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幹細胞治療について知っておきたいこと

           

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この記事を読んでわかること

幹細胞治療がどのような治療なのかわかる
幹細胞治療の副作用がわかる
幹細胞治療が有効な疾患がわかる


幹細胞治療とは、幹細胞を用いて損傷した臓器や組織の機能再生を目指す新しい治療法です。
用いられる幹細胞の開発は年々進み、現在は自身の脂肪などからも比較的容易に採取可能であることから、徐々に適応疾患も広がりつつあります。
この記事では、幹細胞治療のメカニズムや効果の得られる病気、治療上の副作用などについても解説します。

再生医療とは?幹細胞治療との関係

幹細胞
再生医療とは、これまでの医療では修復不可能であるような機能障害に陥った組織や臓器に対して、幹細胞と呼ばれる細胞を用いて機能再生を試みる新たな治療法です。
幹細胞にはさまざまな細胞や組織に分化し、さらには多量に自己複製する能力があるため、損傷した組織の再生を目指せます。
始まりは1984年、大火傷を負った患者に対して再生医療を行い、救命を果たしたところから脚光を浴び、現在に至るまでその技術は追求され続けています。
しかし、そう簡単でもありません。
例えば、切断された手足がイモリのように生え変わる訳ではなく、再生できる機能や形態には限界があります。
手足と同じ種類の細胞に分化し、そこから爆発的に自己複製して増殖できる能力をもつ幹細胞が無ければ、そのような再生は不可能でしょう。
これまで、再生医療を進化させるために、多くの研究によって理想的な幹細胞の開発がなされてきました。
まず、幹細胞にとって必要不可欠な能力は下記の2つです。

  • 多分化能
  • 自己複製能

基本的に細胞の分化は一方通行であり、一度分化すると未分化の状態に戻ることはできず、そこから別系統の細胞に姿形を変えることはできなくなります。
ヒトの細胞の分化の過程は受精卵から始まり、受精卵は外胚葉・中胚葉・内胚葉の3系統に分化し、そこからさらにそれぞれ下記のような細胞に分化します。

外胚葉
皮膚や脳・脊髄などの中枢神経系ニューロン、末梢神経系ニューロン
中胚葉
消化管や肺、甲状腺、膵臓、肝臓、尿路などの内臓
内胚葉
外胚葉と内胚葉以外の筋肉や骨、真皮、結合組織、心臓、血管、血液

これを見ればわかるように、受精卵は人体のありとあらゆる系統の細胞に分化可能な最強の幹細胞です。
再生医療に用いる幹細胞は、損傷した臓器の細胞に分化しなければ意味がないため、より多分化である能力が求められます。
次に、仮にうまく分化できたとしても、増殖する能力に乏しければ損傷した臓器や形態を補うことはできません。
そこで、自分を複製(コピー)する能力、つまり自己複製能も必須です。
例えば、爪や髪の毛がすぐに生え変わるのは、細胞が細胞分裂を繰り返して自分と同じ形態や機能を有した細胞を複製し、増殖しているからです。
一方で、神経細胞や心筋細胞は自己複製能に乏しい為、一度損傷すると自前で組織の機能や形態を再生することができません
これまでの再生医療の歴史では、再生医療に有用な幹細胞としてES細胞・iPS細胞・体性幹細胞(間葉系幹細胞含む)などが開発されてきました。
しかし、受精卵から抽出するES細胞には倫理的問題が、人工的に作られた幹細胞であるiPS細胞にはコストの問題があります。
一方で、体性幹細胞の中でも間葉系細胞は様々な臓器や組織に分化できる細胞であり、自身の皮膚や脂肪、骨髄などから簡単に採取可能です。
では、現状どのような病気に用いられているのでしょうか?

幹細胞治療の各種疾患や美容への効果

幹細胞治療のうち、国に認められて保険適応となっているものは主に下記の通りです。

  • 多発性骨髄腫や大細胞型B細胞リンパ腫などの血液疾患
  • 脊髄性筋萎縮症や脊髄損傷
  • 水疱性角膜症
  • 重症心不全

これらの疾患には一定の効果が認められており、保険適応で治療を受けることができます。
また、自由診療にはなりますが、お肌の老化防止・若返りなどを目的に美容医療として再生医療を提供している医療機関も増えています。
自身の脂肪組織から間葉系幹細胞を抽出し、体外で増殖させた後に自身の体に注入して戻すという治療法です。
注入された幹細胞や成長因子によって局部の血流促進・抗炎症作用・線維芽細胞増殖によるコラーゲン増生などが促され、肌の若返りや美肌効果が期待できます。

幹細胞治療の副作用について

幹細胞治療において、気になるのは副作用でしょう。
多くの場合は針を刺して注入するため、穿刺時の痛みや血管損傷に伴う内出血、神経損傷に伴うしびれ、局所感染などの副作用が考えられます。
基本的に自分自身から採取した幹細胞を用いているため、アレルギー反応や免疫拒絶反応は生じにくい治療法です。
現在まで大きな副作用は報告されていませんが、長期的データはまだ揃っていないため、長期的予後については今後の知見が待たれるところです。

まとめ

今回の記事では、幹細胞治療について詳しく解説しました。
幹細胞治療では多分化能・自己複製能を持つ幹細胞によって、損傷した臓器や組織の修復が期待できます。
これまで、一度損傷したら再生することはないと考えられていた脳細胞や心筋細胞の機能再生も促せる可能性があり、新たな治療法として近年大変注目度が上がっています。
能や脊髄の損傷に対しては、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脳脊髄損傷部の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しており、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」によって、神経障害の改善が目指せます。

Q&A

幹細胞治療で治る病気は?
幹細胞治療で治る病気としては、変形性関節症や脳梗塞、糖尿病、肝硬変、神経変性疾患などが挙げられます。
高額である点からも保険適応は未だ限定的ですが、年々拡大傾向にあります。

幹細胞治療には年齢制限はありますか?
医学的には年齢制限はありませんが、各医療機関が厚生労働省に申請している再生医療等計画に記載された年齢の下限と上限次第で制限されることもあります。
治療を受ける予定の医療機関に事前に確認することを勧めます。

あわせて読みたい記事:再生医療で脳出血は完治するのか
<参照元>
・再生医療ポータル:https://saiseiiryo.jp/about/


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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