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脳梗塞に特徴的なバレー徴候とは

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脳梗塞や脳出血の確定診断には頭部CT検査や頭部MRI検査などの画像検査を行う必要がありますが、古くから医療現場ではある程度の診断を身体診察でも行ってきました。
バレー徴候やミンガッツィーニ徴候と呼ばれる独特な身体所見は、脳梗塞や脳出血などの疾患を強く疑う所見です。
本書ではこれらの身体所見について詳しく解説していきます。

脳梗塞に特徴的な身体所見とは

脳梗塞イラスト
脳梗塞とは脳の血管が詰まることで脳が壊死して、その部位に応じて様々な神経学的症状を引き起こす病気です。
特に、脳は脊髄を介して上肢や下肢の運動をコントロールしているため、脳梗塞に罹患した多くの患者には上肢や下肢に麻痺が出現します。
重度の脳梗塞による完全麻痺であれば誰の目にも明らかですが、脳梗塞の程度によって麻痺の程度も異なるため、軽度の脳梗塞の場合は麻痺の有無を判断しにくい場合があります。
現代では画像検査の技術が進み、多くの施設で頭部CTや頭部MRI検査を受けることが可能になりましたが、以前は身体所見から多くの情報を得て診断に導いていました。
実際に約80%の神経疾患は、重点的な問診と身体診察で診断が可能であると言われています。
そこで、古くから医療現場で重宝されてきた、脳梗塞をチェックする診察方法をご紹介します。

バレー徴候とは

元々は1913年にイタリアの神経学者Giovanni Mingazzinが発表したミンガッツィーニ徴候という身体所見がありましたが、その後1937年にJean A Barreが変法として発表したものをバレー徴候と言います。
ミンガッツィーニ徴候とバレー徴候は類似点が多いですが微妙に違いもあります。
今日の日本では脳梗塞の診察において上肢のバレー徴候が最も頻用されています。
脳から上肢や下肢に運動の命令を伝達する神経の通り道を錐体路と呼びますが、この錐体路が障害されることで上肢や下肢に麻痺が生じ、ある特定の体位を保つことができなくなります。
脳梗塞や脳出血を疑う場合、これらの変化の有無を身体所見として精査します。
では、具体的なバレー徴候の評価方法を解説します。

上肢バレー徴候の評価方法

患者の手掌を上に向けてぴったりと指をくっつけた状態で、両腕の肘を伸ばしたまま肩と同じ高さで前方に挙上してもらいます。
そのまま閉眼してもらい、10秒間姿勢を保持してもらいます。
仮に上肢が錐体路障害の影響を受けると、回外筋よりも回内筋、伸筋よりも屈筋が強く緊張するため、麻痺側の上肢は回内し、次第にゆっくりと腕が下がってきます。
これを上肢バレー徴候と言います。
人間はある姿勢を維持するには、常に深部感覚や視覚の情報を元に姿勢の補正を行っているため、開眼したまま上肢バレー徴候を行うと正確に評価できなくなってしまいます。
上肢バレー徴候をチェックする際には、閉眼して視覚からの情報を遮る事で、視覚による補正の影響を取り除き正確に錐体路障害を評価することができます。
また実際に脳梗塞患者でBarre徴候をチェックする時、麻痺している上肢が下がってくるには多少の時間を要します。
あまりにも短時間で評価すると正確性を欠くため、姿勢は10秒ほど保持してもらう必要があります。

下肢バレー徴候の評価方法

患者にうつ伏せになってもらい、両側の膝関節が接さないように床面からもち上げさせて、135度で姿勢を保持してもらいます。
仮に下肢が錐体路障害の影響を受けると、屈筋よりも伸筋が強く緊張するため、麻痺側の下肢が次第にゆっくりと下がってきます。
これを下肢バレー徴候と言います。
患者は診察時うつ伏せのため視覚での補正ができないため、下肢バレー徴候をチェックする際には閉眼は不要です。

ミンガッツィーニ徴候の評価方法

前述したように、Barreよりも前にGiovanni Mingazzinが発表した評価方法です。
ミンガッツィーニ徴候は、日本では主に下肢の錐体路障害の影響を評価する方法として扱われています。
下肢バレー徴候とは異なり、仰向けになった状態で両股関節と両膝関節を90°に屈曲してもらいます。
仮に下肢が錐体路障害の影響を受けると、麻痺惻の下肢は態勢を保持できずにゆっくりと下がってきます。
これらの徴候を認めれば脳梗塞や脳出血を強く疑う必要があります。
しかし、あくまで確定診断をするには画像検査を行う必要があり、これらの徴候があれば100%脳卒中であると確定付けるものではありません。

まとめ

今回は、脳梗塞を疑う患者に対して画像診断を行う前にご自宅でも簡易的にチェックできるように、いくつかの身体所見を解説させていただきました。
脳梗塞により一度でも障害された神経細胞は2度と再生しないと言われてきたため、早期発見早期診断が好ましく、バレー徴候やミンガッツィーニ徴候を認めた場合可及的速やかに医療機関を受診する必要があります。
また、近年では再生医学の進歩が目覚ましく、傷ついた組織でさえ改善することが分かってきました。
再生医療とは具体的には、骨髄の中にある幹細胞を取り出し、培養したものを点滴投与する方法です。
抽出した幹細胞には、損傷した細胞を再構築する能力があるからです。
現在、多くの治療結果が積み重なってきており、その成果が今後更に明らかになっていくと思います。


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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