再生医療で髪の毛は生えてくるのか? | 再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

再生医療で髪の毛は生えてくるのか?

           

投稿日:
読み終わる時間は約 < 1


近年注目されてきた再生医療ですが、神経障害だけでなく、再生医療を利用して失われた器官である毛髪を再生する試みが始まっています。
特に器官原基法という方法は、治療を受ける人の毛包を利用し、上皮性幹細胞や間葉性幹細胞と合わせることで毛髪の元となる毛包原基を作成します。
まだ実験レベルですが、この技術が実用化されると、失われた毛髪が元々の周期で持続的に生えてくるようになることが期待できます。

幹細胞による毛髪再生

幹細胞による毛髪再生について、順を追ってご説明します。
なお幹細胞とは、体内でさまざまな種類の細胞に分化し、成長する可能性を持つ細胞です。
この幹細胞のうち、人工的に作成されたものがiPS細胞ES細胞と呼ばれる細胞です。
このほか、限られた種類の細胞へ分化することがわかっている幹細胞(間葉系幹細胞)もあります。
間葉系幹細胞は骨髄や脂肪にも含まれており、本人の細胞を利用した再生医療に応用できます。

髪の毛が生えるメカニズム・薄毛になる理由

毛髪は、根元にあたる毛根の深いところの毛包にある毛母細胞と毛乳頭から、一定の周期を経て生成されています。
この周期は毛周期と呼ばれており、生み出されて抜け落ちるまで、男性の頭髪は3〜5年、女性の頭髪は4〜6年、また眉毛であれば数ヶ月のサイクルで成長を続け、やがて成長をやめて抜け落ちます。
この毛乳頭の働きは、特に男性ホルモンの影響を受けます。
男性の頭頂部や前頭部は特に影響を受けます。
例えば男性型脱毛症と呼ばれるタイプの薄毛の方は、思春期以降に男性ホルモンが異常に活性化し、「5αリダクターゼII型」と呼ばれる酵素の作用を受け、毛乳頭細胞の働きが著しく抑制されることが知られています。
そのため、毛周期が数週間程度にまで短縮されてしまい、頭髪が十分に育つ前に成長を終えて頭髪が抜け落ちてしまいます。
したがって男性型脱毛症の方では、完全に頭髪がなくなるわけではなく、十分に育っていない細い毛が多くなっています。
ちなみに男性型脱毛症の方でも、多くは側頭部や後頭部の頭髪は残されています。
これはこのエリアの毛乳頭が、そもそも男性ホルモンの影響を受けにくい特徴を持っているからだと考えられています。
なお毛包は人体の中でも、生涯にわたって再生能力を失わない唯一の器官だと言われています。
そして毛髪を再生するために、単に毛髪を移植するだけではなく、このサイクルをある程度維持できる状態を作り出すことを目指します。

器官原基法を用いた毛髪の再生

毛髪毛根
わたしたちの体の器官の多くは、幹細胞のなかでも上皮性幹細胞と間葉性幹細胞からできています。
この2種類の幹細胞を組み合わせ、双方が細胞レベルで情報交換できる環境を整えることで、歯や毛包などを作り出す技術が注目を浴びています。
器官原基法と呼ばれるこの方法では、使用する幹細胞の種類を調整し、器官のもととなる「器官原基」を作り、増殖するための手を加えた上で、本来器官がある場所に移植する方法です。
この方法を使うと、頭髪の元となる器官原基(毛包原基)を頭部に移植すると、その後継続して頭髪が生え続ける状況を作り出すことが可能となります。

器官原基法では、上皮性幹細胞と間葉性幹細胞が情報交換できる環境を作り出すことがまず重要ですが、すでに日本の研究者たちが工夫を重ね、毛髪のもととなる毛包原基の作成に成功しています。
そして毛髪がないマウスを使った実験で、マウスの毛周期に合わせて何度も生え変わる毛髪の再生に成功しています。
まだ動物実験レベルですが、この技術を利用することができるようになると、男性型脱毛に悩む人の後頭部や側頭部から毛包を採取して毛包原基を作成し、増殖させた毛包原基を薄毛になったエリアに移植することで、再び頭髪が生えてくることが期待できます。
しかも毛包原基を用いる方法では、治療は一回行うだけで十分です。

幹細胞による毛髪再生の副作用

幹細胞を用いた毛髪再生の副作用について、現時点では情報はほとんどありません。
ただ他の医療行為と同様に、後頭部や側頭部から毛包を採取する部位や毛包原基を移植する部位に、出血や感染を起こすリスクがあります。
また、傷跡が残る可能性もあります。

幹細胞による毛髪再生の費用

幹細胞による毛髪再生の費用は、まだ研究段階のため確定していません。
さまざまなクリニックで行われている研究段階の幹細胞による毛髪再生治療は、基本的に保険診療ではなく自費診療になりますので、価格はクリニックに確認するのが最善でしょう。

まとめ

幹細胞を利用した毛髪再生についてご説明しました。
今回は器官原基法についてご説明しましたが、このほかにも活動が落ちている毛母細胞を活性化させるために幹細胞を利用することを考えている研究者たちもいます。
ただいずれもまだ実験段階で、実際に臨床で利用するにはもう少し時間がかかりそうです。
薄毛で悩む人は、男性型脱毛症だけではなく、女性の脱毛症や病気や治療で毛髪を失ってしまった方達がおられます。
この技術が実際に利用できるようになることを、心待ちにしている人たちのためにも、研究が促進されることを期待したいものです。


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


再生医療の治療 各地クリニックの案内

YouTubeチャンネル

脳卒中や脊髄損傷など再生医療に関する情報はこちらでもご覧頂けます。
脳卒中ラボ

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ニューロテックメディカル・リハビリセンター

おすすめ記事

(腰椎損傷 下肢不全麻痺|30代 MK様)

おすすめ記事

最近の記事

  1. 突然下半身に力が入らなくなる脊髄梗塞とは

  2. 頭蓋頸椎移行部脊髄硬膜動静脈瘻(CCJ DAVF)とは

  3. 筋力低下で力が入らず顔面麻痺や痺れる病気とは

【再生医療×リハビリテーションの可能性】オンライン講演会 Vol.1

ピックアップ記事

  1. パーキンソン病の末期症状と余命

  2. 高次脳機能障害者を支える医療従事者や関係者の取り組み

  3. 高次脳機能障害者の家族が受けるストレスや対処法

おすすめ記事

  1. くも膜下出血の後遺症体験談

  2. 脊髄損傷後の一人暮らしについて

  3. 脳梗塞後の食事と栄養の管理

各クリニックのご案内

福永診療所
脳梗塞・脊髄損傷クリニック
リブラささしまメディカルクリニック

脳卒中・脊髄損傷の後遺症の
       お悩みや治療のご相談
お気軽にお問い合わせ下さい

0120-955-573

[電話受付]平日9:00~18:00/土曜日13:00迄/日祝休