脳出血の再出血はなぜ恐ろしいのか | 脳梗塞・脊髄損傷・脳出血の再生医療ニューロテックメディカル

脳出血の再出血はなぜ恐ろしいのか

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以前と比較して国内の脳出血罹患率は低下傾向にありますが、脳出血に罹患した後の再出血は比較的起こりやすい合併症です。
麻痺やしびれなどの神経症状を大きく悪化させる可能性を孕んでおり、場合によって日常生活に大きな支障を来す可能性も高いです。
そこで今回は脳出血やその後の再出血の原因、リスクについてわかりやすく解説していきます。

脳出血後の再出血はなぜ起こる?

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脳出血とは脳を栄養する血管が破綻し頭蓋骨内で出血してしまう疾患で、出血しやすい部位としては、脳の一部分である被殻、視床、小脳、脳幹部などが挙げられます。
出血することで血液から脳への栄養の供給が止まるため、それぞれの部位が担っている機能が障害され、損傷部位に応じて様々な神経学的症状が生じます。
例えば脳の部位の中でも出血を起こしやすい被殻という部位は感覚や運動に携わる神経の通り道ですので、出血すると麻痺や痺れなどの症状が出現します。
他にも、脳幹部は呼吸機能や心臓の動きなど人体の機能の中枢的な役割を担っているため、脳幹部に出血が起こると命の危険性も高くなります。
では、そもそもなぜ脳出血が起こるのでしょうか?
脳出血の原因の大部分は高血圧や喫煙などによって動脈硬化が進展することにより血管が破綻するためだと考えられています。
動脈硬化によりガチガチに硬くなった血管に血圧の変動が加わると、血管壁が破綻して出血してしまうのです。
通常であれば、出血する事で頭蓋骨内の圧は段々と上がってきますが、さらに患者自身の凝固能が働き数分から数時間で出血は止まることが多いです。
しかし、血圧が高ければ頭蓋内圧を超えてさらに出血することもあり得ます。
特に初回発症後から24〜48時間で再出血する可能性が高いため注意が必要です。
出血部位が再出血により拡大してしまえばその分多くの部位が損傷され、神経症状も多く出現します。
また脳全体が圧排されると意識障害に陥り命の危険性もあるため、除圧のための手術が必要になります。
これらの被害を防ぐためにも、血圧のコントロールが非常に重要です。

脳出血後の再出血のリスクとは?

再出血のリスク管理は急性期と慢性期でやや意味合いが異なります。
まず急性期であれば発症後24〜48時間は再出血のリスクが高いため注意が必要です。
急性期に再出血しない様にするには、血圧をコントロールするために降圧剤を点滴から投与し、極力患者の血圧が変動しないように患者に対する光や言葉による刺激を避ける様にします。
実際の医療現場では、患者には極力目を瞑ってもらい、話しかけない様にします。
またベッドに横になってもらった状態で頭を少し高い位置に挙げ、脳への血液の負荷を減らす様に管理します。
次に、慢性期の再発予防の管理には動脈硬化の進展を避けるべきであり、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症のような生活習慣病をコントロールすることが肝要です。
特に、血圧の変動や高血圧そのものが再出血を引き起こす最大のリスクであり、具体的には拡張期血圧が100mmHg以上、動揺性高血圧、コントロール困難な高血圧、低蛋白血症の4点がリスク因子として挙げられます。
ここでのコントロール困難な高血圧とは、頻回の降圧剤の変更や多剤併用をしても収縮期血圧が160mmHg以下にコントロールできないものであり、動揺性高血圧とは常に高血圧ですが1日の中で血圧の変動が40〜50mmHg以上変動するものを指しています。
このようにリスク因子を見てみると、血圧の管理が再出血予防の観点で非常に重要であることが分かります。

再出血による症状とは?

再出血による症状は、前述した様にその出血部位によって異なります。
基本的には初回出血部位からの再出血が多いですが、必ずしも初回出血と同部位に再出血する訳ではなく、動脈硬化は脳の血管全体に及んでいるため、対側で再出血することも少なくありません。
むしろ発症後の患者の予後は、初回出血と同側での再出血よりも対側での再出血の方が圧倒的に悪いという報告が多いです。
再出血による両側の脳の損傷は、麻痺やしびれ、嚥下障害のみならず高次機能障害も出現しやすく、自立した生活を送れなくなる可能性が非常に高まります。

まとめ

今回は脳出血の再出血について、その原因やリスク、管理方法などについて解説しました。
再出血は脳の損傷をより広範にしてしまうため様々な神経障害が生じてしまい、場合によっては日常生活に多大なる影響を及ぼす可能性があります。
急性期、つまり発症後数日には再出血が起こりやすいため、非常に繊細な医学的もしくは看護的管理が必要になります。
特に神経細胞は一度損傷すると基本的には回復が難しいため、再出血は避ける様に徹底した管理が必要になります。
また近年では損傷した神経細胞を再生する、再生医療の発達が目覚ましいです。
自身の骨髄から採取した幹細胞を点滴から投与することで、幹細胞が神経に定着して死んだ脳細胞の代わりとなり再び機能が甦る可能性があるのです。
脳出血による後遺症を少しでも軽減できる可能性があり、現在多くの治療結果を積み重ねてその成果が期待されています。


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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