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高次脳機能障害・脳機能

小脳性運動失調と小脳性構音障害の関連性

小脳性運動失調と小脳性構音障害の関連性

この記事を読んでわかること

・小脳性運動失調と小脳性構音障害の共通点と相違点
・小脳損傷が引き起こす運動障害と構音障害の関係
・リハビリテーションと小脳性運動失調・小脳性構音障害の改善


小脳とは身体の姿勢やバランス・随意運動の調節をおこなう非常に重要な器官です。
腫瘍や出血・梗塞などの理由で小脳が障害されると、思うように身体を動かすことができなくなる小脳失調という症状が出現し、その症状の1つとして失調性構音障害を伴います。
そこでこの記事では、小脳性運動失調と小脳性構音障害の関連性について解説します。

小脳性運動失調と小脳性構音障害の共通点と相違点

バランス
小脳性運動失調と小脳性構音障害の共通点と相違点を理解する上では、小脳がいったいどのような働きをする器官なのか理解する必要があります。
小脳に障害が生じると、筋力は保たれているにもかかわらず、動きがぎこちなくなり、思った通りに動かせなくなります。
これが小脳性運動失調です。
一方、失調性構音障害は、発話に関わる筋肉の協調運動が乱れることで、話し方に異常が生じる状態をいいます。
両者は同じ小脳障害を原因としながら、現れる症状の部位が異なる点に特徴があります。

小脳の機能

小脳は、大脳の後頭葉の下部、脳幹(中脳・橋・延髄)の後部に位置しており、主に3つの役割を担う器官です。

  • 大脳小脳:四肢の運動の調節や言語の表出
  • 脊髄小脳:体幹の運動調整
  • 前庭小脳:平衡感覚と眼球運動の調節

例えば、あるボタンを手で押そうとした時、大脳皮質から運動の指令が発生し、脳細胞を経由して中脳→橋→延髄→脊髄→末梢神経、という順に刺激が伝達されます。
最終的に、末梢神経が支配する筋肉が収縮することで運動が起こり、ボタンを押すことができます。
次に、ボタンを押した感覚は手から末梢神経→脊髄→延髄→橋→中脳と逆行性に伝達され、最終的には大脳皮質にインプットされます。
この際、運動と感覚の情報はどちらも小脳にもインプットされ、自身の思い描いた運動と、実際におこなった運動にズレがないかをチェックしているわけです。
もしズレがあれば修正するように大脳皮質に指示を送り、四肢や体幹の繊細な運動をコントロールしています。
逆に言えば、小脳になんらかの異常が生じると、四肢や体幹などの運動がスムーズにおこなえなくなり、精密さを欠くこととなります。
では、脳梗塞や脳出血に伴う麻痺とは何が違うのでしょうか?
麻痺症状も、運動機能に異常が生じるという意味では一致していますが、麻痺の場合は「動かない・力が入りにくい」ですが、小脳に支障が生じた場合は「思っているように動かない」と認識されます。

小脳性運動失調と小脳性構音障害の関連性

小脳性運動失調とは、前述したメカニズムから小脳になんらかの異常が生じることで運動機能に異常が出ることを指し、主に下記のような症状です。

  • 構音障害
  • 体幹失調
  • 企図振戦
  • 眼振

以上からわかるように、小脳性運動失調の症状の1つに小脳性構音障害が含まれます。
失調性構音障害ともいわれ、言葉を発するための舌や口唇、顎、声帯などの運動がうまく協調せず、発話のリズムや強弱が乱れます。
他にも、酔っ払いのような歩行となる体幹失調・手や足を目標とするものに近づけようとすると震えてしまう企図振戦・眼球の運動が定まらない眼振などの症状も代表的です。

小脳損傷が引き起こす運動障害と構音障害の関係

では、小脳失調と構音障害の関係についてさらに深掘りしていきましょう。
小脳出血・小脳梗塞・小脳腫瘍・原因不明の変性などによって小脳が損傷を受けると、スムーズで繊細な運動をおこなうことができなくなり、構音障害に至ります。(これを、小脳性構音障害という)
構音障害とは、言語を発する能力に異常が生じて、通常通りの発話・発声ができない状態を指します。
構音にはさまざまな筋肉や神経の複雑な連動が必要であり、小脳失調によって思うように運動できなくなると生じるわけです。
小脳失調による構音障害の場合、単に声が出なくなるというよりも、音量調節が乱れたり、会話のリズムが乱れることが多いです。
特に、リズムの乱れが特徴的であり、発話速度の低下を認めることから「酔っ払いのような話し方」と形容されます。
また、時折音量が急に大きくなる爆発性言語といった症状も特徴的です。

リハビリテーションと小脳性運動失調・小脳性構音障害の改善

編み物リハビリ
小脳性運動失調・小脳性構音障害それぞれに対するリハビリとその効果について解説します。

小脳性運動失調のリハビリの重要性

小脳性運動失調では、主に下記のような運動障害を認めます。

  • 歩行時の急な方向転換ができない
  • 階段の昇り降りが困難
  • 歩行が不安定

そこで、主に行われるリハビリテーションとしてはフレンケル体操が代表的です。
フレンケル体操とは、簡単に説明すると「自分の運動している姿を見ながら、運動のズレを修正する理学療法」です。
小脳性運動失調は、筋力低下が原因ではなく、あくまで自分の認識と実際の体の動きにズレが生じることが問題となるため、視覚から入る情報をフィードバックしてズレを修正するわけです。
また、症状が進んで転倒リスクが高い場合は、四つん這いになってバランスを保持したり、編み物などの細かな作業によるトレーニングをおこないます。

小脳性構音障害のリハビリテーション

失調性構音障害を含む小脳性構音障害のリハビリテーションでは、発声練習のためのドリル課題を用いたリハビリや、ペーシングボードと呼ばれる発声のリズムを修正する器具を用いたリハビリ法などがあります。
主な治療の目標は、発話の明瞭度を向上させ、会話のリズムを適正化することです。

新しい治療法の展望

小脳障害の治療には、リハビリが主流ですが、近年再生医療や神経刺激技術が注目されています。
これらの治療法は、脳内の神経回路の再構築を助け、機能の改善を促進する可能性があり、患者の生活の質を向上させるために期待されています。

小脳性運動失調と小脳性構音障害についてのまとめ

今回の記事では、小脳性運動失調と小脳性構音障害の関連性について解説しました。
小脳はスムーズな運動をおこなうためには必要不可欠な器官であり、小脳があることで繊細な運動が可能となっています。
小脳が障害され運動失調が生じれば、うまく歩くことができず、手は震え、姿勢も保持できなくなります。
また、上手に言葉を紡げなくなり、会話のリズムや音量も乱れるでしょう。
小脳が障害される原因にもよりますが、基本的に一度障害を受けた脳細胞は再生しないため、現状では根治療法ではなく、リハビリテーションによる機能維持が治療の中心です。
しかし、近年では再生医療の発達も目覚ましく、損傷した脳細胞が再生すれば小脳機能も回復する可能性があり、現在多くの知見が待たれるところです。

よくあるご質問

運動失調性構音障害とは?
発声に関わる舌・口唇・咽頭・顎・声帯などの運動機能が障害され、うまく連動して動かなくなることで発語に問題が生じます。
発話速度の低下や音量の乱れなどが主な症状です。

小脳性構音障害とは?
小脳性構音障害とは、なんらかの原因で小脳が障害を受け、スムーズな運動をおこなえなくなったことで生じる構音障害のことです。
失調性構音障害はその代表的なものです。
会話内容を理解できなくなることで会話が乱れる失語症とは異なる病態です。

<参照元>
・日本神経学会:脳幹・小脳の血管障害によるめまい:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051111092.pdf
・日本神経学会:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/052110997.pdf
・健康長寿ネット:脊髄小脳変性症の症状:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/sekizuishounouhenseishou/shoujou.html#:~:text=小脳性構音障害,みられることもあります%E3%80%82
・脳梗塞リハビリステーションPOGRESS:https://mscopo.com/rehabilitation/

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この記事の監修

監修医師 貴宝院永稔医師

貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)

脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医

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「改善あり」は、元の状態への回復や、日常生活の自立を意味するものではありません。
この集計では、FMA・BRS・ASIAなどの評価、または本人の自覚症状に変化が認められた症例を「改善あり」としています。
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集計期間:2023年11月〜2025年12月
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