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脳幹出血の基本知識と3つの予防の注意点

           

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この記事を読んでわかること

脳幹出血の症状がわかる
脳幹出血の原因がわかる
脳幹出血の治療法がわかる


脳幹は脳の深部に位置しており、嚥下や構音、眼球運動を司るだけでなく、呼吸機能や循環動態にも寄与している非常に重要な部位です。
そのため、脳幹における出血は深刻な神経症状やその後の後遺症の原因となり、発症を予防することが何よりも大切です。
そこで、この記事では脳幹出血の原因や治療・予防について解説します。

脳幹出血の原因と予防のための3つの生活習慣

予防のための生活習慣
脳幹出血とは、その名の通り脳幹と呼ばれる部位を栄養する血管が破綻し、出血を引き起こす病気です。
中脳・橋・延髄・間脳によって構成され、四肢の運動や感覚、眼球の運動、顔面の運動、嚥下、構音などさまざまな機能を調整している、脳においても非常に重要度の高い部位です。
そのため、脳幹出血を引き起こすと重篤な後遺症や、最悪の場合命の危険性もあるため、十分すべきでしょう。
主な原因は下記の通りです。

  • 高血圧などの生活習慣病
  • 喫煙 
  • 肥満

ここでは、上記3つの原因と脳幹出血の関係を解説し、それぞれの是正すべき生活習慣についても解説します。

高血圧などの生活習慣

生活習慣病の中でも、高血圧は脳幹出血の最大の原因です。
持続的な高血圧によって血管内皮細胞が損傷すると、血管は硬く脆くなり(これを動脈硬化と呼ぶ)、血圧の変動などに耐えることができなくなって脳幹出血を引き起こします。
高血圧以外では、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病も脳幹出血の原因となるため、注意が必要です。
糖尿病によっても血管内皮細胞は損傷を受け、高脂血症によって血液中にLDLコレステロールが多いと、損傷した血管内皮からLDLコレステロールが血管壁内に侵入し、動脈硬化を引き起こします。
そのため、これらの生活習慣病を予防することが脳幹出血の予防にとっても肝要です。
健常者の場合、血圧が130/80mmHg以上の方は出血リスクが高いため、積極的な減塩をすべきです。
具体的には、6g/日未満の減塩が推奨されていますが、カップラーメン1杯で大体塩分は5〜7gなので、1日6gに抑えるのはそこまで簡単ではないでしょう。
また、カリウムの豊富な野菜や果実の摂取も高血圧予防には重要です。
血圧の増加に関わるナトリウムを尿に排泄するためにはカリウムが必要であり、カリウムの摂取によって血圧上昇を防げます。
特に、ひじきやほうれん草には豊富にカリウムが含まれているため、積極的に摂取すべきでしょう。
その他、過剰な糖質・脂質を含むハイカロリーな食事は糖尿病や高脂血症の原因となるため、控える必要があります。

喫煙

喫煙も脳出血のリスクを増加させるため控えるべきです。
タバコに含まれるニコチンは交感神経の持続的な活性化を招き、心拍数増加や血管収縮を引き起こすことで、高血圧の原因となるためです。
また、タバコによって生じる一酸化炭素や活性酸素は血管内皮細胞を損傷するため、動脈硬化の原因となり脳卒中の発症リスクを増加させます。
厄介なことに、喫煙者の呼気に含まれる副流煙にも同様の成分が含まれるため、自分や自分の周囲の人を守るためにも喫煙は控えましょう。

肥満

肥満も脳幹出血のリスクのため、ダイエットすべきです。
内臓脂肪に含まれる肥満細胞にはインスリン抵抗性を高める作用があり、糖尿病や高脂血症、高血圧の発症リスクを増加させるためです。
また、肥満の方は首回りの脂肪によって気道が圧迫されやすく、睡眠中に取り込める酸素量が低下する睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなります。
持続的な酸素不足は体にストレスを与え、交感神経が活性化するため高血圧や糖尿病、心房細動などの不整脈、もしくは脳卒中の発症リスクが増加します。
以上の理由から、肥満は避けるべき病態であり、積極的な運動やバランスの良い食事を心掛けましょう。

脳幹出血の前兆と初期症状

脳幹出血には前兆となる症状はほとんどありません
初期症状としては、突然の激しい頭痛やめまい、嘔気などが挙げられます。
また脳幹には眼球の運動を調整する機能もあるため、脳幹出血によって眼球運動に異常をきたし、物が二重に見えたり、視野が狭くなるなどの症状もきたします。
その他、上手く呂律が回らなくなる構音障害、上手く飲み込みができなくなる嚥下障害、四肢の麻痺やしびれなどの症状が代表的な初期症状です。

脳幹出血の診断と治療法

脳幹出血の診断として最も有用な検査は頭部CT検査であり、出血を鋭敏に検出できるため、発症直後から診断が可能な点でも有用です。
また脳幹出血は脳の深部に位置しているため、外科的手術ではアプローチしづらく、保存療法しか手立てがありません。
保存療法で最も重要なのは血圧の管理と脳の浮腫の予防です。
血圧が過度に上昇すると出血を助長するため、血圧を適切に管理し、炎症に伴う脳の浮腫も脳の血流を悪化させるため、浮腫予防に薬剤投与を行います。

まとめ

今回の記事では、 脳幹出血の基本知識について詳しく解説しました。
脳幹は脳の中でも重要な役割を担う部位であり、出血を引き起こすと呼吸能力や循環動態が破綻する可能性もあるため、注意が必要です。
また、一度神経細胞が障害されると基本的に再生することは困難であるため、特に最大のリスクである高血圧などをしっかり予防することが肝要です。
一方で、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脊髄や神経の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで改善の難しかった脳出血に伴う後遺症や神経症状の改善が期待されます。

あわせて読みたい記事:脳幹出血後遺症の5つの症状を解説

Q&A

脳幹出血の対策は?
脳幹出血の対策として最も重要なのは生活習慣の見直しです。
バランスの良い食事を心がけ、有酸素運動を定期的に実施することが非常に重要です。
また、喫煙や肥満もリスクであるため、是正すべきです。

脳幹出血になるとどうなるのか?
脳幹出血になると、眼球運動異常、嚥下障害、構音障害などさまざまな神経症状が生じます。
中でも、脳幹に含まれる延髄には呼吸中枢が含まれており、呼吸能力が著しく障害されれば人工呼吸器での生命維持が必要となることもあるため、危険な病気です。

<参照元>
・日本神経治療学会:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_03.pdf
・日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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