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脊髄損傷後遺症のクローヌスとは

           

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脳卒中や脊髄損傷の後遺症に、「痙縮(けいしゅく)」という症状があります。
手や足の筋肉の緊張が過剰となり、強くかたまってしまうためスムーズに動かすことができなくなる症状です。
痙縮と関連の深い症状に、クローヌスという症状があります。
この記事では、脊髄損傷とクローヌスについて解説していきます。

脊髄損傷の方に起こるクローヌスとは?

手首の痙縮
クローヌスというのは、足首やひざの関節が軽度の刺激でピクピクと何回も動いてしまう現象のことをいいます。
刺激になるのは足首やひざの関節の動きであることが多く、はやく伸ばされたりするとそれに対する反応が起きやすく、クローヌスが発生します。
必ずしも動きが刺激になるわけではなく、夜間寝ている時に発生し睡眠の妨げになることもあり、日常生活に大きな影響を及ぼす症状です。
脊髄損傷を起こすと、損傷部より先の脊髄に支配される筋肉は麻痺して脱力した状態になります。
損傷から3-6週程度経過すると徐々に痙縮やクローヌスといった症状が見られるようになってきます。
痙縮やクローヌスは頻度が高い後遺症の一つで、治療に苦労することが多い症状です。

クローヌスは反射の亢進が原因

痙縮やクローヌスといった症状は、筋肉の緊張が高まり、筋肉の反射が亢進しているために発生します。
筋肉の反射というのは、筋紡錘という部分が筋肉の伸長を感知して筋肉を縮めることをいいます。
これは私たちの体が大きな力を発する時に重要な仕組みです。
例えば、高くジャンプしようと思う時、膝や足首をぐっと曲げてから跳びますよね。
これは膝や足首の筋肉を一度伸ばすことで、その後反射を利用して強く筋肉を緊張させるという現象が起きているのです。
ところが反射がいろいろな筋肉で同時に起きてしまうとスムーズに動作を起こすことができません。
そのため、脳や脊髄から反射を抑制するための指令が同時にでていてコントロールされています。
脊髄損傷や脳卒中ではその反射を抑えるための指令が不十分となり、筋肉の反射が過剰となり痙縮やクローヌスが発生してしまうのです。
ただし動き以外の部分でもクローヌスが発生することもあり、厳密にそのメカニズムが解明されているわけではなく、不明な部分が残されています。

クローヌスや痙縮がリハビリを阻害する

脊髄損傷では手足の関節が硬くならないように、可動域訓練を実施します。
しかし痙縮があると関節が動かないように自分で力を入れてしまうため、有効な訓練が実施できません。
早い動きを入れるとクローヌスが発生してしまうため、訓練の実施には注意が必要になります。
立位や歩行訓練中にも注意が必要です。
動作中には常に関節の動きを伴うため、筋肉の反射が起きやすい状況になります。
歩行中急にクローヌスが起きてしまうと、歩行できなくなってしまいます。
クローヌスや痙縮はリハビリの大きな阻害要因となるため、対策が必要です。

クローヌスの治療

痙縮やクローヌスの治療にはさまざまな段階があります。
まずは筋肉の緊張を和らげるための飲み薬を処方します。
ダントロレンナトリウムやチザニジン、バクロフェンといった薬剤が脳卒中ガイドラインでは推奨されています。
内服薬に合わせて、注意深いリハビリテーションを実施します。
リハビリテーションに電気刺激を合わせて行うと、効果が得やすいとも言われています。
これらの治療で思うような効果を得られない場合に、治療の段階を上げることを検討します。
筋肉をやわらかくして関節が動くようにする目的で使用する薬剤に、ボツリヌス療法があります。
もともとは神経を麻痺させる毒素ですが、少量を使用することで筋肉を弛緩させる効果が期待できます。
同様の目的でフェノールやエチルアルコールを使用した神経ブロックを行うことがあります。
また、飲み薬でも使用するバクロフェンを脊髄に注入する方法もあります。
これらの治療を行っても改善のない痙縮に対しては、アキレス腱の延長など手術が検討されることもあります。

脊髄損傷によるクローヌスに対する再生医療

もともと神経や筋肉は絶妙なバランスの上に成り立っているため、脊髄損傷のように大きなケガをしてしまうと、機能を取り戻すのは簡単ではありません。
脊髄の機能を取り戻すことができればいいのですが、残念ながら神経が強く損傷された場合元通りに再生するのは困難です。
神経の回復を最大限に引き出すための手法、それが再生医療です。
再生医療では、神経の元になる細胞や、神経の修復に役立つと思われる成分を使用して治療を行います。
脊髄の機能が回復すれば、筋肉の反射や緊張のバランスを取り戻すことができます。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
脊髄損傷によるクローヌスに対しては、幹細胞治療とリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

脊髄損傷とクローヌスについて解説しました。
痙縮やクローヌスは、患者さんにとって自分の思い通りにならない体を痛感する、つらい症状の一つです。
エビデンスに沿った適切な治療を受けることで症状の改善につながる可能性があります。
主治医とよく相談し、納得できる治療を受けるようにしてください。


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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