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脊髄空洞症の治療と予後

           

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この記事を読んでわかること

脊髄空洞症の概要
脊髄空洞症の再生治療


脊髄空洞症は文字通り、脊髄の中に空洞ができてしまう病気です。
芸能人の発表により聞いたことがある方もいると思いますが、治療や予後まで知る人は多くないと思います。
この記事では脊髄空洞症の治療について、最新の論文や知見を参照しながら解説を行います。

脊髄空洞症とは

脊髄空洞症とは
脊髄は脊椎(背骨)の中にある、脊柱管を通る神経の束です。脳と合わせて中枢神経系と呼ばれ、運動・感覚・自律神経などについて重要な役割を果たします。
脊柱管は髄液という液体で満たされています。
脊髄空洞症とはその名の通り、脊髄の一部に空洞ができてしまう病気です。
ちくわをイメージするとわかりやすいでしょう。空洞の中は周囲と同じ髄液になります。
原因は先天性疾患であるキアリ1型奇形や二分脊椎、脊髄外傷後、脊髄腫瘍に伴うもの、脳底部および脊髄クモ膜炎に伴うもの、後天性キアリ1型奇形に伴うものなどがあります。
つまり、先天性以外にも成人で発症する可能性がある疾患です。
脊髄はその高さ(部位)によって支配している機能が変わってきます。
例えば頸髄は上肢、腰髄は下肢といったような感じです。
脊髄空洞症は空洞のある脊髄領域によって症状が異なります。
多いものは痙縮(筋肉の緊張が高まり、突っ張るなどの麻痺が出る)、ジャケット型の解離性感覚障害(温痛覚は低下するが触覚や深部感覚は維持される)、痛み、自律神経障害などです。

脊髄空洞症の治療法

対症療法

対症療法とは症状に合わせた投薬・治療を行うことです。
例えば痛みが強いのなら痛み止めを、痙縮が強いのなら筋緊張を落とす薬をというようなものです。
症状を和らげることは可能ですが、根本的な治療ではないことに注意が必要です。

手術療法

原疾患があれば、その疾患に準じた治療が行われます。
脊髄腫瘍であれば腫瘍摘出や脊椎手術、感染症があれば抗菌薬治療などです。
脊髄空洞症の手術は、空洞の中に貯留している髄液を他の部位に逃がすシャント術が行われます。
髄液を逃がす手術ですので、空洞が完全には消失せずに残存してしまう例もあります。
症状も改善することが多いですが、痙縮や異常感覚が残存してしまう症例も少なくないです。
その際はリハビリテーションや対症療法の継続が必要になります。

脊髄空洞症の新しい治療への期待

手術方法

シャント術の中でもsyringo-cisterna magnaという新しい術式について、2022年に韓国から発表されています。
従来法と異なり、脊髄液を小脳髄槽に逃がす術式であり、効果的な治療だと論じられています。
A new surgical method for treating syringomyelia secondary to arachnoiditis following cervical spine surgery: the syringo-cisterna magna shunt

再生医療

これまでも対症療法しかない疾患や、後遺症を残してしまう疾患は多くありました。
脊髄損傷や脳卒中が代表的です。
そのような疾患に対して最近注目されているのが再生医療です。再生医療は様々な細胞に変化できる細胞(幹細胞)を用いて、組織や機能の回復を目指す治療法です。
脊髄空洞症に特化した再生医療の研究はまだ十分ではありません。
しかし、同じ脊髄の障害である脊髄損傷については、間葉系幹細胞の効果が認められつつあります。
厚労省による骨髄由来間葉系幹細胞に関するガイドラインでは、脊髄空洞症は「推奨されない」とはしつつも「他の治療選択肢がない場合に限り、慎重に本品を使用することを考慮できる」ともしています。
まずは安全性、効果の研究を待ちたいですね。

リハビリや生活習慣での改善策

残念ながらリハビリや生活習慣の改善だけでは、脊髄空洞症そのものを治すことはできません。
しかし、どの治療においてもリハビリを並行して行わないことには活動の向上もありません。
直接的に脊髄空洞症を治すことはなくとも、生活習慣の是正は長い目で見るといい影響を与えるかもしれません。
例えば、危険因子を減らすことで再手術になった際の合併症を減らす、減量することで下肢への負担を減らすなどが考えられます。

「脊髄空洞症は完治しますか?」という疑問に答える

一般的には手術により症状が改善することが多いと言われています。
しかし、後遺症が残る例や再発してしまう例もゼロとは言えません。
後遺症をうまくコントロールしながら、定期的な医療機関の受診を継続することが重要と言えます。

まとめ

この記事では脊髄空洞症の治療について、最新の論文も上げながら記載しました。
手術無効であったり、後遺症に悩む方もきっと少なくはないでしょう。
当院では脊髄空洞症に対する再生医療は行っておりませんが、脊髄損傷に対する再生医療をニューロテック®として導入しています。
先進機器も用いた再生医療×同時リハビリ™も行っています。

よくあるご質問

脊髄空洞症は手術をしなくても治せますか?
脊髄空洞症の治療は内科的対症療法と手術療法がメインになります。対症療法は症状を取る、和らげるものであり、根治するものではありません。根治を目指すのであれば手術を行う必要があります。

脊髄空洞症の死亡率は?
キアリⅡ型奇形を合併した場合、3歳までに15%が死亡してしまうという報告がありますが、髄膜瘤や呼吸不全の影響が大きく脊髄空洞症が死因になるわけではありません。それ以外の脊髄空洞症の死亡率は十分な報告がありません。

<参照元>
最適使用推進ガイドライン(案) ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞:https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000481004.pdf
難病情報センター脊髄空洞症:https://www.nanbyou.or.jp/entry/283

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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