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一過性脳虚血発作と脳梗塞の関係

           

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この記事を読んでわかること

一過性脳虚血発作とは
一過性脳虚血発作と脳梗塞の関係
一過性脳虚血発作による後遺症とは


一過性脳虚血発作は脳の血流が一時的に乏しくなることで、一過性の症状を起こす疾患です。
英語ではtransient ischemic attackと記載され、医療現場でも一般的にも頭文字をとってTIA(ティーアイエー)と呼ばれています。
一過性脳虚血発作は脳梗塞と強い関連がある疾患なので、注意が必要です。
この記事では一過性脳虚血発作の症状や原因、脳梗塞との関連について解説していきます。

一過性脳虚血発作とは

脳卒中
一過性脳虚血発作の定義についてはこれまでに複数回変更されているのですが、2019年10月日本脳卒中学会から次のように発表されました。
局所脳または網膜の虚血に起因する神経機能障害の一過性のエピソードであり、急性梗塞の所見がないもの。神経機能障害のエピソードは、長くとも24時間以内に消失すること
少し分かりづらいのですが、要点は次の通りです。

  • 脳梗塞のような症状が起こるものの続くのは短時間、長くとも24時間以内
  • MRI検査で脳梗塞の所見がない

24時間以内とされているものの、それだけ長く症状が続く一過性脳虚血発作は少なく、多くは1時間以内、短ければ数分である場合もあります。
症状が治まると元通りの状態になるため、「今のはなんだったんだろう?」と感じながらも病院を受診せずに様子を見てしまいやすい疾患です。

一過性脳虚血発作と脳梗塞の関係

一過性脳虚血発作の症状が治まっても、そのままにしてはいけません。
なぜなら、一過性脳虚血発作を起こした方はその後脳梗塞を発症する危険性が非常に高いからです。
多くの患者さんを対象にした研究では、一過性脳虚血発作を起こした方のうち15-20%の方がその後3ヶ月以内に脳梗塞を発症していました。
そのうち約半数は一過性脳虚血発作を発症してからなんと48時間以内に脳梗塞になっていました。
「2,3日様子を見てみよう」では遅いのです。
一過性脳虚血発作を起こしたということは、今まさに脳梗塞になろうとしている「崖っぷち」の状態であると認識する必要があります。

一過性脳虚血発作の原因とは

一過性脳虚血発作の原因は脳梗塞と同じように脳の血流が減少してしまうことにあります。
脳梗塞では血流が減少する時間が長く続くことによって神経が障害を受けてしまいますが、一過性脳虚血発作では短時間で血流が再開し、神経の障害が強くは起こりません
脳の血流が減少してしまう主な要因は血栓です。
加齢や生活習慣病が原因となり動脈硬化が進行すると、血管の中に主に脂肪で構成されるかたまり(アテローム、プラークと呼びます)が沈着します。
狭くなった血管では血流が障害され血栓ができやすくなり、血管が詰まる原因となります。
アテロームが剥がれて大きな血栓となり太い血管を詰めてしまうこともあります。
つまり一過性脳虚血発作の原因は脳梗塞と共通であり、両者はほぼ同じ疾患とも捉えられるのです。
運良く血流が再開すれば一過性の症状ですみますが、血流が再開しなければ脳梗塞となってしまいます。
症状が治まったから大丈夫、というものでないことが分かります。

一過性脳虚血発作による後遺症とは

一過性脳虚血発作では脳の細胞が障害される前に血流が再開するため、強い機能障害は残りません。
そのため一過性脳虚血発作の後遺症は無い、ということになります。
ただし一過性脳虚血発作の後に脳梗塞を発症した場合は後遺症が残る可能性が高くなります。
一過性脳虚血発作を発症した後は脳梗塞を発症するリスクが非常に高い状態ですが、積極的に治療することで脳梗塞の発症率を80%低下させるという報告があります。
後遺症を残さないために一過性脳虚血発作を救急疾患として捉え、急いで対処するべきです。

一過性脳虚血発作に対する再生医療

一過性脳虚血発作を発症した方は脳の血管の動脈硬化が進行し、いつ脳梗塞を起こしてもおかしくない状態です。
一旦進行した動脈硬化は元に戻ることはなく、脳の血流は慢性的に低下した状態と言えます。
血圧の管理や脂質異常症の治療、糖尿病の治療など積極的な治療が必要です。
これらの治療は病状を進行させないために重要な管理です。
ところが病状を進行しづらくすることはできても、一度質が低下した血管を元通りにすることや、障害された神経の機能を再生することはできません。
いつ脳梗塞を発症するかリスクを抱えながら一生をかけて治療を継続することになります。
このようにして加齢の影響や病気、ケガにより低下した体の機能を取り戻すため、幹細胞等を利用して行う治療が再生医療です。
再生医療では細胞や組織の元になる幹細胞を体内に移植し、機能の再生を図ります。
移植した細胞は体内で増殖し損傷された部位の修復を行うとともに、血管増殖因子や成長因子を分泌し組織に対して保護的に作用します。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
一過性脳虚血発作を起こしてしまった方、発症後治療を継続している方にとって再生医療が助けとなる可能性があります。
ぜひご相談ください。

まとめ

一過性脳虚血発作について、解説しました。
脳梗塞という谷に落ちる「崖っぷち」の状態でも、再生医療を含めた治療を積極的に行うことでまた安全地帯に戻ることができる可能性があります。
正しい認識を持って対処するようにしましょう。

Q&A

脳梗塞の前兆ってどんなの?
脳梗塞の前兆として知られる一過性脳虚血発作(TIA)では、ろれつが回らない・右半身または左半身の腕や足、顔に力が入らない・急に視野が真っ暗になる・物が二重に見える・言葉がうまく出てこない・言葉が理解できないなどの症状が発生し、24時間以内(多くは1時間以内)で元に戻ります。

<参照元>
・「一過性脳虚血発作の診療」臨床と研究95(10), 2018
・「TIAの定義が新しくなりました」BRAIN NURSING 36(2), 2020



貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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