再生医療による間葉系幹細胞治療と予後|再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

再生医療による間葉系幹細胞治療と予後

           

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間葉系幹細胞は生体から単離しやすく、かつ様々な細胞へ分化する能力を持っている細胞です。
採取、培養、点滴を行うことで、脊髄損傷などの後遺症を軽減することが分かっており、後遺症に悩む人への希望となります。
この記事では当院で行っているニューロテック®を紹介しながら、間葉系幹細胞の再生医療について解説します。

間葉系幹細胞治療という再生医療とは何か?

細胞
人体は非常に多くの細胞で構成されており、その数は37兆個とも言われています。
神経、筋肉、皮膚、臓器など、それぞれの部位により独自の特徴を持った細胞となっていますが、決してその細胞がいきなり生まれるわけではありません。
各種の細胞は幹細胞と呼ばれるものから分化(形や性質を変えること)することで生まれます。
2012年にノーベル賞を受賞した山中伸弥先生によるiPS細胞も幹細胞の一つであり、他の幹細胞で研究が進められたものに、間葉系幹細胞というものがあります。
間葉系幹細胞は骨、軟骨、死亡、筋肉、神経、肝細胞など様々な細胞へ分化できる多分化性を特徴とする細胞です。
人体から取り出して、投与できるほどに培養しやすいという特徴もあり、これまでに多くの研究がなされています。

当院での間葉系幹細胞治療

間葉系幹細胞を用いた具体的な治療にはいくつかの種類がありますので、ここでは当院で用いているニューロテック®の手順について解説します。

  1. 問診:まずは正確な情報を集めることから始まります。
    障害を負うまでの経過、そこからどのような治療がなされたのか、画像検査はどうなのかなどの情報を集めます。
  2. 検査:感染症(肝炎ウイルスなど)がないかの確認を行います。
    一部の感染症にかかっているかたは幹細胞治療を受けることができません。
  3. 骨髄液の採取:清潔な管理を行いながら、腸骨(腰骨)から骨髄液を採取します。
    この骨髄液の中に間葉系幹細胞が含まれています。
  4. 培養:清潔な環境を維持しながら幹細胞の培養を行います。
  5. 投与:培養された幹細胞を点滴で投与を行います。

再生医療×同時リハビリ™

ただ単に間葉系幹細胞の移植を行っても、損傷部への幹細胞の生着、神経細胞などへの分化、損傷部での有効成分(神経再生因子や神経保護因子など)の放出、が起こらなければ、損傷部の治る力(可塑性)を高めることは出来ません。
再生医療×同時リハビリ™️【ニューロテック®】では、損傷部への幹細胞の生着、神経細胞などへの分化、損傷部での有効成分(神経成長因子など)の放出が促進されることで脳や脊髄の治る力(可塑性)を高めることで、リハビリテーションの効果を上げることが期待できます。
当院では幹細胞点滴を行いながらリハビリテーションを実施する「再生医療×同時リハビリ™」を行っており、実際の生活レベルでの改善を目指して診療を行っています。

間葉系幹細胞治療が脊髄損傷に与える影響

脊髄損傷は重篤な後遺症を残す疾患の一つです。
事故や血管が詰まることで、障害部位より下の感覚や運動の機能に障害が出て、ときには全く動かせない、触っている感覚がないなどの症状が残ります。
排尿や排便がうまく行えなくなる膀胱直腸障害を起こすことも多いです。
脊髄損傷後遺症の治療に間葉系幹細胞が用いられた研究は多くあります。
脊髄損傷患者に投与された間葉系幹細胞は、内部環境と様々な神経成長因子(幹細胞を分化させるもの)の影響を受けて、神経細胞に分化します。
この新しくできた神経細胞が脊髄に移動すると、脊髄の神経細胞の構造の修復ができると考えられています。
また、神経そのものを修復するだけでなく、血管や細胞以外の組織(細胞外マトリックス)も再生し、神経の修復を促します。
人への臨床研究では、完全麻痺だったものが不全麻痺となり、膀胱直腸機能や下肢の麻痺が改善されたと報告されています。

間葉系幹細胞治療後の予後と生活の見通し

再生医療の中では比較的歴史のある間葉系幹細胞治療ですが、人体への長期的な予後についてはまだ研究段階です。
しかし、後遺症に悩むしかなかった方々にとっては希望の光となります。
例えば頸髄損傷で考えてみましょう。
頸髄損傷では傷害される部位によりできる動作に大きな差があります。
C4までしか機能が残っていない場合には下肢はおろか上肢もほとんど動かすことができません。
それがたった一つの改善でC5まで機能が残ると肩を上げる、肘を曲げるなどの動作ができるようになります。
少しでも動くことができれば、自助具や生活の中の工夫により自分でできる動作が増えます。
これが2つ以上のレベルでの改善ができれば、より大きな影響が期待されます。

まとめ

間葉系幹細胞は再生医療の中でも研究が盛んに行われているものの1つであり、当院では再生医療×同時リハビリ™️(ニューロテック®)として臨床導入を行っています。
脊髄損傷や脳卒中の後遺症にお困りの方はぜひお問い合わせください。

Q&A

幹細胞再生医療のデメリットは?
幹細胞再生医療のデメリットには、短期的には発熱や吐き気などの有害事象があること、長期的には未知の有害事象の可能性があることがあげられます。
現在の日本では保険診療での制度が十分でないこともデメリットとなります。

再生医療のリスクは?
再生医療のリスクとして、効果に個人差があると予測されること、未だ明らかになっていない有害事象があるかもしれないことがあげられます。
明確な施設基準などもないために、今ある施設の治療の質が不透明であることもリスクといえます。

<参照元>
Safety and neurological assessments after autologous transplantation of bone marrow mesenchymal stem cells in subjects with chronic spinal cord injury
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4445989/
Progress in Stem Cell Therapy for Spinal Cord Injury
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7661146/#B166

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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