今日から使える高次脳機能障害に対するリハビリ教材 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経障害を再生医療×同時リハビリで改善

今日から使える高次脳機能障害に対するリハビリ教材

           

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高次脳機能障害とは、注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害といった認知・行動・精神の障害のことをいいます。
環境調整やリハビリテーションが有効で、すぐに使用できるリハビリ教材を紹介します。
再生医療が高次脳機能障害の治療を底上げする可能性についても触れていきます。

高次脳機能障害とは

高次脳機能障害
高次脳機能とは、脳が持つ機能の中でも高度なもので、いわば人間らしくあるための機能のことです。
具体的には、記憶や学習、思考、判断などの機能に加えて、感情や情動といった精神面での機能も含みます。
病気やけがによってそれらの機能が障害されるのが、高次脳機能障害です。

高次脳機能障害には次のようなものがあります

  • 注意障害:ぼんやりしていて周囲に関心を示さない、気が散りやすい、簡単なミスが多い、二つ以上のことを同時にできない
  • 記憶障害:日時や場所、人の名前を覚えることができない
  • 遂行機能障害:計画的に物事を進めることができない、ゴールや締め切りを決めることができない、急な予定変更に対応できない
  • 社会的行動障害:意欲の低下、性格の変化、感情コントロールが効かないなどが原因で社会行動の障害が生じる

高次脳機能障害の発症頻度は高く、脳卒中の発症後に意識障害が数日間持続する場合には、高次脳機能障害が必ず起こると言われています。
また脳の障害が確定した場合には後遺症として残存することとなり、脳卒中の後に日常生活を送ることができるようになった方の40%程度で高次脳機能障害が残っていたという報告があります。

高次脳機能障害に対する治療・環境調整・リハビリ

高次脳機能障害に対する医学的治療としては患者さんに合併しやすい高血圧や糖尿病、てんかん発作の管理を行うこととなります。
高次脳機能障害を直接的に治療する方法や薬剤はなく、環境調整やリハビリテーションを行い、社会復帰を促していくことが主な治療です。

環境調整とは

  • 人間関係の調整:本人には共感と支持的対応をとり、負担をかけない人間関係を整える
  • 物理的環境の調整:物品を整理しラベルを貼る、チェックリストを作成する、安全に移動できる環境を整える
  • 社会資源の利用:身体障害者手帳や精神障害者保険福祉手帳を取得し、各種サービスを利用する

といった内容です。
リハビリテーションでは、注意障害や遂行機能障害、記憶障害に対して訓練を行うことで機能回復を図るとともに、補助手段を取得できるようサポートしていきます。

高次脳機能障害向けのリハビリ教材

注意障害に対するリハビリ教材

注意力が低下している方に対して、ドリル学習や課題を通して注意力を向上させようとするものです。
例えば、パズル誌や間違い探し、かるたやトランプなどのゲームをして注意力が持続するように反復練習を行います。
似たような文字が並んでいるものの中から指定されたものを選択する教材などが、インターネット上で無料配布されています。
https://rehabilidata.com/post-1065/
初めから難しすぎる課題を与えると意欲をなくしてしまうため、時間を十分に確保する配慮をし、支持的に対応する必要があります。

遂行機能障害に対するリハビリ教材

遂行機能障害に対するリハビリでは、①心の中で目標を決め、②手順を考え、③そのための複数の方法から取捨選択をし、④実施し、⑤その結果を確認する、という過程を繰り返し練習します。
急にすべてをこなしていくのは困難であるため、過程が進むそれぞれの段階にあった対応が必要となります。
次のようなプリントが無料配布されています。
https://ptotstnews-blog.com/rehaprint/executivefunctiontask/

記憶障害に対するリハビリ教材

記憶障害については、物忘れという言葉がある通り、私達にはなじみの深い症状といえます。
そのため、対応するリハビリ教材は書籍やインターネット上のプリントなど、豊富に見つけることができます。
脳トレや知育用の教材なども、記憶障害に対する効果的なリハビリ教材であると考えられます。

高次脳機能障害に対する再生医療

高次脳機能障害は、脳卒中などが原因で脳の神経ネットワークが障害されることで発症する症状です。
神経は障害されて早期であれば、一定程度の自然回復を見込むことができますが、障害が確定してしまうと後遺症として残存することになります。
現状ではリハビリで機能を補助する手段を獲得する、というのが治療の目的となっており、機能を回復する、再生するための治療はありませんでした。

しかし、傷ついた神経を再生することができるかもしれない治療が、再生医療です。
神経の元になる細胞や、神経を保護する作用のある成分を使用することで、神経の機能を再生します。
再生医療の中でも、間葉系幹細胞を使用した治療は、私たちの手が届くところまで来ています。

高次脳機能障害は、手足の麻痺のように目立つ症状ではありませんが、社会復帰の高い壁となり、本人・家族ともつらい症状です。
再生医療が患者さんやそのご家族の助けとなることを願っています。

まとめ

高次脳機能障害とリハビリテーション、特にリハビリ教材に注目して解説しました。
再生医療は神経の回復を促すものであり、リハビリテーションと組み合わせることで、より高い効果を期待することができます。
患者さんそれぞれの状況に合わせたオーダーメイドの治療を行い、後遺症を克服するお手伝いをしていきたいと思っています。

<参考>
「脳卒中患者の高次脳機能障害への対応」MB Med Reha 236, 2019
「高次脳機能障害に対するリハビリテーション治療」Jpn J Rehabil Med 58, 2021
「高次脳機能障害はなぜ起こるの?」BRAIN NURSING36(6), 2020

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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コメント

  1. 本記事中に記載の下記のURLは間違いではないでしょうか?
    https://charles.camera/select-delete
    リンク先が消えているか、間違えているかだと思います。
    .comや.jpならともかく .camera というドメインは初めて見ました。
    リハビリ教材の情報が欲しいので正しい情報に更新をお願いします。

    • リンク切れのご指摘誠にありがとうございます。
      リンクの更新を行いましたのでご確認よろしくお願いいたします。
      この度は当サイトへアクセス下さり心より感謝申し上げます。
      ありがとうございました。

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