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脳出血の意識レベルと回復について

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脳出血は、意識レベルの低下が現れやすい病気です。
身近に脳出血のために意識不明の状態になっている人がいる方は、意識障害について詳しく知りたい方も少なくないでしょう。
残念なことですが、現在はまだ意識レベルの回復に確実な治療法はありません。
このブログでは、脳出血発症後の意識レベルの評価方法や回復への取り組みなどを説明します。

脳出血の患者の意識レベルの確認

脳出血の患者は、意識レベルが低下し意識不明で運ばれてくる方が少なくありません。
意識レベルの低下は命にかかわるため、迅速に意識レベルを確認し治療方針を決定する必要があります。
そのため、脳出血を発症して運ばれてきた患者の意識レベルの評価をすぐに行い、さらにその後も定期的に意識レベルを確認してその変化を観察し、適切な処置をしなければいけません。

意識レベルの評価指標

意識不明の患者から現在の状況を聞くことはできません。
また、意識レベルは時間とともに変化するため、治療にかかわるスタッフの誰もがすぐに把握できる共通した評価方法が必要となります。
現在、意識レベルの評価には、「JCS」と「GCS」という2つの指標が広く使われています。
それぞれの指標の特徴や向いている場面などを簡単に説明します。

JCS(Japan Coma scale)の特徴

急性期の脳ヘルニアの進行度を評価することを目的とした指標です。
呼びかけや痛み刺激に対する覚醒程度を評価する指標で、短時間で意識レベルの評価が行えるため急性期に用いるのに向いています。

ジャバン・コーマ・スケール(JCS)

Ⅰ:刺激しないでも覚醒している状態
Ⅰ-1:だいたい意識清明だが今ひとつはっきりしない
Ⅰ-2:見当識障害がある(場所や時間、日付が分からない)
Ⅰ-3:自分の名前、生年月日が言えない
Ⅱ:刺激すると覚醒する状態
Ⅱ-10:普通の呼びかけで容易に開眼する
Ⅱ-20:大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
Ⅱ-30:痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する
Ⅲ:刺激しても覚醒しない状態
Ⅲ-100:痛み刺激に対し、払いのける動作をする
Ⅲ-200:痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
Ⅲ-300:痛み刺激に対して反応しない

GCS(Glasgow Coma scale)の特徴

GCSは、外傷性脳障害における意識障害を評価することを目的とした指標で、世界中で使われています。
スコア化されており、15点は正常、13~14点は軽度、9~12点は中等症、8点以下は重症と評価されます。
「開眼」「発語」「運動機能」の3つの点から評価する指標で少し複雑になるため、慢性期に用いるのに向いています。

グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)

E:開眼(eyeopening)
自発的に開眼:4点
呼びかけで開眼:3点
疼痛刺激で開眼:2点
開眼しない:1点
V:発語(verbalresponse)
見当識の保たれた会話:5点
会話に混乱がある:4点
言葉に混乱がある:3点
理解不能な声:2点
発声がない:1点
M:運動機能(bestmotorresponse)
指示に従う:6点
疼痛部位の認識:5点
逃避行動:4点
異常屈曲反応:3点
四肢の異常伸展反応:2点
反応なし:1点

急性期の治療

患者の意識レベルが低下して呼びかけにも応じない場合は、迅速な処置が必要となります。
バイタルを確認し、異常を是正するための処置が必要です。
脳幹が損傷を受け呼吸が障害されている場合は、呼吸の補助をするために気管挿管し呼吸を管理できるようにします。
また、脳出血の患者は高血圧であることが多いため降圧薬を投与するなどして、出血の拡大を防ぐ処置をすることもありますが、画像検査で大きな血腫が認められ脳が圧迫されている場合は、圧力を下げるため高張グリセロールを点滴で注入したり、場合によっては血腫を取り除くために開頭手術が必要なこともあります。
出血した血液が吸収され血腫を除去し、脳の腫れが治まったとしても、意識レベルが回復するかはわかりません。
治療によって意識レベルが回復することもありますが、現在はまだ意識レベルを回復させる確実な方法はありません。
脳出血の患者は、昏睡が6時間以上続いた場合は、脳に損傷が残る可能性が高くなるといわれています。
入院時に意識障害があった場合は、3ヶ月後の死亡リスクや合併症のリスクと関係しているという報告があります。
また、入院後に意識レベルが悪化した場合は、30日後の死亡率の上昇と関係しているといわれています。

長期的な取り組み

意識レベルが回復しない場合は、長期的なケアが必要となります。
食べ物が食べられない方は、鼻から胃にチューブを挿入してそこから栄養を与えます。
排尿や眼の乾燥、体の清掃などあらゆるケアが必要になってきます。
また、体を動かすことができないため、床ずれや拘縮を予防するための対策も必要です。

今後への期待

意識レベルを回復させるためにさまざまな処置が行われていますが、まだ確実な方法はありません。
現在、意識レベルの回復について多くの研究が行われています。
研究の中には、長期間昏睡状態にあった患者に、日常のケアの中でさまざまな刺激(触覚、味覚、聴覚刺激など)を与えることで意識レベルが改善したという報告もあります。
より確実な回復方法が開発されるために、今後の更なる研究が期待されています。



貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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