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神経変性疾患の診断と治療

           

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神経に障害が起こる疾患には血管障害や外傷、炎症性疾患などがありますが、それらと同じく発生する可能性があるのが神経変性疾患です。
診断が難しく有効な治療が少ないことから難病指定されていることも多い変性疾患ですが、近年になり再生医療など新たな治療の効果が認められるようになっています。
この記事では、神経変性疾患について解説します。

神経変性疾患とは

神経変性疾患とは、脳や脊髄にある神経の一部がはっきりしたきっかけがないにも関わらず徐々に障害され機能が失われてしまう疾患です。
血管障害やケガなどであれば原因ははっきりしていますが、変性疾患の多くは原因が明らかになっていません。
打つ手がないまま徐々に症状が進行するため、本人や家族にとって先が見えない、つらい疾患の一つであると言えます。

神経変性疾患の種類と患者数

代表的な神経変性疾患で患者数が最も多いのは、アルツハイマー病です。
アルツハイマー病は脳の神経に「アミロイドβ」や「タウタンパク」というたんぱく質が異常に蓄積することによって、徐々に認知機能が障害されます。
国内の患者数は400万人以上とされ、世界では5000万人以上と言われています。
続いて患者数が多いのは、パーキンソン病です。
国内の患者数は約13万人とされています。
脳内の「ドパミン」という物質を分泌する細胞が障害されることでドパミンが足りなくなり、無動・振戦・強剛・姿勢保持障害といった症状が起こります。
そのほか患者数が1000人を超える神経変性疾患には次のようなものがあります。
いずれも難病指定されている疾患です。

  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 筋萎縮性側索硬化症[ALS]
  • 進行性核上性麻痺
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 多系統萎縮症
  • 脊髄小脳変性症
  • 前頭側頭葉変性症

パーキンソン病の原因

神経変性疾患の診断

神経変性疾患は一般的な検査では異常がないことも多く、決め手となる所見が少ないため中々診断がつかないケースがあります。
自覚症状や生活状況などから診断のヒントを探していく事になりますが、特徴的な症状が少ないのです。
神経変性疾患に共通する主な症状はパーキンソン症候群(パーキンソン病のような症状)、認知症、筋力低下などです。
一般的に神経変性疾患は高齢者で発症することが多く、これらの症状は特別なものではありません。
高齢の方は様々な疾患を抱えていることが多く、例えば脳の血管障害があればパーキンソン症候を来すことがあります。
その他加齢の影響だけでも認知機能は低下することがあり、脊椎や関節の影響で筋力や移動能力が低下していることがあります。
徐々に進行する症状は「年齢の影響だろう」などと判断され、適切な介入がされないケースが多いのです。
近年では脳のMRIやCT、血流シンチグラフィやドパミントランスポーターシンチ(放射性医薬品を使用して脳の機能を推定する検査)など精密検査の有用性が指摘され、実施されるケースが増えています。
それでも発症早期では異常が出ないことも多いなど、依然として診断が難しいという問題が残っています。

神経変性疾患の治療

神経変性疾患は細胞が変性してしまう根本的な原因が分かっていないため、発症や進行を抑える治療はほぼ存在していません。
もっぱら対症的な治療が行われており、パーキンソン病に対するドパミン補充はその代表的なものです。
対症療法は一時的に症状を改善しても、神経が徐々に変性し機能が低下する状況を変えられるわけではありません。
パーキンソン病で言えばドパミン補充に対する反応が出づらい方がいることや、薬剤の副作用が起きることなどの問題があります。
近年になり、新たな治療として遺伝子治療が試みられています。
遺伝性神経変性疾患の一つである「脊髄性筋萎縮症」に対する遺伝子治療が実現し、理論的にはすべての遺伝性疾患に応用が可能であると考えられています。
そして、根本治療に近い治療として効果が期待されているのが、再生医療です。
京都大学ではパーキンソン病の方に対してiPS細胞から誘導した神経前駆細胞を脳へ移植する治療の治験が行われています。
再生医療に使用されるのはiPS細胞の他にも、間葉系幹細胞があります。
間葉系幹細胞は自身の骨髄や脂肪などから比較的容易に採取することのできる細胞です。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
神経変性疾患に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせる「再生医療×同時リハビリ™」で最大限の機能回復を達成できると考えています。
神経変性疾患の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

神経変性疾患は珍しい病気ですが、高齢の方を中心に潜在的な患者さんの数は増加していると考えられています。
「年だから」と諦めずに、元気な生活を取り戻すために適切な診断を早く受けて、治療の可能性を検討していただきたいと思います。
再生医療がその一助となる事が期待されます。

<参照元>
・「高齢者における神経変性疾患の実態と課題」Geriat. Med. 59(12), 2021
・「高齢神経変性疾患患者の看護、介護、リハビリテーション、在宅医療」Geriat. Med. 59(12), 2021

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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