っています。
呼吸などを制御しているので、この部位で脳溢血が起きてしまうと、出血が少量だとしても、昏睡や呼吸障害、四肢麻痺が起こることがあります。
また、橋出血を発症すると、瞳孔が小さくなる症状も見られます。

視床出血とは

出血と反対側の感覚障害と軽度の片麻痺など、被殻出血と似たような症状を示します。
脳溢血は目の動きも特徴的で、鼻を見つめるという特徴もあります。
橋出血と同様に予後の悪い種類ではありますが、出血量が少ない場合には予後が悪くない場合もあります。

小脳出血とは

小脳は身体のバランスを保つ働きをしている脳の一部です。
小脳で出血をしてしまうと、突然の後頭部の頭痛、目の前がグルグルするようなめまい、反復する嘔吐の症状が現れます。
脳の中を流れる髄液が流れる経路が小脳の近くを走っているので、その経路が圧迫されると水頭症と呼ばれる病態に進行することもあります。

大脳皮質下出血とは

大脳皮質は脳の表層に位置する皮質というところで、大脳皮質下出血は、そこから出血してしまう脳溢血の分類です。
大脳皮質下出血では出血部位によって現れる症状が違います。
例えば、頭の上の方の頭頂葉では、脳溢血が起きた方とは反対側の身体の感覚障害が現れます。
前頭葉は運動に関わる神経がたくさんあるので、障害された側と反対側の運動麻痺が起きます。
側頭葉が障害された時には、突然うまく話せなくなったり、話そうとしても言葉が出てこないというような症状が現れます。
後頭部には、視覚に関する細胞が存在しているので、視野の片方が見えにくくなり、この状態は同名半盲と呼ばれています。

脳溢血前兆

脳卒中には、脳梗塞と脳溢血があると説明しましたが、脳溢血には前兆がありません。
脳梗塞では、一過性脳虚血という前兆もありますが、脳溢血にはそのような前兆がないのです。
脳梗塞かもしれないというような前兆が現れた時に、病院に相談するのはもちろんのこと、脳溢血を引き起こさないような日頃からの生活が大切です。

脳溢血の後遺症

脳溢血の後遺症は障害された脳の細胞の程度によって様々です。
後遺症が残ることもあり、身体の麻痺や感覚の障害、高次脳機能障害という様々な障害もあります。
このような後遺症を軽減するためにも、症状が現れた時には、すぐに病院に行くこと、そして、リハビリテーションを行うことがとても大切です。

脳溢血 治療

脳溢血の治療は、画像検査から得られた出血の部位と患者さんの意識レベルから判断して決定されます。
意識が比較的保たれている場合には、次に説明する内科的治療を行いますが、意識が保てない場合には血腫を取り除く手術を行うこともあります。
意識レベルが下がっていない場合の内科的治療は、血圧を下げるところから始まります。
脳浮腫と呼ばれる脳のむくみがある時には、むくみをとるためのお薬を服用することもあります。
必要に応じて、呼吸の管理を行うこともあります。

脳溢血 治療期間

治療期間
脳溢血の治療は急性期、回復期、維持期の3つの期間に大きく分けることができます。

急性期

脳溢血の症状が現れてから身体の症状が安定するまでの期間を急性期と言います。
急性期は一般には2週間ほどの長さであることが多く。
生命の維持のために必要な治療を行いながら、大丈夫と判断された時にはベットサイドでのリハビリテーションを行います。

回復期

生命の危機を脱して、本格的にリハビリテーションができる時期を回復期と言います。
回復期には、リハビリテーション病棟と呼ばれる施設にて、日常生活で必要となる身体の機能を取り戻すことを目標にリハビリを行います。
ベットサイドでの運動や座る立つ、歩くなどの運動や、言語や嚥下のような口や喉の機能の回復、そのほか、高次脳機能障害と呼ばれる後遺症に対して、患者さんに合わせてたリハビリを行います。

維持期

回復期に取り戻した身体機能を維持するのが、維持期の役割です。
一度回復した機能でも、脳溢血の影響で動かしづらく、動かさない期間が長くなると、再び機能低下が起きる可能性もあります。
そのために、維持機にはクリニックの外来にて物理療法を定期的に受けたり、日常生活の中で意識して、身体を動かすことが大切です。

脳溢血 死亡率

脳溢血の死亡率は約10%ほどと考えられています。
ただ、病気の起こる部位によって、予後も変わります。
一般には、橋出血や視床出血などの生命機能に直接関わる部位の近くでの出血では予後があまり良くありません。
一方で、被殻や小脳での出血は比較的良好な予後をとる傾向にあるようです。

脳溢血 再発予防

脳溢血の最大の再発予防は生活習慣の改善と高血圧に対する治療薬です。
高血圧の原因となるのは、過食、運動不足、過度な塩分摂取、多量の飲酒などがあるので、普段からの食生活や運動習慣を見直すことが大切なのです。
高血圧の改善の目標は140/90mmHg未満を目標にして、可能であれば、130/80mmHg未満まで血圧を下げることを目指します。

まとめ

この記事では脳溢血の原因や種類、治療についてまとめました。
普段健康と感じていても、脳溢血は前兆も少なく、突然襲ってくる病気です。
しかし、高血圧が原因であることがはっきりとわかっており、未然に予防・再発予防ができる病気です。
日頃の生活習慣を見直して、しっかりと脳溢血を予防しましょう。

あわせて読みたい記事:脳出血の後遺症は回復するのか?

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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