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シャルコーマリートゥース病のリハビリテーション

           

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この記事を読んでわかること

シャルコーマリートゥース病の症状とはどのようなものか
シャルコーマリートゥース病に有効なリハビリについて
シャルコーマリートゥース病の治療法には何があるのか


シャルコーマリートゥース病とは、徐々に進行する遺伝性の末梢神経障害のことです。
症状として、末梢神経障害による手足の末端の筋力低下や感覚障害などがあります。
治療法として確立されたものはありませんが、歩行機能を保つためには適切なリハビリテーションを行うことが大切です。
今回の記事では、シャルコーマリートゥース病のリハビリテーションについて解説していきます。

効果的なリハビリ方法と運動療法

シャルコーマリートゥース病のリハビリテーション
シャルコーマリートゥース病とは、シャルコー、マリー、トゥースという3人によって1986年に報告された、遺伝子の変異が原因となって発症する末梢神経疾患の総称です。
主に、末梢神経障害によって手足の遠位、つまり体の中心から離れた部分に筋力低下や感覚低下が起こるという症状が現れます。
通常は0〜20歳ごろまでに発症するものの、50〜60歳にも発症する人がいます。
日本では、人口1万人に対し1人ほどの患者さんがいると報告されています。
具体的な症状としては、手足の末梢の筋肉がゆっくりと萎縮し、感覚が鈍くなってきます。
また、多くの患者さんでは足や足の指の変形(凹足)、足の筋力低下、そして鶏のような特徴的な歩き方をする、という症状を呈します。
そして、ふくらはぎの萎縮なども起こります。
シャルコーマリートゥース病の治療として確立されたものはありませんが、理学療法や手術療法、薬物療法があり、治療薬の開発も進んでいます。
治療薬としては、神経栄養因子、プロゲステロン阻害薬及び刺激薬、クルクミンなどの研究が進められています。
リハビリテーションの分野では、ロボットスーツHALによるリハビリテーション療法の有効性が証明されています。
これに基づき、2015年に医療機器承認され、2016年から歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)として保険適用されています。

理学療法(物理療法)

シャルコーマリートゥース病のリハビリテーションについては、その患者さんごとの症状に応じて適切な運動が選ばれます。
一般的には、翌日に疲労を残さない程度の軽い運動療法は、筋力維持に役立つ可能性があるとされています。
週3回、24週程度のリハビリテーションプログラムに参加することによって、膝関節を伸ばすための筋力の改善と、太ももの筋力の自覚症状の改善が認められたという報告があります。
運動プログラムとしては、軽い重りを使用する運動や、抵抗を加える運動などがあります。
また、シャルコーマリートゥース病は、足の筋力低下や感覚低下のためにバランスを損なう可能性があるため、安定性を向上させるためのトレーニングが必要です。

歩行のための工夫と支援技術

シャルコーマリートゥース病では、足のポジショニングの改善や、関節の変形防止、そして疼痛の改善などの目的で、下肢の装具が有効であることが多いとされています。
病気が初期の段階では、ブーツやハイカット靴、また足アーチサポートをつけた特注靴、さらに中敷き(足底板)などで歩行の安定性が増します。
病状の進行に応じて、足関節のサポーター等も用います。ある程度長い距離を移動するためには、車いすも考慮する方が関節の負担や筋疲労の軽減のためには良い場合もあります。
骨折してしまうと筋力の低下などが著しく進んでしまう可能性があるので、転倒への注意と安定したフットウェアや装具を選ぶことが日常生活上は大切です。

痛みの管理と対処法

シャルコーマリートゥース病では、痛みの管理も重要です。
適切な装具の着用も疼痛の緩和には役立ちます。
そして疼痛がある場合、医師が処方した薬物療法が考慮されます。抗炎症薬や痛み止めが一般的です。
また、マッサージや温熱療法も、筋肉の緊張を和らげ、痛みを緩和するため効果が期待できるという報告があります。
シャルコーマリートゥース病は、命に直結するような病気ではないとされています。
多くの方は自力で歩いたり、杖を使ったりして移動することが可能ですが、車いすを使う方は20%、寝たきりになる人も1%はいるとされています。

まとめ

今回の記事では、シャルコーマリートゥース病のリハビリテーションについて解説しました。
シャルコーマリートゥース病は、末梢神経が障害を受けてしまう進行性の病気です。
損傷を受けた神経の修復に際して、再生医療が効果を発揮できる可能性があります。
当院では、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『脳の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しています。。
リニューロ®は、同時刺激×再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
シャルコーマリートゥース病のような難病に対しても、今後の知見が待たれるところですね。

Q&A

シャルコーマリートゥース病の治療法は?
確立されたものはありませんが、理学療法や手術療法、薬物療法があり、治療薬の開発も進んでいます。治療薬としては、神経栄養因子などがあります。リハビリテーションの分野では、ロボットスーツHALによるリハビリテーション療法の有効性が証明されています。

シャルコーマリートゥース病の予後は?
一般的にシャルコーマリートゥース病は死に至る病ではなく、寿命に大きな影響は与えません。杖が必要となる生活になることがありますが、車椅子が必須となるような生活になることは少ないです。ただし、転倒すると筋力低下が進み、寝たきりになりやすくなるので、転ばないように気をつけることが必要です。

あわせて読みたい記事:シャルコーマリートゥース病とは
<参照元>
シャルコー・マリー・トゥース病(指定難病10):https://www.nanbyou.or.jp/entry/3773
シャルコー-マリー-トゥース病 – 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 – MSDマニュアル家庭版:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
Charcot-Marie-Tooth 病の治療戦略.臨床神経.2011;51:1015‐1018.:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051111015.pdf
Massage therapy treatment and outcomes in a patient with Charcot-Marie-Tooth disease: A case report.J Bodyw Mov Ther . 2020 Apr;24(2):130-137. doi: 10.1016/j.jbmt.2019.10.014. Epub 2019 Oct 25.:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32507138/


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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