この記事を読んでわかること
・脳梗塞の原因になる不整脈の心房細動とは
・ラクナ梗塞とは?いわゆるかくれ脳梗塞
・ラクナ梗塞に対する再生医療
心房細動、ラクナ梗塞という言葉を聞いたことがありますか?
どちらも脳梗塞に関係する言葉です。
この2つには共通する問題点がある一方、脳梗塞の中での位置づけには若干の違いがあります。
ここでは心房細動、ラクナ梗塞について解説していきます。
脳梗塞の原因になる不整脈の心房細動とは
心臓には洞結節と房室結節という場所があります。
洞結節で発生した電気信号は心房を通り、その後に房室結節を通ってから心室へと向かいます。
規則正しく伝えられた電気信号はタイミングよく心房と心室を収縮させるため、心臓は効率よく血液を肺や全身へ送り出すことができます。
しかし心房細動では、洞結節以外の場所から電気信号が発生してしまったり、異常な電気回路が出来上がったりしているため、電気がうまく心室へ伝わらずに心房がプルプル震え(細動)てしまいます。
その結果心房の中では血流がうっ滞し、血栓ができる原因となります。
その血栓が血管を通って脳へ飛び、脳の血管を閉塞してしまうのが、心原性脳塞栓症という脳梗塞の一種です。
ラクナ梗塞とは?いわゆるかくれ脳梗塞
ラクナ梗塞というのは、脳の深い場所に発生する小さな脳梗塞のことです。
「ラクナ」というのは小さなくぼみという意味です。
脳の奥にある細い血管が詰まり起こるのがラクナ梗塞です。
高血圧や糖尿病など生活習慣病が原因で動脈硬化が発生し、その結果脳にある細い血管が詰まってしまいます。
小さな梗塞では脳のダメージも小さく、本人が症状を自覚していないことも多く、脳のMRIなどにより偶然発見されることもあります。
それが「かくれ脳梗塞」と呼ばれる理由です。
心房細動とラクナ梗塞に共通する問題点
心房細動、ラクナ梗塞両者に共通する問題点は、高齢の方に多いという点です。
心房細動は年齢とともにかかる割合が高くなり、80歳以上では10人に1人が心房細動と言われています。
ラクナ梗塞も心房細動と同じように年齢と共に発症する割合が高くなります。
どちらも放置すると新たな脳梗塞の発症や、脳梗塞の悪化が起きる原因となるため、発見された場合にはただちに治療が必要です。
脳梗塞の中で心房細動やラクナ梗塞が占める位置づけの違い
心房細動、ラクナ梗塞とも放置するとリスクがあるのは間違いありませんが、両者の位置づけは若干異なります。
心房細動が原因で起こる心原性脳塞栓症は心臓でできた血栓が脳へ飛ぶため、比較的大きな血管が閉塞します。
そのため脳梗塞を発症すると重症になりやすく、院内死亡率は11.7%とされています。
心臓以外が原因の脳梗塞では2.58%であり、心臓から起こる脳梗塞が危険であることが分かります。
一方ラクナ梗塞は症状がでないこともあるくらい、小さな脳梗塞です。
致死的になることは少なく、心臓から起こる脳梗塞とははっきり異なるものと言えます。
だからといって大したことがない、というわけではなく認知症の原因になる可能性があることや、放置すると大きな脳梗塞につながる可能性があることに注意が必要です。
心房細動が起こす脳梗塞、ラクナ梗塞に対する再生医療
心房細動が起こすような大きな脳梗塞では、症状が重くなり後遺症を残してしまうことが少なくありません。
後遺症が残ると、基本的に一生残る症状となります。
一度傷ついた神経が元通りに回復することはないからです。
またラクナ梗塞が発見され治療を受けたとしても、再発や重症化を防げるとは限りません。
動脈硬化が進んだ血管を元通りに戻すことは難しいからです。
基本的に取り返しのつかない病気である脳梗塞や動脈硬化ですが、再生医療が一つの解決策になる可能性を秘めています。
再生医療では神経や血管の元となる幹細胞を移植します。
幹細胞からは修復に必要な成分が分泌され、神経や血管が持つ回復能力を引き出すことができます。
また幹細胞が実際に神経や血管に分化し機能するようになることも期待されています。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
心房細動が起こす脳梗塞、またラクナ梗塞に対しては、幹細胞治療とリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。
まとめ
心房細動とラクナ梗塞について説明しました。
専門用語で少し難しいのですが、脳梗塞について理解を深め、予防や治療に役立てていただければ幸いです。
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