脳梗塞の後遺症を持つ方がお酒と上手に付き合う方法|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳梗塞の後遺症を持つ方がお酒と上手に付き合う方法

           

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この記事を読んでわかること

Jカーブというお酒が体にもたらす良い影響
多量飲酒は脳卒中発症の原因になる
お酒の適量とは?


多くの方が好きなお酒。
お酒好きの方にとって、お酒は生活の一部です。
お酒を毎日の楽しみにしている方も多いのではないでしょうか?
適度に楽しむ分には体にいいお酒も連日・多量の飲酒となると話は別で、健康のリスクを抱えることになります。
過剰の飲酒は脳梗塞・脳卒中の発症とも関連があるのです。
今回はお酒と脳梗塞の関係について解説していきます。

Jカーブというお酒が体にもたらす良い影響

アルコール
お酒を飲むと体が温かくなり、気分が晴れるような感じがしますよね。
飲酒には体の血流を良くする効果があるため、体が温まり活性化します。
また、アルコールは大脳新皮質(理性を司る部分)の働きを鈍くするため、感情や衝動、食欲など本能的な部分を司る大脳辺縁系などの働きが活発になります。
すると精神が高揚し、気分が晴れるような感じがするのです。
飲酒は適量であれば体にも心にもいい影響があるということが実際に分かっています。
やや古い研究に飲酒と死亡率の「Jカーブ」効果を示したものがあります。
毎日適度に飲酒をする人は全く飲まない人と比較して心筋梗塞などの死亡率が低い傾向にあり、飲酒量が多くなると死亡率は飲酒量に応じてどんどん高くなるというものです。
この傾向をグラフにするとJのような字になるため、Jカーブと名付けられています。
他にも飲酒には動脈硬化を予防するHDLコレステロールの増加や、赤ワインが持つポリフェノールによる動脈硬化予防といった効果があります。
これらの良い影響は、脳梗塞発症に関してもデータとして示されています。

適量のお酒は脳梗塞発症のリスクを減らす

2003年にJAMAという世界的に権威の高い雑誌に、お酒と脳卒中の関係を調べた研究が発表されました。
それによればお酒を全く飲まない人の脳梗塞発症リスクを1とすると、一日に飲むアルコールが12g以下(日本酒約0.5合)では発症リスクが0.8、12-24gでは0.72、24-60gでは0.86と低い数値でした。
国内の研究でも同様に、お酒を1日1合未満飲む人は、飲まない人と比較して脳梗塞の発症リスクが半分以下になったと報告されています。
お酒には血管の炎症を抑える作用があります。
血管の炎症は動脈硬化、血栓の原因となるため、それを抑えるお酒には脳梗塞の発症を抑制する効果があるというわけです。
適量の飲酒は脳梗塞の発症を抑制するだけでなく、脳梗塞発症後の再発予防のためにもプラスの効果があるといってよいでしょう。
ただし、お酒が体に合わない方(遺伝的にお酒を分解する酵素をもっていない人など)もいるため、習慣のない方に飲酒を勧める内容ではないことに注意が必要です。

多量飲酒は脳卒中発症の原因になる

お酒の健康効果は明らかになっていますが、一方で多量飲酒による悪影響についてもはっきりと示されています。
アルコールには利尿作用があり体が水分不足に陥りやすくなります。
飲み会から帰ってきた時や、翌日にのどが乾くのはそのためです。
体が水分不足になると脳の血流が低下し、血栓ができやすくなります。
研究データでは、アルコール摂取が60g(日本酒約2.5合)をこえると脳梗塞のリスクが約1.7倍、脳出血のリスクは約2.2倍になると報告されています。
飲酒による悪影響が睡眠不足の形ででることもあります。
お酒を飲むと眠くなり寝てしまうこともありますが、アルコールには覚醒作用があるため睡眠の質が低下し早く起きてしまいます。
睡眠不足と飲酒が重なると出血性脳卒中の死亡リスクが高くなるというデータがあります。

お酒の適量とは?

お酒は適量であればいいとは言いますが、それはどれくらいの量なのでしょうか?
ご存知の通り、お酒には強い人、弱い人がいます。
一口で酔ってしまったり気持ち悪くなってしまったりする人がいる一方で、いくら飲んでも変わらない、という方もいますよね。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドという成分に分解されます。
アセトアルデヒドは顔が赤くなったり、頭が痛くなったりする原因となる物質です。
アセトアルデヒドを分解するための酵素が「ALDH2」という物質で、日本人ではこの酵素の働きが外国の方と比較して弱い方が多いようです。
酵素の働きは生まれつきのもので鍛えたりすることはできないため、お酒には強い人・弱い人がいて、それはつまり「お酒の適量は人によって違う」ということになるのです。
国内では一般に1日の適正な飲酒量は日本酒1合程度とされています。
これはビールなら中びん1本、ワインでは200ml程度、ウイスキーではダブル1杯程度です。
それくらいでは自分は酔わないぞ、と思う方もいるかもしれません。
しかし酔う・酔わないと健康リスクは別と考えるべきです。
実際にアルコール摂取が60g(日本酒約2.5合)をこえると脳梗塞のリスクが約1.7倍、脳出血のリスクは約2.2倍になるというデータがあるわけですから、お酒に強いからといってそれを過信してはいけません。

まとめ

飲酒と脳梗塞の関係について解説しました。
このブログが皆さんの適切な飲酒習慣に少しでもつながってくれれば幸いです。

Q&A

脳梗塞の原因は飲酒ですか?
脳梗塞の原因は飲酒だけではありません。加齢、喫煙、高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、遺伝的要因など、さまざまな要因が脳梗塞を引き起こす可能性があります。
したがって、脳梗塞のリスクを低減するためには、適度な飲酒に留めることが大切だと言えるでしょう。

脳梗塞後いつから飲酒可能か?
脳梗塞後に飲酒をする場合は必ず医師の指示に従い、適量に留めることが重要です。その量により飲酒が心血管系の健康に良い影響を与えることが研究で示されていますので、過度な摂取は禁物です。


あわせて読みたい記事:脳梗塞と飲酒の関係
外部サイトの関連記事:脳梗塞後の生活について

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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