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めまいが酷いと小脳梗塞を疑ってみる

           

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突然のめまいや嘔吐、普段元気な人でも急に襲ってくるその症状は小脳梗塞かもしれません。
小脳梗塞は、脳梗塞全体のおよそ2%の割合と言われています。
しかしながら、研究によれば小脳梗塞は一般的な脳梗塞と比べて死亡率が2倍ほど高いことも統計的に示されています。
小脳梗塞について症状と原因、もし、小脳梗塞かもしれないときに病院ではどんな検査をして、どんな治療をするのか、そして治療した後のことについてまとめてみました。

小脳梗塞とは

小脳は、後頭部の下に位置するバランスや運動を調節する機能を持った脳の一部です。
小脳は、目で見た情報や、耳や筋肉からの身体の位置や角度などを調整する働きをしています。
上小脳動脈、前小脳動脈、下小脳動脈という3つの動脈から血液が送られてきますが、これらの動脈が狭窄や閉塞して、血液を小脳に送り届けられなくなって組織が死んでしまう疾患を小脳梗塞と言います。

小脳梗塞の症状

目眩
それでは、小脳梗塞になってしまうとどのような症状が現れるのでしょうか?
小脳梗塞を発症した人に現れる症状には次のようなものが含まれています。
それぞれの症状について、詳しく解説します。

  • ❶ めまい・嘔吐
  • ❷ ふらつき
  • ❸ ろれつが回らない
  • ❹ 手足がうまく動かせない
  • ❺ 意識障害

❶ めまい・嘔吐

小脳梗塞の有名な症状はめまいです。
身体のバランスを保つという小脳の機能がうまく制御できなくなり、めまいの症状が現れます。
特に、小脳梗塞のめまいは、突然発症する場合がほとんどです。
目が勝手に動く眼振を伴うことが多く、ものをじっと見つめたときに目が震えます。
めまいに伴って、頭痛や吐き気が起きることもあります。

❷ ふらつき

ふらつきも小脳梗塞の特徴的な症状です。身体の姿勢を保つことができないので、直立することができなかったり、座っていても、体幹が揺れてしまう現象が見られます。
また、両足を大きく開いて体幹を揺らしながらフラフラと歩くので、まるで酔っ払っているように見えることもあります。

❸ ろれつが回らない

話し方にも特徴的な症状が現れることがあります。
普段話すときに筋肉のバランスを調節してくれている小脳の働きが弱くなってしまうために、途切れ途切れな話し方をしたり、話すスピードがゆっくりになることがあります。
突然声が大きくなってしまうケースもあります。

❹ 手足がうまく動かせない

小脳梗塞の時には、手足がうまく動かせない症状が出ることがあります。
特に小脳梗塞では、手足の筋肉は動くけれども、思ったように動かせなくなります。
例えば、何かを手に取ろうとしても、目標物との距離を測れず、目標物に手が届かなくなります。
触れようとするものに近づくにつれて、手の震えが大きくなることもあります。

❺ 意識障害

水頭症という状態になってしまうと、脳の中に水がたまってしまい、脳圧が高くなります。
特に、小脳は脳幹という呼吸を制御する脳の大事な部分に近いのですが、その部分が圧迫されてしまうと、急激な意識の低下や呼吸の停止の危険性があるので、意識障害が起きた場合には特に注意が必要です。

小脳梗塞の原因

血栓
小脳梗塞は、小脳に血液を届ける上小脳動脈、前小脳動脈、下小脳動脈という3つの動脈からのうちのどれか一つでも狭窄してしまったり、閉塞してしまうことで起こります。
これらの血管の狭窄や閉塞は、血栓や脳動脈解離が原因になります。
血栓とは血の塊のことで、塊が血管に詰まって、血管が詰まってしまうと、小脳に血液がうまく送れなくなるのです。
また、脳の血管の壁が破れてしまうことを脳動脈解離と言います。
脳動脈解離も小脳梗塞の原因の一つです。
脳動脈解離が起きると、その動脈が血液を送っていたはずの領域に血が届かなくなってしまう虚血状態になってしまうのです。

小脳梗塞の起こりやすい人

めまい
それでは、小脳梗塞になりやすい人はどんな人でしょうか?
脳梗塞の危険因子は、中高年の動脈硬化がある人が多く持っています。
動脈硬化は血管の壁が硬くなってしまう疾患ですが、動脈硬化によって、血管内が傷つきやすくなったり、血栓が詰まりやすくなります。
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの、いわゆる生活習慣病や喫煙、飲酒などの生活習慣が動脈硬化を引き起こすので、このような病気や習慣がある人は脳梗塞の危険性が高いと言われています。
また、心臓の病気の中には、血栓を作りやすい病気があります。
例えば、心房細動などのように心臓が震える病気は心臓で血栓ができやすい状態になります。
心臓でできてしまった血栓が脳の血管につまると、脳梗塞になるので、心臓の病気がある人も脳梗塞への注意が必要です。

小脳梗塞の後遺症

小脳梗塞は一般的に病気の予後が良いと言われています。
しかし、小脳梗塞の時に障害されてしまった身体の部位に後遺症が残ってしまうことは多いです。
小脳梗塞では、手足の動かしづらさや、喉の筋肉の動かしづらさから嚥下機能が下がってしまうこともあります。
これらの後遺症は発症早期の治療とリハビリにより改善する可能性が高いことが知られているので、おかしいなと感じた時にはすぐに病院に相談し、治療の後にもしっかりとリハビリを続けることが後遺症を軽くするために大切なことです。

小脳梗塞の治療と予防

予防にダイエット

小脳梗塞の治療

小脳梗塞が起きてしまった時の治療も一般的な脳梗塞の治療方法と同じです。
脳梗塞の治療は、繰り返しになりますが、発症から治療までの時間がとても重要で、治療開始時間によってできる治療が変化します。
治療開始時間が早いほど治療後の状態が良好になりますので、説明したような症状が現れた時にはすぐに病院に行きましょう。
治療が脳梗塞発症から4〜5時間以内にできる場合には、血管に詰まってしまった血栓を溶かす薬を静脈から投与する血栓溶解療法という治療が行われています。
お薬の治療の他にも、血管内からカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、血管に詰まってしまった血栓を回収する治療を行うこともあります。

小脳梗塞の再発予防

小脳梗塞の予防方法も基本的に脳梗塞の予防と同じです。
予防には脳梗塞の原因となる生活習慣を改めることが大切です。
栄養の取れた食事や飲酒喫煙、ストレスを溜めすぎないこと、医療機関のお薬をしっかりと飲むことや健康診断を定期的に受けることが予防や再発の予防に繋がります。
脳梗塞予防のために、日常生活のなかで意識できることを以下にまとめました。

  1. タバコをやめる
  2. 一日塩分摂取量を成人男性ならば8g未満、成人女性ならば7g未満にする
  3. 体重を落とす
  4. バランスの取れた食事をする
  5. 適度に運動を行う
  6. 水をこまめに飲む
  7. 病院で処方されたお薬をしっかりと飲む
  8. 検診を利用する

まとめ

この記事では小脳梗塞についてまとめました。
この記事で特に大事なことは以下の5点です。

  • ●小脳梗塞は小脳の血管がつまることで起きる
  • ●小脳梗塞の症状はめまいやふらつき、時に意識障害がある
  • ●小脳梗塞は生活習慣が原因となることがある
  • ●小脳梗塞は治療開始時間が早い方が予後がいい
  • ●小脳梗塞の予防には生活習慣を見直すことと、処方されたお薬をしっかりと飲むことが大切

特に、治療は症状が起きてからできるだけ短い時間であればあるほど、治療後の予後が良くなります。
自分や身の回りの人の様子が少しでもおかしいと感じた時には、すぐに病院に行くようにしましょう。



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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