あまり知られていない脊髄の構造とその理由 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経障害を再生医療×同時リハビリで改善

あまり知られていない脊髄の構造とその理由

           

投稿日: 読み終わる時間は約 < 1


脊髄とは、脳からの指令を全身に伝えるとともに全身からの情報を脳に送る神経です。
背骨(脊柱)は、脊髄を守り体を支える働きをしています。
脊髄や脊柱という言葉は聞いたことがあっても構造などまで知っている方は多くないでしょう。
そこでこの記事では、脊髄の構造や椎骨の構造、椎骨のつながり、脊柱のカーブなどについてご紹介します。

脊髄の構造

脊髄は、長さ40~45cm、太さ約1cmある円柱状の神経です。
上端は脳の延髄につながっており、下端は円錐状で腰の辺り(第一腰椎か第二腰椎)まで伸びています。
脊髄からは31対の脊髄神経が出ていて、脳からの指令を全身に伝えるとともに全身の各部からの情報を脳に送っています。

脊髄の内部構造

脊髄は、脳と同じように灰白質と白質から成っています。
脊髄の横断面は楕円形で、中心に脳脊髄液で満たされている中心管があり、その周りに灰白質がH状に存在し、さらにその周りを白質が囲んでいます。
灰白質の腹側の突出部分を前角、背側の突出部分を後角、前角と後角の間にある灰白質を中間質といいます。
胸髄には、中間質が外側に突出している部分(側角)があります。
前角には脳や脊髄からの情報を筋肉に伝えて運動を促す運動神経細胞が集まっていて、後角には各部の感覚情報を脳に伝える感覚神経細胞が集まっています。
白質には、脳からの指令を筋肉へ伝える経路と体の各部からの感覚情報を脳に伝える経路の神経線維の束が存在しています。
脊髄に酸素を運んでいる血管は、前脊髄動脈と後脊髄動脈です。
脊髄の前側(腹側)2/3の部分には前脊髄動脈、後側(背側)1/3部分には後脊髄動脈が分布しています。

椎骨の構造とつながり

背骨は骨が積み重なって構成されていて、それぞれの骨を椎骨といいます。
椎骨は、頚椎(7個)、胸椎(12個)、腰椎(5個)、仙椎(5個)、尾椎(3~5個)に分けられます。
それぞれの椎骨で構造が少し異なっていますが、基本的な構造は同じです。
椎骨は、前側(腹側)に円柱状の椎体と後側(背側)の弓状の椎弓で構成されています。
椎体と椎弓の間には椎孔といわれる穴があり、椎孔が連なって脊柱管を作りその中に脊髄が通っています。

椎骨のつながり

背骨(脊柱)は1本の骨でできていると考えている方も少なくありませんが、背骨は複数の骨がつながってできています。
複数の骨がつながってできているために、背中や腰を曲げたり反らしたりできるのです。
脊柱は、推骨が椎間板と靭帯でつなげられて作られています。
椎間板は水分を多く含んだやわらかい組織です。
椎間板の厚さは、合計すると脊柱の約1/4の長さにもなり、場所により厚さは異なっています。
首や腰は他の部位に比べると比較的大きく動かすことができるのは、頚部や腰部の椎間板が他の部分に比べて厚みがあるためです。
また椎間板は、脊柱に加わる衝撃を和らげるクッションのような働きもしています。
椎骨をつなげている靭帯にはいくつかの種類があります。
前側(腹側)で椎体と椎間板をつなげている前縦靭帯、後側(背側)でつないでいる後縦靭帯、椎弓と椎弓を結んでいる靭帯を黄色靭帯といいます。
靭帯は、骨の動きがある範囲内になるよう制御する働きもあるため、切れてしまうと異常な動きをするようになり、硬くなってしまうと動かなくなってしまうのです。

脊柱管内の構造

脊柱管は、椎孔が連なってできたトンネル状の細長い空間で、内部の大部分は脊髄が占めています。
脊柱管が狭くなると脊髄を圧迫するため、痛みや痺れを感じるようになります。
脊髄は外側から硬膜、くも膜、軟膜の3つの膜で覆われています。
硬膜は、外板と内板の2板からなり、外板は脊柱管を覆う骨膜です。
外板と内板の間の空間は脂肪組織で満たされています。
硬膜の内板の内側にあるくも膜は、軟らかい膜で脳のくも膜につながっています。
硬膜の内側にある軟膜は、脊髄の表面を直接覆う薄い膜です。
くも膜と軟膜の間は広く、脳脊髄液で満たされています。

脊椎がS字状カーブを描いている理由

脊椎は、正面から見ると真っすぐですが、横から見るとS字状のカーブを描いています。
頚椎部分は前方、胸椎部分は後方、腰椎部分は前方に向かってそれぞれカーブを描いています。
脊椎がこのようなカーブを描く理由は、人間が二足歩行することと関係があると考えられています。
赤ちゃんの脊椎はC字状のカーブを描いていますが、立ち上がり歩くようになるにしたがい、S字状のカーブを描くようになってきます。
重い頭を支えて歩くだけでも、大きな力が脊椎にはかかります。
その力を分散させるために、脊椎はS字状カーブを描いているといわれています。

まとめ

脊髄や椎骨の構造などをご紹介しました。
脊髄が傷つくと感覚や運動機能に障害が起こり、場合によっては歩けなくなってしまうこともあります。
特に骨が弱くなっている高齢者は、ちょっとした動作で脊髄に損傷を負ってしまうこともあるため、注意してください。
脊髄や椎骨の構造やつながり、しくみなどを理解して病気の予防や早期発見に役立て、出来るだけ長く健康で過ごせるようにしましょう。



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


再生医療の治療 各地クリニックの案内

YouTubeチャンネル

脳卒中や脊髄損傷など再生医療に関する情報はこちらでもご覧頂けます。
脳卒中ラボ

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ニューロテックメディカル・リハビリセンター

おすすめ記事

(腰椎損傷 下肢不全麻痺|30代 MK様)

おすすめ記事

最近の記事

  1. 神経障害にはなぜ骨髄由来の幹細胞治療が最適なのか

  2. 脳梗塞後遺症は幹細胞治療で本当に良くなるのか?

  3. 多系統萎縮症の寿命と予後

【再生医療×リハビリテーションの可能性】オンライン講演会 Vol.1

ピックアップ記事

  1. 中心性頸髄損傷について

  2. 線維筋痛症とは?

  3. リハビリ病院って一体どんなところ?

おすすめ記事

  1. 髄膜炎と脳梗塞の関係性とは

  2. パーキンソン病における筋固縮とは

  3. BAD脳梗塞の治療と予防策

各クリニックのご案内

福永診療所
脳梗塞・脊髄損傷クリニック
リブラささしまメディカルクリニック

脳卒中・脊髄損傷の後遺症の
       お悩みや治療のご相談
お気軽にお問い合わせ下さい

0120-955-573

[電話受付]平日9:00~18:00/土曜日13:00迄/日祝休