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てんかんと脳出血の関係とは?

           

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この記事を読んでわかること

癲癇(てんかん)とは
脳出血後の痙攣と癲癇の違い
高齢者のてんかんが脳卒中後に増加中


てんかんは、脳の全体、または一部が過剰に興奮する発作を繰り返す病気です。
生まれつきの病気であることもありますが、脳出血や脳梗塞などの脳卒中や、加齢の影響で発症することがあり注意が必要です。
脳出血後早期におこるけいれん発作は、てんかん発作とは区別され異なるものと考えられています。

癲癇(てんかん)とは

てんかん
皆さんは「癲癇」という言葉を聞いたことはあると思いますが、実際にどのような病気かご存知でしょうか?
もしかしたら、子どもが急に全身を震わせて気を失ってしまう「特殊な生まれつきの病気」というようなイメージがあるかもしれません。
確かに、先天的な要因や妊娠出産の経過中の何らかの要因で、生まれつきてんかんになりやすい要素をもっていることがあります。
しかし、実際には乳幼児から高齢者まであらゆる年齢で発症する可能性がある病気で、有病率は約1%と、実はありふれた疾患なのです。

そして、てんかんの発作は全てが全身に出たり、気を失ったりするわけではありません。
全身に症状が出るのを「全般発作」、体の一部に症状が出るのを「焦点発作」と呼びます。
全般発作のほとんどは気を失うなどの意識障害を伴う一方で、焦点発作では意識障害がある場合とない場合があります。
症状の出方もさまざまで、強く手足を動かすようなてんかん発作もあれば、逆に脱力してしまうようなタイプもあります。
意識障害がない焦点発作で症状が軽い場合には、本人が発作であると自覚していないことすらあります。

てんかんとは脳の病気です。
脳が過剰に興奮する発作を繰り返すのが、てんかんです。
脳全体が興奮してしまうのが全般発作、脳の一部が興奮するのが焦点発作です。
脳が過剰に興奮する原因には、先天異常・周産期異常・脳腫瘍・頭部外傷・中枢神経感染症などさまざまなものがありますが、原因がはっきりとわからない場合も少なくありません。

脳出血後の痙攣と癲癇の違い

てんかんは脳の病気ですから、脳出血と密接な関係があります。
脳出血を起こすと、発症7日以内の早期にけいれん発作を起こすことがあります。
出血による脳神経の圧迫や、血流の急激な変化により脳神経が過剰な興奮を起こすためです。
しかし、脳出血後早い時期におきるけいれん発作は、その後脳出血の病状が落ち着くとともに発生することは少なくなります。
一時的な症状なので、慢性的に経過するてんかんとは異なるものといえます。
一方、脳出血や脳梗塞の病状が落ち着いてきたにも関わらずけいれんなどの発作を起こすことがあります。
脳の神経が自然に修復される過程や、脳の血流が再開する時に起きる発作であり、その後も繰り返す可能性が高くなります。
脳出血をきっかけに、てんかんが発症したと判断されるケースとなります。

脳出血などの脳卒中とてんかんの違い

てんかんは急に意識を失うことがあるため、他人からすると脳卒中のように見えることがあります。
しかしてんかんは、一時的な脳の過剰な興奮であるため、治療を受けるか、時間が経過すれば徐々に興奮は治り、元の状態に戻ります。
状況にもよりますが、脳卒中のようにそのたびに後遺症を残すようなことはありません。
脳卒中は脳の神経細胞が損傷を受けるため、病状が落ち着いてきても損傷が治りきらずに、後遺症を残すということになります。

高齢者のてんかんが脳卒中後に増加中

てんかんは生まれつきの性質である場合もあるため、多くの方にとって子どもの病気というイメージがあります。
しかし、近年高齢者のてんかんが増加していることがトピックとなっています。
高齢者は脳卒中になる可能性が高く、その後にてんかんを発症する場合もあれば、明らかなきっかけがなくてんかん発作を起こすようになることもあります。

その理由として「神経の興奮をおさえるシステムが十分に機能しなくなる」という機序が考えられています。
元々脳には、過剰な興奮をおさえて脳の活動のバランスをとるシステムが備わっています。
そのシステムを構成する神経細胞は、多くのエネルギーを消費して活動しているのですが、加齢や脳卒中により十分にエネルギーが供給されなくなると、機能が低下してしまい、てんかん発作を起こしやすい状況となってしまうのです。
てんかん発作を抑えるためには、抗てんかん薬が使用されます。
しかし脳の興奮を抑えるような薬剤は、高齢者にとっては効果が強く、筋力低下や認知機能低下の問題をクリアしなくてはなりません。
脳卒中の後遺症を伴っている場合はなおさらです。
今後も増加していくケースであると考えられ、適切な対処が必要です。

まとめ

脳出血や脳卒中とてんかんの関係性について解説しました。
てんかんがある人のうち70〜80%の方は、薬や外科治療などで発作をコントロールすることができます。
脳出血の後にはてんかんの発症に注意して、適切な対処を受けられるようにしましょう。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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