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脳幹出血の症状と危険因子

           

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この記事を読んでわかること

脳幹出血で瞳孔がどのように変化するか
脳幹出血といびきの関係はどのようなものか
脳幹出血の死亡率と合併症には何があるのか


脳幹出血は、脳幹という呼吸機能など生命の根幹をなす部分に出血が起こってしまう病気のことです。
脳幹出血が起こると、四肢麻痺や意識障害、頭痛、嘔吐、嚥下障害、運動失調、瞳孔の変化などが起こります。
今回の記事では、脳幹出血について症状や合併症などについて解説していきます。

脳幹出血による瞳孔の変化

喫煙、飲酒で脳出血になりやすくなる
脳幹は、呼吸や循環などの生命活動の根幹をなす機能をコントロールしている部位です。
脳幹には中脳や延髄、橋という部位が含まれます。
脳出血は、頻度の順に被殻や視床、皮質下、脳幹、小脳などの部位で起こります。
脳幹で起こる脳出血を脳幹出血といい、橋出血と呼ぶこともあります。
脳出血の危険因子としては、高血圧や喫煙、飲酒があります。
また、コレステロール値の異常低値、つまり低栄養も脳出血の発生に関与しています。
脳出血は、その起こる部位によってさまざまな症状が起こります。
脳幹出血の場合には、四肢麻痺や意識障害、頭痛、嘔吐、嚥下障害、運動失調が起こり、瞳孔変化も来します。
命を落とすような重篤な場合もあります。
具体的には、脳幹出血が起こると瞳孔の大きさは著明に縮小します。
対光反射は残る場合と消えてしまう場合があります。
対光反射というのは、光を目に当てた時に瞳孔が小さくなるという反応のことです。
橋で出血が起こると、交感神経の障害が起こるために著しい縮瞳がみられるのです。

いびきと脳幹出血の関連性

いびきをかく人
いびきは、上気道という空気の通り道が何らかの原因で狭くなってしまい、そこを空気が通ろうとする際に空気抵抗が大きくなり、呼吸をした際に粘膜が振動して音を発するというものです。
脳幹出血では、舌根という下の根本の部分が喉の奥に落ち込んでしまい、気道を狭くしてしまうことがあります。
そのため、脳幹出血の患者さんではいびきのような呼吸が聞かれることがあります。
寝ている際に、いつもより大きないびきをかいている場合には、脳幹出血の可能性も0ではありません。
周りの人が気づいた際には、体調を確認しておく必要があるでしょう。

死亡率と重篤な合併症の理解

脳幹出血(橋出血)は、急激に発症し、短時間のうちに昏睡状態に陥り、四肢の麻痺や除脳硬直、呼吸障害、自律神経障害、瞳孔異常を伴い予後不良とされています。
一方で、脳幹出血と死亡率の関係を調べた研究も進んでいます。
脳幹出血では、約60%が死亡するという報告もあります。
橋出血の生命予後を調べた研究では、以下のような症例では予後不良で死亡率が上がるのではないかと言われてます。

  • 来院した際にすでに除脳肢位(じょのうしい:患者の上肢は肘を伸ばし体に沿って伸ばされている)、もしくは無反応である症例
  • CT所見で、脳幹の中心に血腫があり、血腫が橋を超えて中脳や延髄に達していたり、脳室(脳の中にある髄液と呼ばれる液体が入っているスペース)内に及んでいる症例

脳幹出血では、基本的には手術による治療は行われず、脳圧の管理や脳のむくみをとるという保存的な治療が基本となります。
一方、脳出血の中でも、重篤な合併症として、脳室内にも出血が起こったり、くも膜下出血を伴っている場合に、水頭症を起こすことがあります。
その場合には水頭症を治すための手術が行われます。
水頭症とは、髄液という脳の水分量を調節し、形を保つ役割をしていると考えられている液体の循環が悪くなってしまい、脳室に髄液が溜まってしまい脳が圧迫されるという状態です。
水頭症の症状としては、頭痛や嘔吐、吐き気、さらに視力障害や意識障害が挙げられます。
水頭症を起こしてしまった場合には、手術による治療が行われます。
その方法は、溜まった髄液を脳の外に出すためのシャント術や、神経内視鏡によって第三脳室からくも膜下腔へと髄液を流すようにするものがあります。
脳幹出血は死亡率が高い疾患ですが、早期に医療機関を受診できた場合には命が助かることもあります。
一方、脳幹出血が起こり救命し得た場合でも、四肢の麻痺や呼吸機能、嚥下障害が後遺症として残ってしまうこともあります。

まとめ

今回の記事では、脳幹出血の症状について、特に瞳孔の変化についても解説しました。また、いびきと脳幹出血の関係性や、死亡率、合併症についても述べました。
脳幹出血によって、四肢麻痺などの後遺症が残ってしまうこともあります。死んでしまった神経細胞は、修復が難しいとされてきました。
そこで、当院ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、脳脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®では、同時刺激×再生医療™、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリをおこなうことで神経障害の軽減を目指しています。
再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

Q&A

脳幹出血では散瞳しますか?
脳幹出血のなかでも橋出血が起こると交感神経障害が起こり、著しい縮瞳が起こります。これは、pinpoint pupilとも言います。対して、脳動脈瘤や脳浮腫、脳幹損傷の脳ヘルニアなど、脳全体が圧迫されると動眼神経そのものに影響が出るので散瞳がみられます。

脳幹が障害されるとどうなるか?
脳幹出血などで脳幹が障害されると、重度の場合は四肢麻痺や呼吸障害・意識障害をきたし命を落とすこともあります。一方、出血の程度が軽症であっても、四肢の麻痺や嚥下困難などの後遺症を残してしまうことがあります。

<参照元>
◆脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
◆高血圧性脳出血急性期の臨床的部位診断 Fisher らの鑑別基準の再評価.脳卒中.1991;13:274-283.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/13/4/13_4_274/_pdf/-char/ja
◆脳幹出血患者の予後に関する臨床的検討.脳卒中.2008;30:38-44.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/30/1/30_1_38/_pdf/-char/ja
◆特集●脳血管障害 トピックス 4.頭蓋内出血の診断基準と部位診断.日本内科学会雑誌.1991;80:532-536.:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/80/4/80_4_532/_pdf
◆脳脊髄液:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]:https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/nosekizuieki.html
◆水頭症| 慶應義塾大学病院脳神経外科教室:https://www.neurosurgery.med.keio.ac.jp/disease/childhood/01.html

あわせて読みたい記事:脳幹出血後遺症の5つの症状を解説


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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