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芸能人も発症した脊髄空洞症について

           

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この記事を読んでわかること

脊髄空洞症とはどのような病気か?
脊髄空洞症にみられる症状
脊髄空洞症の治療法


AKB48の柏木由紀さんが公式ホームページで公表されたことで、急遽注目を集めるようになった「脊髄空洞症」。
この病名を初めて聞く方もおられるのではないでしょうか?
柏木由紀さんの場合、最初は片手のしびれといった軽い症状だったそうですが、テレビ番組の企画で受けた人間ドックで脊髄空洞症がみつかり、手術を受けることになったそうです。
そこでこの記事では、脊髄空洞症についてよく知っていただくことを目的に、病気の概要をご説明します。

脊髄空洞症とはどのような病気か?

脊髄空洞症は、背骨(脊椎)のなかを通る神経の束である脊髄のなかに、脳脊髄液がたまり、空洞ができる病気です。
なおこの脳脊髄液は、脳や脊髄を取り囲むことで、クッションの役割を果たしており、脳や脊髄を保護する液体です。
脊髄のなかにできた空洞は、時間が経つと大きくなります。
そうすると脊髄神経が圧迫されて損傷を受け、痛みや痺れ、筋力低下、筋硬直などの症状が起こります。
脊髄空洞症にはいくつかの原因がありますが、多くは脳組織(特に小脳)が脊髄内に突出している状態である、キアリ奇形に関連していると言われています。
脊髄空洞症のその他の原因としては、脊髄腫瘍、脊髄損傷、脊髄周辺の炎症などが挙げられます。
脊髄空洞症が麻痺などの問題を起こしていない場合は、特に処置を必要としませんが、症状に悩まされている場合は手術が必要になるかもしれません。

脊髄空洞症にみられる症状

脊髄空洞症の症状は、時間をかけてゆっくりと進行します。
キアリ奇形が原因である場合は、一般的に20歳代から40歳くらいの間に症状が現れます。
場合によっては、咳や力むことで脊髄空洞症の症状が出てくることがあります。
なお脊髄空洞症の症状は、背中、肩、腕、脚などに現れ、以下のようなものがあります。
原因にもよりもますが、片方の手の感覚低下から始まることが一般的です。

  • 筋力の低下・麻痺
  • 痛みや温度に対する感覚の低下
  • 頭痛
  • 背中、肩、腕、足のこわばり
  • 首、腕、背中の痛み

脊髄空洞症の原因

脊髄空洞症の原因として、可能性のある病気に以下のようなものがあります。

  • キアリ奇形:脳組織が脊髄に突出している状態
  • 髄膜炎:脳や脊髄を包む膜に起こる感染症
  • 脊髄腫瘍:脳脊髄液の正常な循環を妨げる可能性があります
  • 脊髄損傷:受傷後数カ月から数年後に症状が出ることがあります

これらが原因となって脳脊髄液が脊髄内に溜まり、液体で満たされた袋が形成されます。

脊髄空洞症の診断方法

脊髄空洞症は、他の理由で行われた脊椎のMRIやCTスキャンの際に偶然発見される場合もありますが、通常は症状から疑われてMRIやCTスキャンを行い、診断を確定させます。

脊髄空洞症の治療法

脊髄空洞症の治療は、症状の重症度や進行度に応じて異なります。
脊髄空洞症が症状を起こしていない場合は、定期的なMRIや神経学的診察を行うことによるモニタリングが必要となります。
ただし脊髄空洞症が生活に支障をきたすほどの症状を起こしている場合や、症状が急激に悪化している場合は、手術が必要となる可能性が高くなります。
手術の目的は、脊髄にかかっている圧力を取り除き、脳脊髄液の流れを正常に戻すことです。
これにより、症状や神経系の機能を改善させることができます。
どのような手術が必要かは、脊髄空洞症の原因によって異なります。
脳や脊髄への圧力を軽減するために、手術の選択肢は以下の通りです。
脊髄空洞症の原因がキアリ奇形である場合、手術では頭蓋骨の骨の部分を取り除くことがあります。
この手術により、脳や脊髄への圧力が軽減され、脳脊髄液の流れが正常になり、脊髄空洞症が改善または解消される可能性があります。
またシャントと呼ばれる、脳脊髄液の排液システムを外科的に挿入することもあります。
シャントは、脊髄からの液体が望ましい方向に流れるようにするために、柔らかいチューブを使います。
チューブの一方の端は脳脊髄液が溜まっているところに、もう一方の端は腹部などの体の別の場所に配置されます。
これによって、脳脊髄液が溜まる原因は解除されていなくても、症状を軽減させることは可能になります。
脊髄腫瘍のように、脊髄内で脳脊髄液の流れを妨げる障害物がある場合は、外科的に障害物を除去することで、流れが回復し、結果的に症状が改善する可能性があります。
ただし、手術をしても脳脊髄液の流れが回復するとは限りません。

フォローアップについて

脊髄空洞症は、手術をしても再発することがあります。
したがって、手術後は定期的にMRI検査を受け、医師による定期的な診察が必要となります。
また脊髄空洞は時間とともに大きくなり、追加の治療が必要になることもあります。
脊髄空洞症の手術した後は、リハビリテーションに時間をかけることも重要です。
リハビリに取り組むことで、麻痺などの症状が徐々に改善されることも期待できます。

脊髄空洞症の予後

治療を受け、手術が成功した人の予後はさまざまです。脊髄の損傷は、神経学的な問題を長期間にわたって残すこともあります。
人によっては、歩行が困難になったり、生涯にわたって手足に力が入らなかったりすることもあります。

まとめ

脊髄空洞症について、少し詳しくご紹介しました。
芸能人が病名を明かし、手術を受けることを公表したことで注目を集めるようになりましたが、実は日本国内の調査では全国に3,000人ほどの患者さんがいるとも報告されています。
もしご自身や友人に手が痺れるなどの症状がある場合は、お近くの神経内科や脳神経外科にご相談することをおすすめします。

<参考サイト>
難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/283
日本脊髄外科学会
http://www.neurospine.jp/original34.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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