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頚椎症性神経根症の後遺症とは

           

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頚椎症性神経根症とは、頸髄から分岐した神経が周囲の骨や椎間板に圧迫されることで、主に片側の上肢にしびれや麻痺をきたす病気の事です。
多くの方が自然治癒する一方で、適切な処置や対応を行わなければ後遺症を残す可能性もあります。
この記事では、頚椎症性神経根症の後遺症について詳しく解説していきます。

頚椎症性神経根症の基本的な理解

頚椎症性神経根症
頚椎症性神経根症とは、なんらかの原因で頚椎の骨や椎間板が変形し、脊髄から分岐した神経根が圧迫されることで、主に片側上肢のしびれや麻痺が生じる病気です。
脊髄はまるで根のような構造を成しており、左右に神経根と呼ばれる細い根を分岐させています。
人の運動の指令は大脳皮質から始まり、脳幹(中脳・橋・延髄)を経由して、脊髄に到達し、脊髄から分岐した神経根は、それぞれの椎間孔(椎体と椎体の間の孔)から末梢神経となり、各筋肉に分岐して刺激を伝達して運動を起こします。
逆に、皮膚から得た痛みや温度などの感覚は、末梢神経から神経根を経由して脊髄へインプットされ、脳幹・大脳皮質と伝達されていきます。
以上のことからも分かるように、運動や感覚の刺激は必ず神経根を経由して伝達されています。
神経根は左右1対でそれぞれ31本分岐しており、それぞれ異なる末梢神経・筋肉を刺激しているため、障害される神経根のレベルによって麻痺やしびれが生じる部位も異なります。
それら頚椎症性神経根症の原因としては、加齢や外傷に伴う椎体や椎間板の変形が挙げられ、これによって椎間孔を走行する神経根が圧迫を受けるため、症状が出現します。
また近年では、スマートフォンやパソコンの普及、運動不足などによる不良姿勢が頚椎に負担をかけて発症する若者も増加しています。
主な症状は、肩から腕・手指にかけての麻痺やしびれ・痛みなどが挙げられます。
診断するためには、腕や手指のしびれや麻痺などの自覚症状が頸部後屈で増悪することを確認する必要があり、画像検査では頚椎レントゲン検査で骨棘の形成などの頚椎症性変化を認める必要があります。
発症した患者の多くは自然経過で症状が改善することが知られており、手術療法よりは保存療法(内服薬やリハビリ・固定具の装着など)が選択されることが多いです。
また、発症当初には神経傷害に伴う激痛が出現することもあり、消炎鎮痛剤などで疼痛を緩和しますが、激痛の時期を超えてからも症状が改善するまで数ヶ月かかることもあり、ある程度気長に治療していく必要があります。
一方で、保存療法に治療抵抗性のある症状が続く場合や筋力低下が改善しない場合など、そのまま放置すると症状が進行する可能性の高い場合は手術療法が選択され、直接神経根の圧迫を解除します。

頚椎症性神経根症の主な後遺症の種類

頚椎症性神経根症では障害される神経根のレベルによって出現する症状も異なりますが、一般的に下記のような後遺症が挙げられます。

  • 感覚障害:腕や手指のしびれ
  • 運動障害:主に片側上肢の麻痺
  • 疼痛:神経が圧迫を受けることで感じる痛みで、頚椎を後屈させると増強する

また、長期的な神経の圧迫によって筋肉への運動の刺激も減少するため、筋肉が収縮する機会も減少し、筋力低下を引き起こします。
特に、加齢性変化であれば徐々に症状が進行していくため比較的早期に対応可能ですが、外傷性変化に伴う神経根の圧迫は急激な経過を辿ることが多く、神経を激しく損傷する可能性もあり、後遺症が残ってしまいます。
また、手術療法の合併症として神経根を損傷してしまうと、神経が不可逆的な損傷を受け、後遺症を残すこともあります。
特に上記症状の中では、しびれ症状が後遺症として残存しやすいことが知られています。

後遺症が現れる過程と時間

しびれ症状が残る可能性がある
前述したように、頚椎症性神経根症を発症しても多くの場合は保存療法で症状が改善していくため、後遺症は残りにくいです。
しかし、長期的に神経根の圧迫を受けていた場合は後遺症が残存しやすく、手術療法を行ってもしびれ症状が残る可能性があります。
また、外傷などで神経根が激しく損傷した場合、受傷直後から神経症状が出現し、そのまま改善しない可能性もあります。
以上のことからも、後遺症が残存する経過は発症機転や経過によって異なります。

まとめ

今回の記事では頚椎症性神経根症の原因や後遺症などについて解説させて頂きました。
頚椎症性神経根症は脊髄から分岐する神経根が圧迫を受けることで、感覚や運動の刺激伝導に異常をきたし、疼痛やしびれ・麻痺などの症状をきたす疾患です。
神経根が圧迫を受ける主な原因は、加齢に伴う脊椎の変形、もしくは外傷などに伴う解剖学的変化が挙げられます。
多くの方は発症しても自然経過で改善が見込まれますが、神経の損傷の程度が激しい場合は不可逆的な損傷を受け、麻痺や痺れ・筋力低下などの後遺症を残す可能性もあります。
しかし、近年では再生医療の発達が目覚ましく、損傷した神経の再生が期待されています。
再生医療では自己の幹細胞を利用し、頚椎症性神経根症によって障害された神経細胞を再生する効果が期待され、症状を抑えることができる可能性もあり、現在その知見が待たれるところです。

Q&A

頚椎症性神経根症の後遺症とは具体的にどんなものですか?
頚椎症性神経根症の後遺症として、片側上肢のしびれや麻痺、筋力低下などが挙げられます。
他に、肩や腕にかけての痛みが残存することもあります。
これらの後遺症は、頸部後屈によって増悪する傾向にあります。

頚椎症性神経根症の後遺症を軽減するにはどうすればいい?
頚椎症性神経根症の後遺症を軽減するためには、頸部を安静に保持する必要があります。
頸部を後屈すると椎間孔が狭くなり神経圧迫が増悪するため、後屈を避けて適切な方向へ牽引する必要があります。

<参照元>
日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_radiculopathy.html#:~:text=原因と病態,となることがあります%E3%80%82
交通事故サポートセンター:https://secure01.red.shared-server.net/www.toshi-office.com/jiko-11-09x-keiyoutui.htm#1.神経根症



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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