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BAD脳梗塞の治療と予防策

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞のBADの概要
脳梗塞のBADの治療
脳梗塞のBADの再発予防


脳梗塞の中にはBAD(Branch atheromatous disease)というタイプがあります。
日本に多いタイプの脳梗塞で、他の脳卒中と比較して症状が短期間に増悪する可能性が高いことが特徴的です。
この記事ではBADの概要、再発予防について解説します。

脳梗塞のBADとは

レンズ核線条体動脈
脳梗塞は、脳卒中の一つの病型であり、後遺症があることも多い重大な疾患です。
脳梗塞には様々な分類があり、主にアテローム性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞、その他の原因による脳梗塞、原因不明の脳梗塞に分けられます。
近年、注目されている脳梗塞の一つにBranch atheromatous disease(BAD)があります。
分類としてはその他の原因による脳梗塞に当たります。
BADは太い血管から分かれた枝の根元の部分に、アテローム性病変ができて、枝の広い範囲が脳梗塞になってしまったものです。
ラクナ梗塞は枝の先の方の梗塞、アテロームは太い血管の梗塞が多いので、その中間のイメージがよく合います。
他の脳卒中と比較して、発症から短期間に症状が増悪する「進行卒中」となる可能性が高いのが特徴です。約30%が症状が増悪するとの報告もあります。
BADが発症しやすい部位としては、レンズ核線条体動脈と傍正中橋動脈の2つが知られています。
症状は他の脳卒中と同じく、発症する部位により異なります。
代表的な症状には、片麻痺(左右どちらか一方の手足が動かしにくくなる)、顔面のゆがみ、構音障害(呂律が回らない)などがあります。

BADの急性期治療

残念ながらBADに特異的な治療のエビデンスは確立されていません。
他の脳梗塞と同じ治療を行う事になります。
具体的には発症4.5時間以内であり、禁忌事項に該当しなければ静注血栓溶解療法(rt-PA)が適応となります。
主幹動脈ではないので、血栓回収療法が適応になることはほとんどありません。
アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞と同じように抗血小板薬(多くは2剤併用療法)や脳保護療法(エダラボン)が用いられます。
BADではこれらに追加してアルガトロバンという抗凝固薬を用いる場合もありますが、基準や安全性、効果は確立されていません。

BADの再発予防

薬物療法

BADの再発予防として抗血小板薬の内服が第一であり、脳卒中ガイドラインにも記載されています。
多くは1剤の内服ですが、内頸動脈閉塞などの合併がある場合には2剤内服を行うことがあります。

危険因子の管理、生活習慣の改善

抗血小板薬と同じくらい重要なものが危険因子の管理です。
BADを特異的に予防する方法というのはありません。
地道に高血圧、脂質異常症、糖尿病などの危険因子を目標以内にコントロールすることが重要です。
そのためには生活習慣の改善をしなければなりません。
習慣的な運動は収縮期血圧、拡張期血圧を下げることが知られています。
代謝にもいい影響を与え、脂質異常症、糖尿病の改善も期待されます。
特に後遺症が残りやすいBADでは、意識して活動量を維持することが大切です。
食生活も見直すのが良いでしょう。
魚や大豆製品、野菜を多く摂る食事では、動脈硬化の進行を遅らせる働きがあります。
BADは脳の病気ではありますが、心臓の血管へも同様に良い影響を与えるでしょう。
喫煙も動脈硬化の強い危険因子であり、脳卒中のリスクは2-3倍になると言われています。
BADの再発予防を考えるのであれば、禁煙は必須と言えます。

リハビリテーションとケア

BAD含む脳卒中は、身体や高次脳機能(認知、判断、注意などの機能)に障害を残すことがあるので、リハビリテーションは必須といえます。
しかし、BADに特化したリハビリテーションプログラムや有効な方法は確立されておらず、障害に応じてのリハビリ・訓練が行われます。
リハビリテーションは、移動や歩行などの基本動作をメインに行う理学療法、更衣や食事などの日常生活動作の向上を目指す作業療法、失語や嚥下障害を扱う言語聴覚療法があります。
症状や目標は患者さんごとに差が大きいのでそれぞれに応じた訓練が行われます。
リハビリテーションを行っても後遺症がある場合、別の重度の病態がある場合には医学的なケアの継続も必要になります。
例えば、脳卒中後に嚥下障害が残存して食物に配慮しなけれればならなくなった、経鼻胃管・胃瘻を用いることになった、脳卒中後に尿意がなくなったためオムツ排泄になったなどがあります。

まとめ

今回は脳梗塞の中でも少し特殊なBAD(Branch atheromatous disease)について解説しました。突然症状が出てきて、しかも進行する可能性があるBADは本当に怖いものです。
まずは病気にかからないように、かかってしまった際には再発しないように工夫して過ごしたいものです。
BADを含む脳卒中は後遺症に悩む人も多い病気です。
少し前までは後遺症に対しては、対症療法を行うしかありませんでしたが、今では再生医療が注目をされています。
再生医療とは、幹細胞という様々な細胞に分化する細胞を投与して、組織・臓器の再生を目指す方法です。
脳卒中後遺症に対しても多く研究がなされており、当院ではニューロテック®として導入しています。
rTMSなどを併用する再生医療×同時リハビリ™で多数の実績がありますので、気になる方はご連絡をお待ちしております。

Q&A

脳梗塞のBADタイプの症状は?
多いのは片麻痺、構音障害ですが脳梗塞を起こした場所により症状が異なります。他の脳梗塞と比較して、進行卒中の経過(発症後、短時間で症状が増悪する)をとる可能性が高いことが特徴です。

脳梗塞のBADの好発部位は?
BADの好発部位はレンズ核線条体動脈と傍橋正中動脈です。Branch Atheromatous Diseaseという名の通り、いずれも主幹動脈から穿通枝の分枝部がアテロームにより梗塞してしまいます。

あわせて読みたい記事:BAD脳梗塞の概要と原因
<参照元>
脳卒中治療ガイドライン2021:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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