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腰椎損傷とその後遺症

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私たちの背骨である脊椎には、神経の束である脊髄が通る空間があります。
脊髄からは、体の各部位につながる神経が枝分かれし、脊椎の隙間から体の隅々へ神経信号を送って手足を動かし、また感覚に関する信号を受け取っています。
脊椎が損傷すると、損傷した場所で脊髄が傷ついてしまう場合があります。
傷ついた脊髄によって起こる症状は、損傷した部位によって異なります。
今回の記事では、特に腰椎に焦点をあて、主に腰椎損傷による後遺症についてご説明します。

腰椎損傷の原因

腰椎損傷は、交通事故や転落などによる外傷によって起こることが一般的です。
骨粗しょう症を起こしている人は、簡単に背骨が折れてしまうことがあり、尻もちをつく程度の軽い外傷でも腰椎を損傷することがあります。
またもともと腰椎の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの持病がある人でも、軽微な外傷で神経が損傷されることがあります。

腰椎損傷の症状と後遺症

腰椎損傷の症状は、基本的には損傷した部位の痛みが中心です。
これに加え、神経を損傷するとその神経の分布に合わせた症状が出ます。
腰椎は胸椎と仙椎と呼ばれる脊椎の間に挟まれており、5つの椎骨から成っています。
また神経の束である脊髄は、腰椎の上部あたりで終わっており、その先は神経の束が馬の尻尾のように細かく分岐していきます。
この領域は、医学用語で馬尾(ばび)と呼ばれています。

腰椎損傷に伴う神経症状として、運動や感覚が障害されます。
続けて腰椎が損傷された結果生じる、障害(後遺症)を説明します。

運動障害

腰椎の隙間から出てくる神経は、例えば股関節を曲げる、膝を伸ばす、爪先をあげる、足の親指を動かすなどの運動を司っています。
したがって、腰椎を損傷した結果これらの神経が損傷されると、主に下肢を中心とした運動障害が出ます。
ただ腰椎による神経の圧迫が軽度であれば、運動障害の程度も軽いもので収まります。
なお頸椎を損傷したときに認められる上肢の麻痺は、腰椎の損傷では全く認められません。

感覚障害

また腰椎が損傷されると、主に下肢の感覚が障害されます。これは感覚が麻痺することもあれば、逆に神経が圧迫されることで刺激を受け、痛みを感じ続けることもあります。
神経性の痛みは、重度の場合は鎮痛薬が必要となり、その結果さらなる問題を引き起こす可能性もあります。
痛みが慢性化すると、痛みは一箇所だけに止まらず、体の他の部位にも放散することがあります。
なお神経性の痛みは夜間に悪化する傾向があり、睡眠に支障をきたすことがあります。
このタイプの痛みは、絶え間なく続く耐え難い灼熱感をもたらす傾向があります。

膀胱直腸障害

膀胱や直腸の感覚や機能も障害を受けます。
例えば、膀胱が尿で満たされたとしても、尿意を感じなくなることがあります。
膀胱がいっぱいになっても排尿をしたいと思わないことから、意識していないのに尿が漏れる、尿失禁が起こります。
また便意も感じず、排便をコントロールする肛門括約筋の機能が障害されるため、勝手に便が出てしまっている便失禁が起こります。

なお、膀胱や直腸のコントロールを失うことは非常に苦痛であり、社会生活、仕事、人間関係に非常に悪い影響を与えます。
排尿がうまくできないと、頻繁に尿路感染症を発症する可能性があります。

勃起不全

陰茎に信号を送る神経が損傷されてしまうと、勃起できなくなり、性的機能が失われることがあります。
性的機能障害は、本人とそのパートナーに多大な影響を与え、人間関係の悪化やうつ病の原因となることがあります。

間欠的な跛行

完全に下肢の運動が障害されていないレベルの損傷の場合、歩行することは可能です。
ただ、しばらく歩くと下肢に痛みが出てきてしまい、足をひきずって歩くようになります。
ところがしばらく休憩するとまた歩けるようになるので、間欠的跛行と言われます。

馬尾症候群について

脊髄は上部腰椎のあたりで馬のような尻尾のように、細かく分かれた状態になりますが、この部位が損傷されると、馬尾症候群と呼ばれる特徴的な症状を認めるようになります。
その症状の重さは、腰椎損傷の結果影響を与える神経への圧迫の程度によって異なります。

最も一般的な症状は、排尿ができなくなる尿閉です。
また肛門、生殖器、殿部を含む感覚障害も認めます。
この領域は、自転車のサドルに触れるところでもあるので、「サドル型感覚障害」とも言われます。
また下肢の筋力低下や麻痺、背中や脚の痛みを伴います。性的機能障害を認めることもあります。

馬尾症候群と診断され、病因が明らかになれば、通常緊急手術が選択されます。
その目的は、圧迫されている神経を解放し、回復の可能性を最大限に高めることです。
発症後48時間以内に治療を行うことで、感覚障害や運動障害、排尿機能や直腸機能の改善に大きな効果があります。
48時間を過ぎてから手術を受けた場合でも、症状が改善する可能性があります。
特に膀胱や直腸の機能の回復は、下肢の運動障害の回復に比べて遅れることがあり、術後数年経っても改善し続けることがあります。
しかしもし馬尾症候群を治療せずに放置すると、永久的に麻痺や失禁が残る可能性があります。

まとめ

腰椎損傷について、また馬尾症候群を含め、その症状(後遺症)についてご説明しました。
頸椎や胸椎の損傷に比べ、腰椎損傷による神経障害は範囲も下肢に限定され、程度も軽いことが多くなります。
しかし、生活に支障をきたし、精神的に負担となることもあります。
できる限り後遺症を残さないように、早期の治療、またリハビリに取り組みましょう。



貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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