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パーキンソン病における筋固縮とは

           

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この記事を読んでわかること

パーキンソン病とは
パーキンソン病における筋固縮のメカニズム
筋固縮の治療


パーキンソン病の主症状の1つに筋固縮(筋強剛)と呼ばれる運動障害があります。
筋固縮とはその名の通り筋肉の緊張が亢進して固くなっている状態を指し、特にパーキンソン病の筋固縮は、自分で気付きにくいものの、他者が動かしたときに筋肉に強い抵抗を感じます。
この記事では、パーキンソン病における筋固縮に関して詳しく解説していきます。

パーキンソン病とは

皆さんもパーキンソン病という病名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
パーキンソン病は、10万人に100〜150人ほど発症する変性疾患です。
発症者の多くは60歳以上で、加齢とともに発症率も増加するため、人口の高齢化に伴い患者数も増加しています。
そもそも、パーキンソン病とは脳内の黒質と呼ばれる部位に原因不明の変性が生じ、ドパミンの分泌が枯渇する病気です。
ドパミンは神経と神経の間で情報を伝達する物質であり、ドパミンの枯渇によって様々な神経機能が障害されてしまいます。
ドパミンの枯渇によってスムーズな運動が失われてしまうため、安静時振戦、筋固縮、動作緩慢、姿勢反射障害などの運動障害がパーキンソン病の代表的な症状です。
安静時振戦とは、安静時に手指や脚など、体の一部がふるえてしまう症状です。
筋固縮とは、筋肉の緊張が亢進した状態を指し、筋肉を動かす際に抵抗が生じます。
動作緩慢とは、動きが遅くなることで、同時に細かい動作がしにくくなります。
姿勢保持障害」とは、バランスが悪くなり転倒しやすくなることです。
このうち、筋固縮についてさらに詳しく解説していきます。
パーキンソン病

パーキンソン病における筋固縮のメカニズム

パーキンソン病によってドパミンが枯渇すると、スムーズな運動を行うために機能している「錐体外路」と呼ばれる神経系が障害されます。
すると、筋肉を上手に弛緩させることができなくなり、筋緊張が亢進した状態を招きます。
パーキンソン病では、筋緊張が亢進した状態が続くため動きがぎこちなくなっていき、それに伴って運動量も低下し、さらに筋肉が固まっていく悪循環に陥ります。
固縮には複数種類があり、肘や膝、手首などの関節に持続的なこわばり、抵抗を認める固縮を鉛管様固縮と言います。
それに対し、自分では自覚しにくいものの他者が関節の曲げ伸ばしを行った際に、歯車の様な抵抗を認める場合を「歯車様固縮」と言い、パーキンソン病に特徴的な症状と言われています。
固縮が進行するとスムーズな運動が行えなくなるため、歩行や運動も困難になり、顔面の筋肉にも影響が及びます。
顔の表情筋も固縮するため、喜怒哀楽の表情を作り出せなくなっていき、表情の固まった「仮面様顔貌」と呼ばれることもあります。

筋固縮の治療

では、筋固縮に対してどの様な治療をおこなうのでしょうか?
大前提として、パーキンソン病は進行性の変性疾患であり、現在の医療では変性した黒質を元に戻すことはできないため、あくまで症状の進行を抑えることが治療の主目的になります。
その上で、標準的に行われている治療は薬物療法、手術療法、リハビリ療法などが挙げられます。
薬物療法では、ドパミンの作用を持つレポドパドパミンアゴニスト、脳内でのドパミンの分解を阻害するモノアミン酸化酵素阻害薬、ドパミンの効果を補助する抗コリン剤などが用いられます。
特に、抗コリン剤の中でもアーテンとビペリデンは固縮に効果があると言われています。
次に、手術療法では脳内に電極を入れて視床下核を刺激する方法が最もよく行われます。
視床下核は運動を抑制する働きがあるため、視床下核を刺激することで運動を促すことが目的です。
しかし、手術療法が実施可能な施設は限られており、症状や程度に応じて適応の可否も決まっています。
最後に、少しでも固縮の進行を遅らせるには日々のリハビリテーションが欠かせません。
固縮は筋肉を動かさないことでさらに進行してしまうため、リハビリを行うことで筋肉を動かすことは直接的な治療効果を持ちます。
可能な運動のレベルに応じて毎日リハビリを実施するのが望ましく、簡単な運動でも継続することが重要です。

まとめ

今回の記事ではパーキンソン病における筋固縮について解説しました。
ドパミンの枯渇による筋緊張の亢進により筋肉が固まっていき、動作時に抵抗を持つ様になることを固縮と呼びます。
特に、パーキンソン病では他者が関節の曲げ伸ばしを行った際に、歯車の様な抵抗を認める歯車様固縮が特徴的です。
固縮を進行させないためには、薬物療法はもちろんのこと、日々のリハビリテーションが非常に重要になります。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましいです。
これまで、一度損傷して変化した脳細胞はなかなか元に戻らないと考えられてきましたが、再生医療の発達に伴い、変化した脳細胞が再生できるかもしれないのです。
そうなれば、枯渇したドパミンも増加し、パーキンソン病の症状が改善する効果も期待できるため、現在その知見が待たれるところです。

よくあるご質問

筋固縮の特徴とは?
筋固縮の特徴は、筋肉の緊張が亢進していて動作時に強い抵抗感があることです。
中でも、パーキンソン病では自分で自覚しにくいものの、他者が関節の曲げ伸ばしを行った際に、歯車の様な抵抗を認める歯車様固縮を認めます。

拘縮って何?
固縮と拘縮は、どちらも動作を起こしづらくなる点では変わりありませんが、原因となる部位が異なります。
固縮が筋肉のこわばりであるのに対し、拘縮とは骨と骨とをつなぐ関節がなんらかの原因で動かしにくくなった状態を指します。
主な原因は、寝たきりや麻痺などによって動かす機会が減ることです。

<参照元>
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169

関連記事


あわせて読みたい記事:ドーパミンの枯渇によるパーキンソン病の症状について

外部サイトの関連記事:脳梗塞後遺症は幹細胞治療で本当に良くなるのか


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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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