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脊髄構造の前角後角ってなに?

           

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この記事を読んでわかること

脊髄構造の前角後角とは
前角や後角がどのような構造で脊髄にあるのか
脊髄が障害されれるとどうなるのか?


前角や後角って聞いたことがあるでしょうか?以前の記事で紹介したように、私たち脊椎動物の身体には脊髄という大きな神経の束が縦に走っています。
脊髄は脳と身体を繋ぎ、触った感覚や熱いや冷たいなどの温度などを脳に伝えたり、脳から手や足、身体を動かすための命令を伝える働きをしています。
この記事では、脊髄の構造の中でも前角や後角と呼ばれる構造がどのような働きをしているのかについてわかりやすく解説していきます。

脊髄の断面ってどうなっているの?

まずは前角や後角がどのような構造で脊髄にあるのかから説明していきましょう。
脊髄の断面は白質と灰白質という二つの領域に分かれています。
断面の中央にXの文字のように前後左右に4つ角が伸びたような形をしている部位が灰白質で、白質は灰白質を取り囲むように配置しています。
白質と灰白質はそれぞれ神経の繊維(軸索)と神経細胞が集まっているために、断面の見た目に差ができるのです。
つまり灰白質である前角や後角は脊髄の中でも神経細胞が集まっている場所なのです。
前後左右に4つ角のように伸びた灰白質がこの記事の主役である前角と後角です。

脊髄と脳の関係

それでは、脊髄の前角や後角の神経細胞が集まっている部位では、どのような働きをしているのでしょうか?
前角と後角はそれぞれ運動と感覚の神経伝達の一部を担っています。
前角と後角の詳しい役割の説明を脊髄と脳がどのような関係にあるのかと一緒に解説しながらまとめてみましょう。

運動神経の伝わる道

私たちの身体は基本的に脳からの指令が脊髄と末梢神経と通して、筋肉へと伝わり、筋肉が伸び縮みすることで運動をすることができます。
厳密には大脳皮質にあるBetz細胞と呼ばれる運動の指令を出す大元の細胞から運動の指令が発生し、大脳皮質から脊髄へと延びる上位運動ニューロンという道を通って、脊髄にある前角細胞へと指令が伝達されます。
前角細胞は下位運動ニューロンを伸ばし、筋肉へと電気信号を伝達します。
このように、上位、下位のシグナルを仲介する位置に前角細胞は存在しているのです。

感覚神経の伝わる道

一方で、私たちの身体が感じる感覚は末梢の感覚をキャッチするところから、脳へと信号が送られることで、認知されています。
運動神経が上位と下位の運動ニューロンの2つから構成されていたのに対して、感覚神経は手や足などの感覚受容器から後角へと刺激を伝える一次ニューロン、刺激を脊髄から視床へと伝える二次ニューロン、視床で受け取った刺激を大脳の感覚野へと伝える三次ニューロンの3つの神経から構成されています。
感覚神経の細胞体が集まっている後角では、一次ニューロンから二次ニューロンへと信号の伝達が行われているのです。
このような感覚が伝達されることによって、私たちの身体は物に触れた感覚や、身体がどんな体勢にあるのか、熱さや冷たさ、痛みなどの感覚を知ることができるのです。

脊髄が障害されれるとどうなるのか?

脊髄の模型
交通事故や病気などで脊髄が障害されると、その一部である脊髄の前角や後角が障害されることも少なくありません。
末梢神経レベルでは、その神経の支配する部位が障害されるという特徴がありましたが、脊髄の障害はその位置より下の身体のほとんどに影響を与えるという特徴があります。

脊髄前角が障害されとどうなるの?

脊髄が障害される中でも、前角が障害されてしまうと身体の動きや筋肉に症状が現れます。
上位運動ニューロンと下位運動ニューロンとがそれぞれ協調することで、私たちの身体は動くことができますが、どちらかの部位に障害が起きてしまうと、筋肉を適切に動かすことができなくなってしまうのです。
特に、前角が障害されてしまった時には、下位運動ニューロンの障害となります。
下位運動ニューロンの障害では、筋肉のハリが弱くなりグニャグニャした筋トーヌス低下と呼ばれる状態になります。
そして、筋肉が萎縮し、反射も起きにくい状態となってしまいます。

脊髄後角が障害されるとどうなるの?

脊髄の後角が障害されると身体から脳へと感覚を伝える働きがうまく機能しなくなってしまいます。
後角の中でも障害される高さや部位によって、身体のどこに症状が現れるのか、また、触覚、痛覚、温度覚、位置覚のどれが障害されるのかも疾患や障害の程度によって様々です。

まとめ

この記事では脊髄の前角と後角について、構造や働き、障害されてしまった時に起きてしまう症状などについてわかりやすく説明しました。
まとめると脊髄前角は運動神経を伝達し、脊髄後角は感覚神経を伝達するという役割を果たしています。
したがって、脊髄の前角が障害された場合には主に運動に関わる症状が現れ、後角が障害された場合には感覚に関わる症状が現れます。
脊髄の構造と機能をしっかりと理解することが、その部分が障害された時に起こる病態の理解にも繋がります。
脳や脊髄、神経などに興味のある人は各部位の構造や機能を詳しく調べてみるといいかもしれません。

Q&A

脊髄の後角の役割は?
脊髄の後角の役割は、皮膚や筋肉が感知した深部感覚や痛覚、温度覚などを、電気信号を介して末梢神経から受け取ることです。
受け取った信号はそのまま脊髄を介して脳に伝達されます。

脊髄の前角の働きは?
脊髄の前角の役割は、脳の大脳皮質から始まり脳幹を介した運動の指令を、末梢の運動神経に伝達することです。
末梢神経に伝達された信号は、そのまま筋肉の収縮を引き起こし随意運動を可能にします。



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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