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脳梗塞で40代からの再発率と再発予防策

           

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脳梗塞は、3種類の脳卒中のうちのひとつで、虚血性脳卒中とも呼ばれます。
脳に血液を供給する動脈が閉塞することで起こり、この閉塞により、脳への血流と酸素が減少し、脳細胞の損傷や死につながります。
血行が速やかに回復しなければ、脳の損傷は永久に続く可能性があります。
このように深刻なダメージを与える可能性のある脳梗塞ですが、初発の脳梗塞を適切な対処で乗り越えることができたとしても、再発することがあります。
そして再発は、さらに体の機能を奪うばかりか、命を落とす可能性も高くなります。
そこで今回の記事では、脳梗塞の再発に焦点を当て、再発率や再発の危険因子、また予防策などについてご紹介します。

脳梗塞の再発率

脳梗塞の再発率については、福岡県の糟屋郡久山町で1961年から行われている、貴重な研究データがあります。
久山町研究とも呼ばれるこの研究では、脳卒中の実態を明らかにするために住民の健康状態を長期間にわたって観察しています。
脳梗塞の再発率を調べた研究では、40歳以上の1,621人を32年間追跡したところ、410人が初めて脳卒中を発症しました。
この1,621人を脳卒中発症後10年間追跡したところ、108名(26%)が脳卒中を再発していました。
脳卒中のうち、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞の10年後の再発率は、それぞれ70.0%、55.6%、49.7%となっていました。
また、くも膜下出血や脳出血の再発は、ほとんどが発症後1年以内に起こっていましたが、脳梗塞の再発は観察期間が長くなるほど増加する傾向にありました。
脳梗塞の再発率は、ラクナ梗塞(46.8%)よりも心臓から血液の塊である血栓が脳へ飛ぶ、脳塞栓症(75.2%)の方が高くなっていました。
(出典: Hata J, et al. Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2005; 76: 368-72)

年代別脳梗塞再発率

高齢者の発症率
久山町研究によると、脳梗塞のサブタイプのうち、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞の10年後の再発リスクは、最年少の年齢層で最も低く、加齢とともに増加していました。
具体的には、ラクナ梗塞では40〜59歳のグループの再発率を1とすると、60〜69歳の再発リスクは2.2倍、70〜79歳で2.6倍、80歳以上では4.8倍になっていました。
また同様にアテローム血栓性脳梗塞でも、40〜59歳のグループの再発率を1とすると、70〜79歳で1.8倍、80歳以上では4.7倍になっていました。
しかし塞栓性脳梗塞では、年齢と再発率の間に有意な関係は認められませんでした。

再発の危険因子

脳梗塞の再発因子として知られているものをご紹介します。

高血圧

高血圧は脳梗塞の主要な危険因子です。
また血圧の低下が脳梗塞の再発リスクの顕著な減少と関連していることが、過去の研究からも実証されています。

糖尿病

生活習慣病のひとつである糖尿病も脳梗塞の再発因子として知られています。

高脂血症

動脈硬化が原因となる脳梗塞の再発は、高脂血症がリスクになります。

喫煙

高齢の喫煙者では、脳梗塞の再発リスクが高まることが示されています。
したがって脳梗塞を発症した人は、禁煙と受動喫煙の回避を強く意識する必要があるでしょう。

脳梗塞の再発予防策

適度な運動が必要
脳梗塞の再発を予防するために、いくつかできることをご紹介します。

血圧を下げる

脳梗塞の発症後数日後に収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の場合は、血圧を下げる治療を開始する必要があります。
血圧を下げるためには、減量する、食塩摂取量を減らす、定期的な有酸素運動を行うなど、生活習慣への介入が推奨されます。

抗血小板療法を行う

脳梗塞の既往がある場合、再発のリスクを軽減するために、血液が固まりにくくなる抗血小板療法を行う必要があります。

コレステロールを下げる治療を行う

脳梗塞が動脈硬化に起因すると推定される場合、脳梗塞再発のリスクを低減するために、コレステロールを下げる治療を開始すべきです。

禁煙する

脳梗塞を発症した場合は、禁煙し、かつ副流煙を避けるように強く勧めます。

運動する

定期的な運動は、脳梗塞の危険因子を改善し、脳梗塞再発のリスク自体を減少させる可能性があります。
脳梗塞の既往歴のある場合、体の動きに問題のない範囲になりますが、例えば早歩きなどの中強度の運動を、週に少なくとも合計で120~150分間取り組むとよいでしょう。

まとめ

脳梗塞の再発率や再発の危険因子、また予防策についてご説明しました。
年齢を重ねるごとに再発率は上がっていましたが、歳を取ることは避けられないことです。
少しでも再発率を下げるためには、やはり効果的な予防策に取り組むのが最善です。
ぜひ主治医ともご相談の上、適切な方法で予防に取り組むことをお勧めいたします。



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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