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ワクチン接種後の視神経脊髄炎発症

           

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この記事を読んでわかること

ワクチン接種と自己免疫疾患の関連性
NMOSD発症におけるワクチンの役割
研究とエビデンス:ワクチン接種後のNMOSD発症事例


今回はワクチン接種後の視神経脊髄炎発症について解説します。
視神経脊髄炎は、視神経と脊髄に炎症が起こる疾患です。
典型的な症状として、視覚障害、感覚障害、運動障害などがあります。
症状はワクチン接種後、数日から数週間以内に現れますが、ほとんどの場合、数週間から数ヶ月で改善します。
でも、重症化すると後遺症が残ります。

ワクチン接種と自己免疫疾患の関連性

ワクチンとの関連性
この記事では、ワクチン接種と自己免疫疾患の関連性について解説します。
自己免疫疾患は自身を守る免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまう疾患です。
原因として、遺伝、環境、免疫系の異常など様々な要因によって起こる複雑な疾患です。
従って、単独の要因で発症する証明は難しいのが現状です。
そのため、ワクチン接種後に自己免疫疾患を発症したという報告はありますが、その因果関係はまだ完全に証明されていないです。
現時点の研究結果として以下がわかっています。
自己免疫疾患の患者の中には、ワクチン接種後に症状が悪化するケースが存在する。
ワクチン接種と自己免疫疾患の発症との関連を示唆する報告はいくつかありますが、これらの研究はいずれも規模が小さくエビデンスを確立するまでには至っていません。
ワクチン接種後に自己免疫疾患を起こすリスクは非常に低いと報告されています。
今後は、ワクチン接種と自己免疫疾患の発症との関連性について、より大規模な研究が必要です。
しかしながら、一般的にワクチン接種は身体的に好影響をもたらす利益の方が大きいため、公衆衛生上は有効な対策とされています。

NMOSD発症におけるワクチンの役割

NMOSD(視神経脊髄炎スペクトラム障害)発症におけるワクチンの役割について解説します。
NMOSDは、視神経や脊髄に炎症が起こる自己免疫疾患です。
近年、NMOSD発症とワクチンとの関連性が指摘されています。
いくつかの研究によると、ワクチン接種後のNMOSD発症リスクは非常に低く、数百万回接種あたり数例程度と報告されています。
最近の研究より発症の機序が報告されています。
1つ目として、ワクチンは免疫系を活性化して抗体産生を促進するため、この作用が自己免疫疾患であるNMOSDの発症に関与する可能性が指摘されています。
2つ目として、ワクチンの中には、免疫応答を高めるためにアジュバンドという成分が含まれているものがあり、この物質がNMOSD患者に作用すると、自己抗体の産生を促進するため病状を悪化させる可能性が指摘されています。
これらの機序に加えて、遺伝的要因や環境要因も発症に関与する可能性があります。
現時点では、ワクチンがNMOSD発症に与える影響については、直接的な原因はわかっておらず多くの不明な点があります。
今後の研究成果が待たれます。

研究とエビデンス:ワクチン接種後のNMOSD発症事例

この記事では、研究とエビデンス:ワクチン接種後のNMOSD発症事例について解説します。
発症事例の報告はありますが、これらは稀であるため、原因の特定には至っておりません。
個別の症例報告として、インフルエンザワクチン接種後に発症した事例が2例、A型肝炎ワクチン接種後に発症した事例が1例、COVID-19ワクチン接種後に発症した事例が1例、などが報告されています。
これらの報告は、ワクチン接種によりNMOSDが発症する可能性を示唆しておりますが、症例報告であるため、因果関係を証明するものではありません。
ワクチンとNMOSD発症の関連を証明した大規模研究はまだありません。
最近の報告では、COVID-19ワクチンとNMOSD発症リスクの間に関連性は見つからなかった、メタアナリシス(複数の研究結果を統合した知見)では、ワクチンとNMOSD発症のリスクには弱い関連性が示唆されましたが、そのリスクは非常に低く数百万回接種あたり数例の割合との報告がります。
以上の結果より、現時点では、ワクチンがNMOSD発症の原因であると断定することはできません。
さらなる研究が必要と言えるでしょう。

まとめ

今回の記事では、ワクチン接種後の視神経脊髄炎発症について解説しました。
本症例は稀な疾患ですが、神経が壊死することにより重篤な合併症を起こす可能性があります。
その際は、神経を再生する治療が望まれます。
神経の再生医療は最も盛んに研究されている現状です。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脳脊髄損傷部位の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、神経を再生する医療として、新たな治療法の1つとして光明がさすことを期待したいです。

Q&A

自己免疫疾患が起こる理由は何ですか?
自分の体を守る免疫系が異常となり、誤って自分の組織や細胞を攻撃することにより損傷を来すのが理由です。
攻撃される部位や臓器によって様々な症状が現れます。
要因として、遺伝、環境、ホルモンバランス、腸内環境の異常が関与します。

自己免疫疾患は命に関わる病気ですか?
軽症の場合は日常生活に支障なく過ごせることも多いですが、重症化すると、臓器の機能障害を起こすため生命に関わります。
例えば、全身性エリテマトーデスでは、腎臓、心臓、脳などの臓器に障害を与えるため、重篤な合併症を起こす可能性があります。
早期の診断と適切な治療が重要です。

<参照元>
難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/3807
大阪大学免疫学フロンティア研究センター: https://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/upload_img/Commentary221220.pdf


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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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