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50代の脳梗塞再発率はどの程度あるのか

           

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50歳代になるにつれ発症率が上がる脳梗塞は、再発は発症からあまり期間をあけずに認められることが多く、再発するほど重症度が上がり、死亡率も高くなっていきます。
再発を予防するためには、基礎疾患の治療とともに生活の見直しが重要です。
また最近は再生医療を用いた脳梗塞の再発予防も積極的に考えられています。

50歳代の脳梗塞の特徴

脳卒中の種類
一般的に脳梗塞は、50歳代を超えると発症リスクが高くなると言われています。
ここではまず、50歳代の脳梗塞の特徴についてご説明します。

脳梗塞の発症率

島根県に在住の方々を対象に行われた、脳卒中に関する興味深い調査があります。
2006年以降3年の間に脳卒中を発症し、県内医療機関で診療を受けたのべ約6,400人を対象におこなわれた調査によると、脳梗塞が脳卒中の7割を占めていました。
これは人口10万人に対して205人の発症率です。
脳梗塞のうち、アテローム型脳梗塞が26.7%ラクナ梗塞が17.6%心原性脳塞栓が14.5%でした。
ただ病型不明の方もおられました。
年齢別にみると、人口10万人に対して90歳以上の発症率が高くなっていますが、50歳代となると、人口10万人に対して100人程度の発症率になっています。
脳梗塞は、年齢を経るごとに発症率が高くなっていますが、50歳代を境に急に増え出すのが発症率の特徴です。

脳梗塞の再発率

脳梗塞は、一度起こすと再発しやすいことが知られています。
また脳梗塞の再発は、初発からあまり時間をかけずに発生しています。
また50歳代の脳卒中のデータでは、前再発患者のうち初発から6ヶ月未満が20%、7ヶ月以上1年未満が9.7%1〜2年が13%ほどでした。

脳梗塞の再発しない人の特徴

脳梗塞の発症危険因子である、高血圧などの生活習慣病は、脳梗塞の再発の危険因子でもあります。
したがって、脳梗塞を再発しない人の特徴は、これらの危険因子を持っていない、或いは持っていても改善が見られた人と言えます。

脳梗塞の死亡率

脳梗塞は、再発を繰り返すたびに重症化することが知られています。
それだけでなく、症状も改善しにくくなってしまいます。
それは一度傷ついた細胞がさらに傷つくこと、基礎疾患がしっかりと管理されていないと、より広範囲に梗塞を起こすことなどが原因として考えられます。
ただ50歳代であれば、体力や回復力も備わっていることもあり、より高齢が脳梗塞を発症する場合に比べると、死亡率は低くなる傾向があります。
オランダの5,272人の脳卒中患者を対象に行われた追跡調査があります。
この調査によると、初発の脳梗塞を起こした人の発症1ヶ月後の生存率は、およそ70%とされています。
それが1年後は60%、5年後には40%近くまで低下していました。
これは脳卒中全体ですが、50歳代以下は70歳代に比べ、非常に高い生存率になっていました。
これは他の研究結果とも大きな相違はありませんでした。

(出典:Brennum-Hansen, H, et al. Long-term survival and causes of death after stroke. Stroke. 2001;32(9):2131-6.)

脳梗塞の再発を防ぐ方法

では、50歳代に脳梗塞になった人は、どのようにすれば再発を防ぐことができるのでしょうか?
鍵となるのは、脳梗塞を発症する危険因子です。
危険因子は、重複して持つほど脳梗塞の発症率も再発率も高くなります。
先ほどご紹介した島根県の調査でも、基礎疾患のない人に比べ、高血圧があるだけの人の脳梗塞発症リスクは2倍程度でしたが、高血圧と糖尿病だと3.4倍になっていました。
したがって複数の危険因子を持つ人は、ひとつでも改善させた方が再発を防ぐことにつながります。
特に高血圧は、しっかりと管理することが強く進められています。

生活習慣の改善

まずは生活習慣の改善です。
運動不足や不規則な生活、喫煙や過度の飲酒、偏った食事などの好ましくない生活習慣は、高血圧や糖尿病の危険因子であり、脳梗塞の危険因子になります。
従って定期的な運動を行い、生活リズムを整え健康的な生活を送るように心がけることは、50歳代の人たちにとって脳梗塞の再発を予防する最善策です。

基礎疾患の治療

同時に高血圧、糖尿病、高コレステロール血症は、再発リスクを最低限に下げることができるレベルになるよう治療を行いましょう。
脳梗塞の再発を予防するため、抗血小板薬など血栓ができないような予防薬を始めることもあります。

再生医療

ニューロテックメディカルで取り組んでいる再生医療も、脳梗塞の再発予防の選択肢のひとつとして注目されています。
自己骨髄由来幹細胞を用いて行う再生医療では、神経細胞の再生や血管の新生を促す作用があります。
実際は事前に採取した骨髄細胞を培養して増やし、再び治療を必要とする方の体内に戻します。戻された幹細胞は、機能を失った神経細胞を再生するだけでなく、その細胞が継続して作用できるように、周辺の血管も新生してくれています。
脳梗塞で傷ついた脳細胞だけでなく、脳梗塞の危険因子となっている動脈硬化も新生された血管が機能することで、脳細胞への血流を確保できます。
そのため、再生医療は脳梗塞の再発予防の選択肢として注目されているのです。

まとめ

50歳代における脳梗塞の発生状況について説明をしました。
50歳代はまだまだ働き盛りですし、人生100年時代においてはまだ人生の半ばです。ですから脳梗塞を起こしたとしても、できる限り再発を予防し、後遺症のない人生を送りたいものです。
再生医療は、こういった脳梗塞にまつわるさまざまな悩み、問題を解決してくれる、無限の可能性を秘めた治療法とも言えます。気になった方は、ぜひ主治医にご相談してみてください。

<参考資料>
島根県保健環境科学研究所 脳卒中発生状況調査 平成18, 19, 21年調査結果
https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kikan/izumo_hoken/nousocchuu.data/houkokusho.pdf

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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