この記事を読んでわかること
・脳卒中の後遺症改善にはリハビリテーションが大切だということ
・リハビリテーションにはどのようなものがあるかということ
・脳卒中後の神経ネットワーク再構築が起こっている可能性があること
脳卒中後のリハビリテーションは、早期開始が重要とされています。
脳卒中後の後遺症改善のためには、神経障害への多面的アプローチと継続が大切です。
今回の記事では、脳卒中後の改善のためのリハビリテーションにはどのようなものがあるか詳しく解説します。
早期開始が重要な脳卒中後のリハビリ
脳卒中は突然に起こり、患者の生活に大きな影響を及ぼします。
その後遺症を改善し、患者の生活の質を向上させるためには、リハビリテーションが最も可能性の高い方法とされています。
特に、早期介入としてのリハビリテーションが重要です。
脳卒中直後からリハビリテーションを開始することは、患者の回復に大きな影響を与えます。
脳卒中後のリハビリテーションを早期開始することで、脳の機能を最大限に活用し、損傷した神経ネットワークの再構築が促されるのです。
これにより、機能回復の可能性が高まります。
脳卒中後のリハビリテーションは、発症した直後から2週間程度までの急性期、発症から3〜6ヶ月程度までの回復期(亜急性期)、そしてそれ以降の生活期(慢性期)に分けられます。
急性期のリハビリは、脳卒中発症後から始まり、飲み込む力の低下による誤嚥(ごえん)や肺炎、そして足の静脈に血栓が詰まってしまうことによる深部静脈血栓症などの合併症を予防するという目的があります。
また、脳卒中後の手足や会話などの機能回復を促すため、24〜48時間以内に患者さんそれぞれの病態に合わせたリハビリテーションが勧められます。
リハビリによる神経障害への多面的アプローチ
さて、脳卒中が起こると言葉の障害や運動障害、そして感覚麻痺などの症状が起こります。
近年、脳卒中患者が発症後3ヶ月のリハビリテーションを行う過程で、運動機能と脳内の神経線維のネットワーク形成を研究した報告があります。
脳卒中後には、障害がある側の大脳皮質から脊髄へとつながっている神経線維連絡路(錐体路:すいたいろ)の神経線維が徐々に変性してしまいます。
一方で、その変性を補うような形で脳の中心付近の深部にある赤核(せきかく)という部分で神経線維の再構築が進む、ということが研究で明らかになったのです。
このことは、赤核での神経ネットワーク再構築が、運動機能の回復と関連していることを示している可能性があります。
また、脳卒中の後遺症の改善において、最も可能性が高いとされる方法はリハビリテーションです。
リハビリテーションは、患者さんの状態や後遺症の程度に応じて、個別に計画されます。
以下では、脳卒中後のリハビリテーションで一般的に取り入れられる方法をご紹介します。
- 物理療法
- 運動機能の回復を目指し、筋力の強化、関節の可動域の改善、歩行訓練などが行われます。
- 作業療法
- 日常生活動作(ADL)の改善を目指し、食事、着替え、トイレなどの基本的な活動や、調理、掃除などのより複雑な活動を練習します。
- 言語療法
- 言語や発声の問題がある場合に、コミュニケーション能力の回復を目指します。
発話訓練や理解力の向上などが含まれます。 - 心理的サポート
- 脳卒中は精神的な影響も大きいため、カウンセリングや心理療法を通じて、患者さんの精神的な健康をサポートします。
- 栄養管理
- 適切な栄養摂取はリハビリテーションの効果を高め、脳卒中からの回復を促してくれます。
リハビリテーションは早期から開始することが望ましく、患者さんの状態に応じて長期間にわたって継続することが重要です。
また、家族やケアチームとの連携も大切な要素となります。
後遺症改善のためのリハビリ継続の必要性
リハビリテーションは、短期間で終わるものではありません。
脳卒中後の回復は時間がかかり、個人差も大きいため、長期的なリハビリテーションが必要です。
定期的な評価とプログラムの見直しにより、患者の状態に合わせた適切なリハビリテーションを継続することが重要です。
例えば、回復期リハビリテーションや生活期リハビリテーションは自宅や施設に戻ってから行われます。
日常の生活動作を向上させたり、あるいは家に復帰することを目標として、有酸素運動や筋力増加訓練を行っていきます。
また、生活期リハビリテーションを自宅や施設などで継続して行っていくことも大切です。
これは、歩行機能などをアップさせていくためという目的もあります。
一方で、言語障害や運動麻痺などの後遺症を改善することで、復職を目指すことにも役立つ可能性があるためです。
このように、脳卒中後のリハビリテーションは継続して行っていくことが大切なのです。
まとめ
脳卒中患者の後遺症改善において、リハビリテーションは非常に重要な役割を果たします。
早期の介入と継続的なリハビリテーションが、神経機能の回復と患者の生活の質の向上に大きく寄与します。
患者と医療従事者の協力により、脳卒中後の回復への道のりを歩むことが重要です。
さらに、リハビリテーションと再生医療を組み合わせることで、さらに後遺症からの回復を促すことが期待できます。
例えば、私たちニューロテックメディカルでは、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。
脳卒中後の後遺症改善に対する再生医療についてご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
よくあるご質問
- 脳卒中になって歩けるようになるまでどのくらいかかりますか?
- 脳卒中から回復して歩けるようになるまでの期間は、患者さんの状態や脳卒中の重さ、リハビリテーションの効果などによって大きく異なります。一般的には、脳卒中後の最初の数週間から数ヶ月が回復のための重要な時期とされています。多くの患者さんは、脳卒中後の最初の3〜6ヶ月間に最も大きな改善を見せますが、その後も1年以上にわたって徐々に回復が続くことがあります。
- 脳出血後でも長生きはできますか?
- 脳出血後でも長生きすることは可能ですが、その可能性は患者の年齢、脳出血の重さ、合併症の有無、リハビリテーションの効果など多くの要因に依存します。脳出血後に、高血圧の管理や持病の治療、生活習慣改善などの適切な医療管理とリハビリテーションを受けることで、回復と生活の質の向上を目指すことができるでしょう。
<参照元>
脳卒中センターにおける早期リハビリテーションの実際.杏林医会誌.2016;47(1):49-53.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/47/1/47_49/_pdf
脳卒中ガイドライン2021〔改訂2023〕
https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
脳卒中治療ガイドライン2021における リハビリテーション領域の動向.理学療法科学.2022;37(1):129-141.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/37/1/37_129/_pdf
脳梗塞の後遺症を軽くするリハビリ方法と期間(急性期、回復期、生活期) | NHK健康チャンネル
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_133.html
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