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海馬硬化を伴うてんかんの診断と治療

           

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この記事を読んでわかること

海馬硬化を伴うてんかんの病態や症状がわかる
海馬硬化を伴うてんかんに対する抗てんかん薬の効果がわかる
海馬硬化を伴うてんかんに対する外科的手術の効果がわかる


海馬硬化を伴うてんかんとは、成人における難治性てんかんの1つであり、記憶を司る海馬が硬化・萎縮し、てんかん発作をきたす病気です。
薬物療法に反応しにくく、他のてんかんを引き起こす病気と異なる症状や経過を辿る点でも特徴的な疾患です。
そこで、この記事では海馬硬化を伴うてんかんの症状や所見、治療法などについて詳しく解説します。

海馬硬化とてんかんの診断プロセス

海馬硬化とてんかんの診断プロセス
側頭葉の内側に位置する海馬と呼ばれる部位の硬化や萎縮が原因となり、てんかんが引き起こされる病気を内側側頭葉てんかんと呼びます。
てんかんとは、脳の一部、もしくは全体から異常な電気信号が発せられ、身体のけいれんなどを生じる病気の総称であり、内側側頭葉てんかんでは海馬がその原因部位というわけです。
診断には問診や診察、頭部MRI検査、脳波検査が有用です。
まず、問診では主に下記のような背景を認めます。

  • てんかんの家族歴が多い
  • 熱性けいれんの既往が多い
  • 10歳代の初発
  • 一時的緩解がある
  • 難治性になりやすい
  • てんかん性精神病を伴いやすい

次に、診察では下記のような所見が特徴的です。

  • 上腹部不快感・悪臭などの前兆と、単純部分発作を生じる
  • 複雑部分発作(単純部分発作から意識状態が悪化した状態)が生じることもある
  • 全般発作(部分的なけいれんでなく全身のけいれん)への移行も有り得る
  • 見当識障害や記憶障害を併発することがある
  • 週単位で発作が起こりやすい

単純部分発作とは、体の一部がけいれんを引き起こし、かつ意識が保たれているけいれんを指します。
複雑部分発作となると、部分発作であるため、体の一部がけいれんする点では同じですが、意識は保てない状態です。
さらに、部分発作ではなく全般発作では脳全体からの異常信号によって、体全体がけいれんを引き起こします。
これらの症状に対し、最終的には頭部MRI検査と脳波検査を行い、脳波と一致する側の海馬で萎縮や硬化像を認めれば診断に至ります。

抗てんかん薬による治療戦略

一般的に、初期治療としては抗てんかん薬による治療が主です。
しかし、一時的に発作が治まったとしても、その後再発する可能性もあり、再発後は比較的難治性であることが多いです。
特に、内側側頭葉てんかんは成人のてんかんの中では最も難治性であることが知られており、内服治療を行ったとしても1年間再発を認めない確率はたったの10%と報告されています。
フェノバルビタールやカルバマゼピンなどの抗てんかん薬を単一、もしくは複数併用して治療しても難治の場合、扁桃体、海馬及び海馬傍回を含む側頭葉内側構造を外科的に切除することを検討すべきです。

外科的治療のリスクと合併症

内側側頭葉てんかんに対する外科的切除術は、2001年に報告された研究結果で内科的治療に対する優位性が示されました。
一側性の海馬硬化の場合、手術によって85%以上の発作消失が得られ、さらに右利きの人にとっての言語優位半球である左側の切除においても記銘力は維持されると報告されています。
しかし、海馬硬化が両側性の場合は外科的治療は困難であり、また治療後に再発した場合はより難治性てんかんが残存することが知られています。
また、外科的手術にもリスクや合併症があり、記憶を司る海馬を切除するため、記憶力低下などの可能性がある点で注意が必要です。
また、時折半身麻痺などの重篤な合併症をきたす可能性もあり、手術そのもので他の脳の部位を損傷すればさらに重い後遺症を残す可能性もあるため、慎重な手術が求められます。

まとめ

今回の記事では、海馬の硬化を伴う内側側頭葉てんかんについて詳しく解説しました。
海馬の硬化を伴う内側側頭葉てんかんは、海馬が硬化・萎縮することで部分発作、もしくは全般発作のてんかんを引き起こし、また難治性であることが知られています。
成人のてんかんの中でも最も難治性であることが知られており、通常の抗てんかん薬では改善が見込めない可能性も高い病気です。
そこで、抗てんかん薬での治療で改善を見込めない場合、外科的手術での切除も検討すべきです。
海馬の硬化を伴う内側側頭葉てんかんに対する外科的手術の成績は良く、効果を得られやすいため良い選択肢ですが、一方で、海馬の切除に伴う記憶障害などの合併症リスクもあります。
そこで、再生医療が今後の新たな治療法となる可能性があります。
再生医療によって変性した海馬が再生すれば、てんかん発作が抑制できる可能性があります。
また最近では再生医療の1つとして、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脊髄や神経の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、内側側頭葉てんかんの症状改善が期待できます。

Q&A

海馬硬化の原因は?
結論から言えば、原因は不明です。
家族歴や熱性けいれんの既往を持つ方で発症しやすいという特徴はありますが、全例に当てはまるわけではないです。
その他、年齢、遺伝負因、形成障害などが複雑に関与していると考えられています。

脳の海馬はどうやって復活するのですか?
基本的に、一度硬化もしくは萎縮した海馬は元には戻りません。
症状は進行し、悪化していくため、早期から抗てんかん薬や外科的治療で治療介入する必要があります。
また、近年では再生医療による海馬の再生も期待されています。

<参照元>
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4439
・NEJM:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejm200108023450501
・日本神経学会:https://www.neurology-jp.org/guidelinem/epgl/sinkei_epgl_2010_06.pdf


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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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