サイトカインの役割を分かりやすく解説

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皆さんはサイトカインという言葉をご存知でしょうか?
私たちの身体の中では、細胞間をあらゆる情報が様々な形で伝達と受信をされています。
サイトカインはその情報を伝達する一つの手段です。
この記事では、サイトカインという言葉を知らなかった人でもわかるように、その役割をまとめています。
実はコロナウイルスの症状から脳卒中や脊髄損傷の治療まで、いろんな分野に深く関係するサイトカインについて、基礎からわかりやすく解説します。

サイトカインとは何?わかりやすく解説!

サイトカインとは?
さて、サイトカインという言葉を知っている人も、知らなかった人もこの言葉が何を指しているのかということを具体的に説明できる人は少ないのではないでしょうか?

サイトカインはどんな働きをするの?

サイトカインとは身体の細胞から分泌されるタンパク質の中で、微量な量で、細胞と細胞の間で情報伝達をする役割を担っています。
サイトカインには下で紹介するように様々な種類が存在し、複数のサイトカインがお互いに調整をしあうことによって身体機能を保つ働きをしているのです。

サイトカインの語源は?

サイトカインは、「サイト(細胞)」と「カイン(作動物質)」という2つの言葉が合わさってできた言葉です。
まさに、名前が細胞間の情報伝達の役割を示しています。
このように語源からイメージして覚えてあげると理解もしやすいのですね。

サイトカインはどこから出てくるの?

サイトカインを産生する細胞は免疫細胞が有名ではありますが、必ずしも免疫細胞だけではありません。
血管の内側の細胞や身体の線維の元になる線維芽細胞、滑膜細胞やケラチノサイトなど様々な細胞から分泌されています。
それぞれの細胞が必要な信号を出すことで、身体の反応を調整しているのです。

サイトカインは種類がいっぱい!

サイトカインの種類
サイトカインの説明で触れたようにサイトカインの種類は多岐にわたります。
なんと、数百種類以上ものサイトカインが発見されています。
これら数々のサイトカインが互いに分泌を調整しあうことで身体のバランスを整えられているのです。
たくさんの種類があるサイトカインではありますが、サイトカインの中でも有名なものをざっくりと数種類ご紹介しましょう。

インターフェロン

インターフェロンはウイルスや腫瘍などの抑制をするための信号を発する為に分泌されるサイトカインです。
語源の「Interference (干渉する)」と一緒にイメージを作ってみましょう。
ウイルスの増殖を抑制する働きを持つインターフェロンはC型肝炎ウイルスに対する治療や腫瘍などの治療にも応用されています。

インターロイキン

次にインターロイキンは特に白血球が免疫を調整するために分泌します。
インターロイキンが分泌され、その信号を受容すると白血球の細胞が増殖や活性化をして、免疫能力を高める働きをします。
ちなみに、「インター(細胞間)」と「ロイキン(白血球)」が合わさってできた言葉で、現在なんと30種類以上のインターロイキンが発見されています。

ケモカイン

ケモカインは細胞の主に移動を制御するサイトカインです。
細胞って移動するのって思われるかもしれませんが、白血球やリンパ球は身体で問題の起こったところへと移動します。
この移動のことを「遊走」といい、ケモカインは細胞遊走活性をするというように言われます。

コロニー刺激因子

コロニー刺激因子は白血球や赤血球などの元となる幹細胞を刺激して、身体の血球の数を増やすための信号を伝達するサイトカインです。
顆粒球コロニー刺激因子やエリスロポエチンというコロニー刺激因子が有名です。

実はコロナにも関係あるサイトカイン

コロナウイルス
さて、サイトカインは私たちの暮らしを大きく変えてしまったコロナウイルス感染症の症状にも大きく関わっていると考えられています。
COVID-19はウイルス感染を契機として様々な症状が現れますが、重症化の原因の一つとしてサイトカインが多量に分泌される「サイトカインストーム」と呼ばれる現象によるものにあるものに非常に類似していることが明らかになっています。
身体の免疫反応などのバランスを調整するサイトカインですが、過剰に分泌されてしまうと、身体が過剰に反応してしまうことがあります。
サイトカインストームが引き起こされると、サイトカインが血中に大量に放出されてしまうことで、肺のなかで炎症が生じる病態となり、重症化してしまう可能性があるのです。
このため、COVID-19に対する治療はウイルスの増殖を抑えるための治療とサイトカインなどの免疫反応による炎症を抑えるための治療に大きく分かれています。
このように、サイトカインはコロナウイルスにも深く関わっているのです。

脳卒中や脊髄損傷の治療にも関わるサイトカイン

さて、サイトカインはコロナウイルスの症状にも関わる一方で、神経の治療のためにに使われることもあります。
例えば、脳梗塞や脳出血のような脳卒中の後遺症に対してサイトカインカクテル療法という治療法があります。
元々細胞の修復などに関わるタンパク質でもあるので、上手く使えば治療にも使えるのですね。
BDNFという神経細胞の成長や再生を促進するサイトカインや新しく血管を誘導するVEGFなどのサイトカインなどがこれらの治療に用いられています。
また、脊髄損傷の治療方法として、間葉系幹細胞から培養した細胞を静脈内に投与する治療方法では、それらの細胞からサイトカインが産生されることで損傷した脊髄神経の修復に関わるのではないかと考えられています。

まとめ

この記事では、サイトカインという言葉を聞いたことがない人でもサイトカインがどのようなものかをイメージできるように、サイトカインの働きや種類、コロナウイルス、脳卒中や脊髄損傷の治療に関わるサイトカインなどについてまとめました。
過剰に分泌されてしまうと病気の症状を引き起こす一方で、治療法としても活用されているサイトカインは、たくさんの種類があり、メカニズムもとても複雑かもしれません。しかしながら、実は私たちの身体を支える大切な物質なのです。


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脳卒中ラボ


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表【 Dr.貴宝院 永稔 】
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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