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脳梗塞後の予後と生活の質(QOL)向上のためのポイント

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞に対する早期リハビリテーションの重要性がわかる
脳梗塞再発予防のための生活習慣や治療がわかる
脳梗塞患者の家族や介護者の心構えがわかる


脳梗塞は麻痺やしびれなどの後遺症を残す可能性があり、その後の生活の質に大きな支障をきたすため、注意が必要です。
予後や生活の質の向上のためには、早期リハビリ、生活習慣の見直しや内服治療での再発予防・家族等のサポートが必要不可欠です。
この記事では脳梗塞後の予後と生活の質(QOL)向上のためのポイントについて解説します。

早期リハビリテーションの重要性とその効果

以前までは脳梗塞発症患者における急性期は安静が優先されていましたが、近年では早期からのリハビリテーション実施による早期離床がスタンダードです。
その背景には、発症後の安静によって筋萎縮や筋肉量の低下などの廃用が進行してしまうことが挙げられます。
廃用は発症から48時間以内に始まり、発症から2〜3週間のうちに最大となるため、廃用の予防のためにも発症48時間以内からのリハビリテーションが重要です。
Schweickertらによれば、標準的なケアのみのコントロール群と、早期からの積極的な運動介入を行なった群では、積極的な運動介入の群で退院時の機能的自立度が有意に改善する事を報告しています。
また、他にも下記のような効果が期待されます。

  • ICU滞在期間や在院日数の短縮効果
  • 退院後のQOL改善
  • 無気肺や肺炎などの呼吸器合併症の発症予防

また一方で、急性期からのリハビリテーションにおいてはその安全性に懸念があり、有害事象の発生を予防するためにも各患者の問題点を抽出し、それぞれの状態に合わせた安全の確保と治療効果の判定が必要不可欠です。

再発予防のための生活習慣の見直しと管理方法

再発予防のための生活習慣の見直しと管理方法
脳梗塞は一度発症すると基本的に上記で示したような早期リハビリテーションによって後遺症の改善を目指しますが、残念ながら現状の治療では後遺症を完全に治すことは不可能です。
そのため、症状悪化を防ぐためにはいかに再発予防するかが重要であり、そのためには生活習慣の見直しと内服療法が必要となります。
日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2023年)によれば、下記のような生活習慣が予防の上で肝要です。

  • 1日6g未満の塩分摂取
  • 過剰な糖質や脂質の摂取を控える
  • 緑黄色野菜や果実を積極的に摂取
  • 豆類などのタンパク質の豊富な食材の摂取
  • 肉類は控え、魚類の積極的な摂取
  • 肥満予防のためのカロリー制限や定期的な運動
  • 過剰な飲酒や喫煙は動脈硬化の進展や心房細動の原因となるため控える

上記のような生活習慣を送っている方は、是正が必要です。
また、薬物療法で再発を予防するためには、下記のような薬剤が必要となります。

  • 降圧剤
  • 血糖降下薬
  • 抗血小板薬・抗凝固薬

高血圧や糖尿病は動脈硬化の進展を招き、その結果血管内腔が狭窄しやすくなるため、降圧剤や血糖降下薬による血圧・血糖値の適正な管理が必要となります。
また、再発予防においては抗血小板薬・抗凝固薬の内服が非常に重要です。
どちらも血液中における血栓形成予防が主な効果ですが、抗血小板薬は血小板の凝集を予防する薬で、主に動脈形に作用するため、ラクナ梗塞やアテローム性血栓性脳梗塞など、動脈硬化が原因で生じる脳梗塞の発症予防に有用です。
一方で、抗凝固薬は血液を固める凝固因子の働きを抑える薬剤であり、主に静脈系や左房内の血栓形成を予防します。
心房細動などの不整脈疾患では、左房内の血流が淀み、流れの遅い部位では血液が固まりやすくなるため、血栓が形成されます。
心房細動によって左房内に形成された血栓は、心臓の拍動とともにいずれ大動脈に駆出され、脳梗塞の原因となるため注意が必要です。(これを心原性脳梗塞という)
そのため、心原性脳梗塞の予防のためには抗血小板薬ではなく、左房内の血栓形成を予防できる抗凝固薬が選択されます。

家族や介護者が知っておくべきサポート方法と心構え

脳梗塞患者は麻痺やしびれ、構音障害・嚥下障害など、さまざまな後遺症によって、食事や排泄、着衣などに支障を来たし、さらには歩行や体位変換などの基本動作も困難になる可能性があります。
そのため、家族や介護者のサポートが必要不可欠です。
さらに、介護保険申請や自宅の改修など、患者本人へのサポート以外にも環境面におけるサポートも行う必要があります。
これらのサポートを献身的に行う場合、介護する側の心身にも大きな負担がかかるため、あまり一人で抱え込まず、外部サービスの積極的な利用や家族間での役割分担などを強く意識することが大切です。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞後の予後と生活の質(QOL)向上のためのポイントについて詳しく解説しました。
脳梗塞後の予後や生活の質(QOL)向上のためには、本記事で紹介したように発症早期からのリハビリテーション・再発予防のための適切な管理・その後の家族や介護者のサポートが必要不可欠です。
脳梗塞に伴う重篤な神経学的後遺症が残った場合、現在の医療では根治することは困難であるため、いかに後遺症を軽減するか、もしくはうまく付き合っていくかが重要です。
一方で、近年では脳梗塞の後遺症に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脳梗塞の後遺症改善が期待できます。

よくあるご質問

リハビリテーションにおける予後予測とは?
リハビリテーションにおける予後予測とは、リハビリを行った結果患者の身体機能がどの程度回復するのか、患者の全身状態や検査結果などから予測することです。
予測することでリハビリの目標設定を立てたり、リハビリの効果を客観的に評価できるようになります。

リハビリの最終目的は何ですか?
リハビリの最終目的は患者の状態や本人の考え方によっても異なりますが、共通して「本人が本人らしく入れる生活を取り戻すこと」です。
そのため、どのような自分になりたいのか、具体的に目標を設定してリハビリに取り組むことが重要です。

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    <参照元>
    1:知っておきたい動脈硬化|動脈硬化予防啓発分科会:https://doumyaku-c.jp/knowledge/
    2:喫煙と循環器疾患|厚生労働省:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-03-002
    3:就労男性における飲酒と喫煙習慣がおよぼす脳血管疾患の発症リスクへの影響|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/sangyoeisei/58/5/58_B15024/_pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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